賃金格差への怒り!
今、日本社会では、先の参議院選挙で現れたように、自公政権が押し進めている構造改革の名の元による、貧富の格差拡大への怒りが渦巻いています。
この格差の拡大は、川崎重工でも4年前から導入された「カンパニー業績連動制度(TAR−GET3)」・「定期昇給制度見直し(TAR−GET1)」・「R系列処遇見直し(TAR−GET2)」により、急激に増大されていきました。
そこで、「川重労組ニュースNo.1561号」と、「川重労組ニュースNo.1563号」から、職場での賃金格差への怒りの声と解決策を、皆さんと考えてみたいと思います。
カンパニー業績格差に対して、どんな怒りの声が上がっているのでしょうか
「川重労組ニュースNo.1561号」第4回中央委員会から組合員の怒りの声を聞いてみましょう。
「Q.07年度のカンパニー業績格差(最大差)は21万円まで拡大し、職場では不満が高まった。カンパニーの業績悪化を招くのは経営陣の舵取りミスが大部分であるが、そうした中で、もし格差(最大差)が30万円まで拡大したら、この不満は爆発すると言っても過言ではない。執行部の示した『許容範囲は5から10万円まで』あるいは『格差を無くすべき』とする考え方は、職場のまとまりを保つ上でも、一貫して主張していくべきである。」
これに対して組合執行部は、どのように答えているのかを聞いてみましょう。
「A.ご要望については、真意をしっかりと踏まえた上で今後の対応につなげていくつもりでありますが、一方では『格差は維持するか、あるいは拡大しても良い』という意見もあることから、こちらの意見も尊重しながら今後の会社協議に臨んでいきます。」
組合執行部が自ら示している『許容範囲は5から10万円まで』あるいは『格差を無くすべき』とする考え方は、TAR−GETにたいするアンケートや職場の声を踏まえて示された、組合員の大勢の声から、導き出されたものではないのでしょうか。
この4年間で会社側の実行した賃金改善とは?
「川重労組ニュースNo.1563号」第41回年次大会から、会社側が行った賃金改善の実態を、組合員と組合執行部の質疑応答から聞いてみましょう。
「Q.この春、職場長・班長の職責加算が増額された一方、工師・技能士の職責加算は据え置かれた。・・・」
「A.賃金改善の取り組みの結果についてはご指摘のとおりの結果となりました。・・・しかしながら工師・技能士がライン管理を行っている実態があるのなら、その分の手当引き上げを図る必要はあるとの思いを持っています。・・・職場実態の十分なるフォローを継続していきます。」
「Q.賃金改善の取り組みで、職責加算やLS手当に対する原資投入が行われたものの、R系列に対する原資投入が全く無く、非常に不本意であった。・・・」
「A.賃金改善の取り組みにおいては、特定層に対してのみ原資を投入するという今までにない手法をとったことに対して、様々なご意見をいただきました。中でもR系列については、全く原資が投入されなかったのは事実です。これは、あくまで労使交渉の産物ではあるものの、R系列の組合員が抱いていた期待を裏切ってしまったということであり、この点で課題があったと認識しています。ご意見については、今後の取り組みに向けた叱咤激励と受け止めた上で、活かしていきます。」
以上の質疑応答から見えてきたものは、会社側は「特定層(職責加算やLS手当の受給者)に対してのみ原資を投入」して、「工師・技能士の職責加算は据え置かれた」・「R系列については、全く原資が投入されなかった」事実から、多くの組合員には原資は投入されていないことになり、4年前に会社側がバラ色のように描いていた、賃金の原資を増加させると言っていたことが、虚構であったことが検証されたことです。
賃金格差是正の解決策はあるのでしょうか?
カンパニー格差は、組合員の責任なのでしょうか?
この問いに対して組合員は、「カンパニーの業績悪化を招くのは経営陣の舵取りミスが大部分である」と明快に答えています。この声は、まさに組合員の大多数の声を代弁してくれています。
なぜ、会社側は、賃金の原資を大幅に拡大しなかったのでしょうか?
この問いに対しても組合員が、「執行部の示した『許容範囲は5から10万円まで』あるいは『格差を無くすべき』とする考え方は、職場のまとまりを保つ上でも、一貫して主張していくべきである。」と明快に答えているように、組合員の要求を「一貫して主張していく」ことを実行しない限り、利潤第一主義の会社側は、表面上の少しばかりの目くらましで、組合員の怒りをそらしながら、賃金原資の拡大の声には耳を傾けないでしょう。
会社側に、大幅な賃金原資拡大は不可能なのでしょうか?
今、川崎重工は空前の利益をあげています。各工場設備拡大にも力を入れています。賃金を大幅に拡大する原資は、十分過ぎるほど持っています。約1万人の組合員に年間一人当り10万円の賃金をアップしても10億円にしかなりません。
職場の仲間やご家族の皆さんとこの賃金格差問題を語り合い、組合員・ご家族・組合が力を合わせて「一貫して主張していく」ことを継続していけば、賃金格差は是正されるのではないでしょうか。
(07.11.03)