どうなる川重のコンプライアンス
*** コンプライアンス教育を実施 ***

川崎重工は事務・設計部門(派遣社員含む)の全従業員を対象に、添付の「川崎重工業倫理規則」を社内メールにて配布し、パソコン上でのコンプライアンス教育を実施しました。この教育の内容とその後の会社の状況を少し見てみたいと思います。

会社はこれらの教育を実施することで、「企業の社会的責任」を果たしていると言いたいところなのでしょうが、実際はどうだったのでしょう。

教育を実施した直後の、つい最近も「ごみ焼却炉談合事件」や「水門談合事件」で新聞紙上を騒がせています。特に「ごみ焼却炉談合事件」では、1999年6月に公正取引委員会の審決で、独占禁止法違反と認定されましたが、会社はこれを不服とし、審決の取り消しを求める訴訟を東京高裁に起こして、現在も審理が続いています。

談合は複数の企業が組織で行うものであり、従業員個人の裁量で行えるものではありません。下記企業倫理を名ばかりのものにしないためにも、これらの反社会的行為に対し、真摯に反省し、「サービス残業」や「偽装請負」なども含め、一切の不正行為を行わない会社にすべきです。

以下に今回実施された「コンプライアンス教育(一部)」の内容と「川崎重工業倫理規則」を紹介します。

コンプライアンス教育(一部紹介)

【入札談合】
競争入札や競売において、談合(官製談合含む)、脅迫等により、入札等の公正さを損なう行為を行ってはなりません。許されない行為の具体例としては以下のようなものが挙げられます。

  • A市の公共工事の入札において、B社の落札という方向で入札談合を行う。
  • C県の公共工事の入札において、県知事の内々の意向を受けて、渋々D社の落札という方向で入札談合を行う。
  • E市の公共工事の入札において、担当する市職員に金品を授与し、当該工事の最低制限価格を入手する。

【労働条件の不備】
労働基準法、労働協約、就業規則等を遵守し、これらに違反する行為は行ってはなりません。許されない行為の具体例としては以下のようなものが挙げられます。

  • 思想信条・性別等を理由に労働条件の差別をする(労働基準法違反)。
  • 所定労働時間を越える労働および休日の労働に対して所定の割増賃金を支払わない(労働基準法違反)。
  • 労使協定による時間外労働および休日労働回数を遵守しない(労働基準法違反)。
  • 年次有給休暇・災害補償等について、法令に従った適切な運用をしない(労働基準法違反)。
  • 育児・介護責任者や妊産婦へ一定の配慮を行わない(労働基準法違反)。

【差別的取り扱い・嫌がらせ】
職場(取引先事務所、打ち合わせを行う喫茶店等も含む。施設見学会、職場旅行、宴会の席等も職場の延長とされる)において、人種、思想、信条、性別、年齢、社会的身分、家柄、国籍、障害の有無等に基づく差別的取り扱いや、セクシャルハラスメント、パワーハラスメント等の嫌がらせは行ってはなりません。許されない行為の具体例としては以下のようなものが挙げられます。

  • 外国人だからといって、不当に昇進させない(差別的取り扱い)。
  • 女性のいる職場で卑猥なジョークを頻繁に言う(セクシャルハラスメント)。
  • 上司が食事やデートに誘い、拒否すると給与やボーナスの査定を下げる等職務上の地位を利用する(セクシャルハラスメント)。
  • 上司が気に入らない部下に対して嫌がらせ目的で、不当に大きな声で皆の前で叱りつける(パワーハラスメント)。

川崎重工業企業倫理規則

川崎重工業企業倫理規則

(通則)
第一条 本規則は、当社役員および従業員が、企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)の重要性を認識した上で、遵守すべき企業倫理の基本理念について定める。当社役員および従業員は、企業活動を行うに当たり、本規則に定める企業倫理の基本理念を遵守しなければならない。特に役員は、本規則に則り、率先垂範の上、リーダーシップを発揮して本規則、国内外法令および、社会ルールならびに社内規則、規程、基準を全従業員に遵守させなければならない。
(基本理念)
第二条
 1. 企業人としての倫理規範の実践業務に対して、真実に立ち、正しいことを行う。
 2. 人格・人権の尊重と差別の禁止快適な職場環境を作り、これを維持するため、全ての人々の人格と人権を尊重し、いわれなき差別、セクシャルハラスメント、部下のいじめなどの行為を行わない。
 3. 環境保全の促進限りある資源や自然を大切にし、地球環境への負荷低減を図るため、資源・エネルギーの節約、廃棄物のミニマム化、資源リサイクル促進ならびに環境汚染防止等に自主的かつ積極的に取組む。
 4. 適正な会計処理企業活動の記録・会計処理は、法令・規則等に定められた正しい基準に従って行う。
 5. 法令および社会のルールの遵守(コンプライアンス)コンプライアンスの重要性を認識し、コンプライアンスに積極的に取組む。 

(07.04.01)