読書感想"平凡社新書・人間が幸福になれない日本の会社"

 読者の方から、読書感想"平凡社新書・人間が幸福になれない日本の会社"という投稿がありましたので紹介します。


 最近読んだ本の紹介をします。
 佐高信著「人間が幸福になれない日本の会社」平凡社新書です。
 本書の中に、ヨーロッパの労働者と在住日本人労働者の対比が論じられた一文を紹介します。

 フランスの落日の遅い夏の日の午後10時の光景です。まわりのオフィスがみんな退社して真っ暗なのに、そのオフィスだけが煌々と明かりをつけて日本人社員が働いています。
 欧州では、市民として3つの義務((1)職業人として、(2)家庭人として、(3)地域社会に奉仕する)を負っています。但し、この3つの義務を免除されている人がいる、それは軍人、警察官と囚人であると言われています。
 「日本の会社人間は、市民ではなく軍人である。軍人とビジネスで市民が戦うのはアンフェアではないか」と欧州人は言います。

 他にも、責任をとらずに済む経営者、社員を蝕むマインドコントロール等「失われた20年」を経て日本の企業がどうなったかを著者の目線で、鋭く指摘しています。
 例えば、2014年1月にNHK会長となった籾井氏を引き合いに、傲慢なトップである大王製紙の井川親子から古くは三越のワンマン岡田茂氏への批判、さらに下請けに無理を強いる「トヨタ看板方式」が与える社会への弊害などに言及し、大企業(経営者)の傲慢さを本書で強く批判しています。

Y.H


(16.05.15)