"労働者には1,000円賃上げ"、"株主には1円配当金増額"
川崎重工の2014春闘を考えました
1.みなさん、2014春闘はどのような感想ですか?
4月16日経団連は東証1部上場の大手企業の2014年春闘回答・妥結状況第1回集計を発表しました。それによると、41社(組合員数約23万人)の毎月の基準内賃金の平均引き上げ額は7,697円(引き上げ率2.39%)で、最終集計で8,293円だった1998年以来16年ぶりに7,000円を超えたと言っています。
川崎重工では要求3,500円に対して1,000円の回答で、これは2008年の2,000円賃上げ以来6年ぶりのことでした。第1回集計7,697円には遠く及ばなかったのですが、この結果はみなさんの生活の一助になりそうですか?
一方、株主の「春闘」、配当金の増額は1円増やして、1株6円を計画しています。
労働者には1,000円賃上げ、株主には1円配当金増額、この2014春闘結果について考えてみました。
2.株主には5倍を超える優遇
|
2009年度 |
2010年度 |
2011年度 |
2012年度 |
2013年度 |
連結売上高 |
1兆1734億円 |
1兆2269億円 |
1兆3037億円 |
1兆2888億円 |
1兆3854億円 |
連結当期純損益 |
-108億円 |
259億円 |
233億円 |
308億円 |
386億円 |
1株当たりの配当金 |
3円 |
3円 |
5円 |
5円 |
6円 |
配当金の支払合計 |
50億円 |
50億円 |
83億円 |
83億円 |
100億円 |
今回の賃上げ、配当金増額で会社は約20億円の資金が必要です。
その内訳は、労働者への1,000円賃上げで約3億円です。[注1]株主への1円配当金増額で配当金の支払合計が83億円から100億円となり17億円(右表)です。
労働者へは3億円の増額ですが、株主には17億円の増額、5倍を超える優遇です。
もし、労働者の生活を大切に考えるのであれば、20億円の均等配分を考えてもいいのではないでしょうか。そうすれば、今年の賃上げ要求3,500円の資金9億円は確保できるのですが、しかし、会社はその選択をしなかったのです。
[注1]:川重労組ニュース第1735号(2014年3月20日)で、会社は3,500円の賃上げで賞与や社会保障を含め9億円の負担増を言っています。このことから今回の賃上げ1,000円は1/3.5で2.6億円、四捨五入して約3億円を会社負担と考えました。
3.更に、今年度も配当金1円増やし、7円を予定ー会社は株主優遇を邁進
会社は、「不透明な経営環境の中、有利子負債が過去に例のない高水準となっている現状において、固定費およびキャッシュアウトの増加につながる施策の実施には慎重を期すべき」(春季諸要求について(回答))と賃上げ消極論の立場です。
しかし、株主には違うのです。会社は株主へ2013年度だけでなく今年度も配当金を1円増やして7円[注2]を予定しており、これによる新たな負担は17億円と考えられます。来年の賃上げは今年と同額1,000円が決まっており、そのため、5倍の株主優遇は2年に渡って続くのです。
川崎重工は連結売上1兆円を超える大企業です。会社をここまで大きくした最大の功労者は労働者です。しかし、今年の春闘結果から見えたことは、会社は労働者ではなく、株主に報いることを優先的に取り組んでいるということです。
みなさんはどのように見えましたか?
[注2]:会社広報部2014年4月25日"平成26 年3月期 決算短信
[日本基準](連結)"で配当についての考えを次のように表明しています。 「平成26年度につきましても、1株当たり7円(中間3円、期末4円)の配当を予定しています。」
4.もっと、労働者を大切に!! 大幅賃上げを!!
昨年末実施した"「人間らしい労働と生活」実現の要求アンケート"結果(右図)では、正規・非正規社員とも不安・不満は「賃金が安い」こと。そして、正規社員は2万円以上、非正規社員は時給300円以上の賃上げを望んでいます。
みなさん、例えば、今年度の株主配当を据え置いてその資金17億円を全て賃上げにまわしたら、7,000円を超える賃上げは可能です。これは、約3,500億円の内部留保に手をつけなくてもすぐにできることです。
みなさん、会社には賃上げを行う資金力はあります。株主だけでなく"もっと、労働者を大切に!!"、"大幅賃上げを!!"の声を上げていきましょう。
(14.06.04)