第78回全国安全週間に際し、 川重新社長の大橋社長は以下のスローガンを掲げ、従業員に安全に関するメッセージを送っています。
 《『職場のプロ』としての自覚に基づく行動から安全な職場を実現しよう! 》

働く仲間の皆さん、
大橋社長のメッセージを見て違和感を覚えた方も多かったのではないでしょうか。

大橋社長のメッセージでは、

昨年当社で発生した労働災害の分析では、約90%が「ヒューマンエラーによる災害」(不安全な行動による災害)であるとし、一人ひとりが『職場のプロ』との自覚の下に、
 1.「自分自身の安全衛生は自分で守る」という自己責任意識に基づく行動
 2.管理監督者による率先垂範と部下に対するルール尊守の徹底
といった行動原則の重要性を再認識して、業務遂行に当たって下さい。


と言っています。

ここから読み取れる問題点

本来、経営者は労働災害の監督責任があるはずです。しかし、この社長メッセージからは、労働災害の大半は労働者の不安全行為に起因しているので、本人の自己責任意識の高揚と、管理監督者の部下への指導強化をといった、労働者個人とその上司に責任転嫁をしているのが見て取れます。
個人責任追及のみで不安全行為をなくさせることは難しいというのが現場での率直な思いではないでしょうか。人間が働いているのですから。

災害件数の大幅な増加の真の原因究明を

川重労組ニュース(第1501号)では、今年の1月から5月の全災害件数は42件で、昨年の同時期の26件に比べ大幅に増加していることが報じられています。

社長メッセージでは、この災害件数の大幅な増加に関する言及は見当たりませんが、経営者として危機感を募らしていることでしょう。災害を起こそうとして起こす人はいません。JRの事故の教訓は個人の注意力だけでは事故は防げないということです。災害件数の大幅な増加がなぜ起きているのか、災害の背景も含めた真の原因を究明せずにして有効な対策を打ち出せるはずはありません。『安全な職場を実現しよう』の呼びかけも現実性の薄いものになってしまう懸念があります。無事故・無災害は労資共通の願いではないのでしょうか。

(05.07.27)