「はぐるま」 2019年 新年号 NO.238 |
須磨海岸 初日の出(M.F) |
Contents
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庶民と働く人々をいちばんに大切にする政治と職場への大転換の年に!
新年明けましておめでとうございます。
昨年、世界では、史上初の米朝会談で朝鮮半島の「完全な非核化」が合意され、対立から平和への大転換が起こりました。日本では、市民と野党の底力が発揮され、沖縄知事選で「オール沖縄」のデニー氏が圧勝しましたし、安倍首相が執念を燃やした改憲案の提案を断念させました。世界でも日本でも、政治を動かすのは、一人ひとりの市民が声をあげ立ち上がることだと教えています。第2弾 すべての人を技術・技能と共に人間的にも「育てる」企業に!
(前号)
人財として育てきれない現状と要因
前号の「はぐるま」秋季号において、いま職場では、とくに青年層の離職者と精神疾患が急増していること、その背景として、人財を単なる利潤追求の労働力として扱い、①非正規雇用への置換など人財に必要なお金をかけていない、②人事政策の基本が労務管理が主となって個人が尊重されていない、ことを指摘し、非正規雇用をやめて雇用は正社員とし、すべての人を人間として尊重し、大切に「育てる」ことを提案しました。
今回は、「ROIC経営」で人財が育つかを考えてみました。
重工産業の業種は実務での長い経験が必要
会社は、人財育成方針・体系や新人・若手育成などの膨大なプログラムをつくり、人財育成に取り組んでいます。この集合研修には時間もお金もかけていますが、思うように成果が上がっていません。なぜでしょう。
その要因として、上の段で述べた①②の弊害を増幅させる要素が重工産業の業種柄としてあると思います。
重工産業の製品は、何十年も過酷な環境の下で使用されるものが多く、自社の多くの関連部門と広い裾野産業の持つ技術・技能の集大成と言えます。したがって、それらの習得には、集合研修も大事ですが、実務を通じて数十年の経験を積むことが必要となります。
経験を積むために必要な環境と要件
しっかりとした経験を積むためには、★豊富な経験と高い知識・技能等を持つ人間味ある先輩たちがいること、★関連企業も含め他の部門の人たちと互いに学び協力できる人間関係があること、★「何より人の役に立つものをつくりたい」(ドラマ『下町ロケット』)というものづくりの根本精神が満ちていること、少なくともこのような環境が必要だと思います。
そのためには、♦雇用は正社員とし、技術伝承のための間断ない新規採用、♦安心して働き生活できる賃金と労働条件をベースに温かい人間関係の確立、♦製品の利用実態と課題を把握できる仕組み、などが必要になるでしょう。
「ROIC経営」で、人を育てられるのだろうか?
ROIC値目標を一律に設定し、その達成が困難なら「縮小・撤退などの意思決定」をするという目先の利益最優先の「ROIC経営」で、本当に人を育てられるのでしょうか。
幹部社員からは、「事業の採算面だけで評価し過ぎる。いいモノをつくるという本来の目的が失われている」という不満の声が。みんなで話し合ってみましょう。
(次号につづく)
【大河】 昨年11月、巨額の報酬を受け取りながら有価証券報告書で虚偽の報告をした疑いでゴーン日産会長(当時)が逮捕。 ゴーン氏は、日本企業で過去最大規模の約4万人にのぼる人員削減と工場閉鎖を強行し、格差と貧困を拡大した一人です。こうした経営で製造現場を蝕み、リコール急増、検査データ改ざんなど、ものづくり基盤を掘り崩す一方で、年10~20億円もの法外な報酬を手に。「株主利益の極大化」を主張する今日の資本主義のあり方が根本から問われています。 安倍首相は、以前から「ゴーンさんが果たされた役割は大きい」と持ち上げ、大企業優遇税制などで後押ししてきました。 ゴーンさん・安倍さんへ、朝ドラ「まんぷく」の一場面です。 「萬平さんは、お金持ちになりたいと思うて会社を作ったわけやありません。世の中の役に立ちたい、世の中の人を喜ばせたいと、もうそれだけ思うて仕事してるんです。」 |
岐阜工場で死亡災害が発生 |
昨年10月31日(水)、岐阜工場内のテントハウスの屋根に溜まった水を落とす作業中に、建設工事業の50代男性が誤って落下(高さ約6m下)し尊い命を失いました。故人に対し謹んで哀悼の意を表するとともに、ご遺族の方々に心からお悔やみ申し上げます。
会社は、今回の災害は統括外として扱っていますが、労働安全衛生法により、元方事業者として労働災害防止の必要な措置を講じなければなりません。尊い命を失っているわけですから、必要な措置が講じられていたのか、きちんとした検証が求められます。
突然のディーゼルエンジン生産の縮小方針 |
11月に神戸工場で、今後のディーゼルエンジン生産の方針について会社より説明がありました。その内容は、「来年度は、現在受注している台数は製造するが、以降外販はせず、社内向けのみの製造となり、年間約20台から4、5台になる。人員対策は他部門への応援で対応する」というものです。船舶に続き、儲からない事業は縮小・撤退の方針と考えられます。
ディーゼルエンジンの生産は、川重の歴史がある事業です。とくに多くの部品製造の中小企業にとって死活問題です。それらの企業には説明済みとのことですが、仕事量の確保には、あらたな取引先を探す必要があります。
船舶では構造改革発表後、若者の退職者が相次ぎ、「優秀な人財が流出」していますが、ディーゼルも同様な状況にならないか危惧されます。
労働協約は労働者の生活権利を守るもの
解雇・懲戒処分等に関する就業規則と労働協約の改正が、11月22日の中央委員会で「特に質疑なく、拍手で可決・決定」され、1月1日から施行されることになりました。改正内容は解雇・懲戒処分等に関して「周囲との協調性を著しく欠き、正常な業務運営を阻害しているとき」という事由の追加です。
解雇は、労働者の生存権に関わる重大問題であり、その実行は極めて慎重であるべきです。問題は、「周囲との協調性」というあいまいな事由で解雇できると労働協約に追加されたことです。しかも、この事由での解雇が、「あらかじめ組合と協議」も必要ないとなっていることです。
労働協約は、組合員の生活・権利を守るために、賃金や労働時間等の労働条件並びに会社との関係に関わる事項について、会社との団体交渉で勝ち取ったことを書面化したもので、就業規則より優先されるものです。
このような重大な問題の労働協約の改正を、提案から数カ月で決定してよかったのかどうか、検討が必要と思います。
2018年従業員意識調査結果の発表
3万人近い従業員が回答した従業員意識調査結果が、『かわさき』で発表されました。前回の2015年と比較すると、
★企業像に関して数値が低下
★ROIC経営が依然理解に至らず
★コンプライアンス関連は全般的に意識が高い
という結果になっています。
これに対する会社のコメントは、
★企業像低下については深刻に受止めている
★ROIC経営についてはKPIの落とし込みを強化
★隠れたコンプライアンス違反をなくす
★最後に「特に上司である皆さんは、これらを踏まえ、より良い職場づくりを心がけてください」
というものです。
職場のハラスメントをなくすための法整備を! ハラスメントは、働く人の尊厳・人格を傷つけ、多くの被害者が、謝罪さえ受けることなく、休職・退職に追い込まれています。職場でのハラスメントが、人生を狂わせ、働き手を経済社会から失わせるという深刻な結果をもたらしています。 今年ILOは、職場におけるハラスメント除去の条約を採択します。ハラスメント後進国日本は、幾度となくILOの勧告を無視し、審議会で議論はしますが、未だに法規定を先送りしています。労働者・女性の願いの実現や、世界の流れからも、今年こそ本腰を入れてハラスメント禁止の法規定を制定すべきです。 1.2019年に採択されるハラスメント規制のILO条約に見合う水準の、職場におけるハラスメントを包括的に禁止する法整備を行うこと 2.被害の認定と被害者救済のために、労働行政の体制を確立・強化するとともに、独立した救済機関(行政委員会)を設置する <日本共産党国会議員団申入れより> |
読者の広場 | |
なぜ福祉だよりでのお知らせ? 福祉だよりVOL.53に2019年3月の給与明細から給与・賞与明細の電子化をスタートするとありました。噂は聞いていましたが詳しい説明もなく一方的な知らせにビックリ、せめて頑張った証として給与明細を紙で受け取り、持ち帰りたいと思うのは私だけでしょうか? そもそも給与・賞与明細は福祉の一環なのでしょうか? 異議あり、釈然としません。 (明石・給与明細は紙で) |
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最後まで残業? 12月28日の最終出勤日、例年は「蛍の光」が流れて全員定時退社だが、今年は中国向け建機分野の生産が遅れており、製造部門は残業なので、一応配慮してか「蛍の光」は流れなかった。 事務所も現場も増員して、日々遅くまで残業もしているが、それでも顧客の要求に追いつかない状況。西神戸のみなさん、本当にお疲れ様、そして、大丈夫ですか~? (西神戸・裏山のイノシシ) |
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就業規則の改正 急に浮上して、いきなり新年から施行されるってひどくない? 「周囲との協調性を著しく欠き、正常な業務運営を阻害しているとき」は解雇する。これって上長のみが判断するのでしょうか? ちょっと怖くて心配です。 (霜降り和牛) |
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線路は続くよ 新幹線台車事故、北米での損失発生、車両事業撤退騒動などで落ち込んでいましたが、カンパニー長からの励ましに元気をもらっています。昼食会、懇親会などでの対話と、ブログやメールを通して車両事業の将来性、従業員を大切にする気持ちが熱く伝わってきます。 (兵庫・頑張る!) |
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「はぐるま」への期待の一言 | |
カンパニーの製品は短期的な利益確保の為だけにある訳ではありません。社会貢献、ブランド力強化、従業員の生きがいの為でもあります。「はぐるま」には、会社の実務者目線での意見を今後も発信し続けてほしい。 (神戸・T) |
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盛りだくさんの記事が載っていて、少し欲張りすぎて見にくいですが、働くものの視点に寄り添って作られていて、鋭い切り口が良いと思います。中でもいろいろな職場の様子がよくわかる職場だよりが一番面白いです。もっと多くの人の本音が集まるようになればいいなと思います。 (本社・A子) |
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配布したことによってあがった成果が見えると、非常にモチベーションがあがると思います。是非とも、成果を記載していただけることを期待します。 (機械くん) |
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2018年はレスリングや体操などスポーツ界のパワハラがテレビでニュースになりましたが、「はぐるま」秋季号に職場の“パワハラ”に関する記事が載っていました。告発や相談が増えていると聞いて大変気になりました。 パワハラは相手の人権を傷つける許せない行為であり、職場の雰囲気も悪くするし、職場の崩壊にもつながりかねない最悪の行為だと思います。「はぐるま」には、この問題での有効な解決策が掲載されることを期待しています。 (神戸・K) |
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その時々の経営の問題を良く分析し、わかり易く説明されており、毎号、とても楽しみに読んでいます。 バス乗り場が正門近くにあるので、そこからバスに乗る人はなかなか受け取れないと思うが、もっとたくさんの人が読むと良いのにな~。 (西神戸・そだね~) |