橋梁談合と分社化の動き
5月23日鋼鉄製橋梁工事をめぐる談合事件で、公正取引委員会は2つの談合組織(紅葉会と東会)のメーカ8社を、独占禁止法違反の容疑で刑事告発をし、これを受けた東京高検は同日8社の本社や担当社員の自宅などの強制捜査を行いました。その後、この談合事件は、日本の大手橋梁メーカ47社に捜査の手が及び、5月27日には談合を主導していた11社の担当者14人が逮捕されるという前代未聞の談合事件になり、逮捕者の中には川重の社員も2名含まれていました。談合事件が底知れぬ広がりを見せる中、川重は6月6日橋梁部門の分社化を加速させることを発表しました。
<談合事件を逆手に取った「分社化の動き」>
刑事告発を受けた5月23日以降、毎日のように新聞報道され、国土交通省OBや道路公団にも捜査が広がり、天下り官僚や元道路公団理事が談合を主導していたことも明らかになってきました。また、与党自民党は捜査を受けた47社の内33社から11年間にわたって16億円の政治献金を受けていたことも分かってきています。まさに政・官・業の癒着の構造が長年にわたって築かれており、このことが談合の温床になっていたことは明らかです。このような中、6月5日の新聞各紙は川重が「橋梁部門の分社化」に動き出していることを大きく報じました。これを受け川重はホームページで以下のコメントを掲載しています。
このたび、一部の新聞などで当社が橋梁事業を分社化する方針である旨の報道がなされました。当社は2000年に中期経営計画を策定し、カンパニー制の導入をはじめとして、船舶事業、精機事業およびプラント事業の分社化、破砕機事業の合弁事業化などの事業構造改革を進めてきました。その一環として橋梁事業の分社化についても、官公需案件の受注に関わる入札参加要件をはじめ種々の課題を踏まえ慎重に検討を進めています。 |
談合事件が底知れない広がりを見せる中、川重は、労組や従業員に何の説明もないまま、「分社化の検討を加速させて参ります」など、「分社化」の動きを早々と肯定しています。造船事業、精機事業、今年4月のプラント事業など不採算部門は「構造改革」の名のもとに分社化されてきました。橋梁事業も「談合事件を契機に、分社化の検討を加速させる」と会社は言っていますが、「臭いものは切り捨てる」ということなのでしょうか。分社化されると確実に賃金など労働条件は川重本体より低く抑えられます。会社は談合事件への関与に対し反省もなく他人事のように述べています。談合事件は業界全体が組織的に行ったものであり、会社の経営責任であることは明白です。労働者が何故その責任を取らなければならないのでしょう。それとも分社化すれば談合は無くなるとでも言うのでしょうか。このような談合事件を逆手に取った分社化は断じて許してはなりません。労働組合は、健全な経営の監視役です。談合事件やそれに便乗したこのような分社化の動きについては、会社に強く抗議すべきです。
(05.06.17)