(2)賃上げをはばむもの、そして打開策は?

 労働者が大幅な賃上げを勝ち取るには、国民の要求とも結びついて、労働者全体が団結して闘うことが必要です。
 しかし今、労働者は正規雇用、非正規雇用などに分断されています。また、正規雇用であっても、「名ばかり管理職」と呼ばれるような残業代を払ってもらえない、かつ労働組合からも排除されている人達がいます。これらの各層は労働条件、賃金などで分断され、かつその格差も広がっています。
 今問題となっている「格差社会」、「ワーキングプア」、「名ばかり管理職」などは、財界・大企業が進めてきた年功序列型の賃金の廃止と成果主義賃金の導入、正規から非正規雇用への切替など、労務費切り下げの戦略・方針から生まれたものです。政府も「構造改革」、「規制緩和」の名前で後押しし、裁量労働制の導入や労働者派遣法の適用業務拡大を行ってきました。
 このような「格差社会」、年収200万円以下の「ワーキングプア」が多く存在している状態に、国民各層から批判が強まっています。
 こうした問題を解決する上で、特に非正規・不安定雇用をなくすことは、劣悪な労働条件で働く人達の賃金と雇用を改善するだけでなく、正規雇用の人達に対する賃金抑制の解消にもつながります。
 だから立場の違いを越え、すべての労働者がともに団結して闘うことは重要です。

 話は少し違いますが、同じ組合における若年層や高齢者との共同でも同様のことが言えるでしょう。
 例えば川重は今年の賃上げ配分を、58歳以上の組合員(エルダー階層)に対して多めにしました。もちろん賃上げの総額が少ないことから、エルダー階層以外の組合員にとっても十分な賃上げ額とはいえません。しかしエルダー階層の不満はアンケートにも強く反映されたことから、会社も組合も無視はできなかったのです。
 春闘の後、次は事務・技術職のR系列の賃金見直しが議論になっています。会社側も「若年層では世間に比べて低い水準」と認めています。

 以上のように、労働者が団結すれば要求は実現できます。ともに手をつなごうではありませんか。