「はぐるま」 2021年 春季号 NO.247 |
高知県土佐佐賀(M.F) |
Contents
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新人事処遇制度は川重の「成長を支えるための重要な柱」になり得るか
4月から導入された新人事処遇制度は、新職能資格の辞令を省略し5月の給与明細で通知するという異例な形でスタートしました。
4月8日の社長メッセージでは、本制度は「今後の当社の成長を支えるための重要な柱の一つ」と述べています。改めて制度の内容と問題点を整理してみたいと思います。
〈制度の特徴的な内容〉
・年齢給としてのLS手当などの年功的要素を廃止し、能力・役割・成果をより重視した処遇・評価とする。
・制度移行の組替時の調整給は2年目50%、3年目で解消(R系列は2年目で解消)。2年目から減額になる人も出る。
・職能資格の見直しにより「降格」もあり。15年間昇進しない場合は毎年、習熟加算累積額を「80%圧縮」する。
・V系列・A系列の業績評価は、所属長の「絶対評価」で決定する(S系列・G系列は従来どおり)。
賃金の「生計費原則」の否定では長く働き続けられない
今回の制度は、簡単に言えば、〝結婚しようが、子供ができようが、子供が大学に行こうが〟、「能力・役割・成果」で給料を決めるというものです。
せめて、生計費が保障されておれば理解もできますが、基準賃金の職能給基本額を見ると、A・G等級の下位は17万円、これに習熟加算を加えても、とても自立して人間らしく暮らせる水準(全労連によると若者で月額22~25万円)ではありません。
生活の糧である賃金は、心身ともに健康を維持し、子を養い教育を受けさせ、次世代を育て社会に送り出すに必要なものであるべきです。国際的な最低の労働基準を規定しているILOも、最低生活水準は、「生計費」あるいは「労働者とその家族の必要」で決めると定めています。
「生計費原則」を否定し、賃金カーブも開示しないでは、将来の見通しがたたず、安心して働き続けることができません。
「挑戦意欲」と「覚悟」を競う評価では助け合う風土が壊れないか
社長メッセージでは、従業員に「挑戦意欲」をしきりに要求していますが、問題は従業員というより、「WINDEX」の調査結果が示すように、極めて低い評価となっている「経営陣への信頼」「社員を活かす環境」等の解決が経営陣に求められているのではないでしょうか。
「挑戦意欲」や「覚悟」を競う評価では、「絶対評価」は難しいだろうし、評価する方もされる方も大きな負担となります。そして、働くもの同士の助け合う風土が壊れ、パワハラや過労死・自殺、精神疾患などが、今以上に増えないか心配になります。
もっと職場の連帯や「育てる」ことを重視し、みんなが成長しながら、ものづくりの楽しさを実感できるような人事制度に充実していってほしいと思います。
いつまで「固定費の増加」を理由に春季要求を拒むのか!
今年の賃上げは、昨年から続くコロナ禍の影響により、休業や残業の減少で給料が減り、賃上げを求める職場の声がありましたが、総合重工部会の統一した要求が困難だとして見送られました。
労組は、企業内最低賃金の増額や勤務間インターバル制度の新設、会社責による休業保障の改善などを、せめてこれだけはという思いで要求しました。
会社は要求を一定程度認めましたが、企業内最低賃金の増額や休業保障の改善などの人件費増額が伴うものについては、これまでと同様に「固定費の増加」の理由を持ち出し要求どおりの回答を拒みました。労組も、これを持ち出されると賃上げさえも、不満を示しながらも会社回答を認めてきました。
会社は、これまで「経営危機」などがあるたびに「固定費の増加」を理由に人件費圧縮の諸策を行ってきました。その結果、この15年間の平均基準賃金は、30万円前後で推移し、実質賃金は下っています。一方で、内部留保は2,018億円から5,716億円に約3,700億円も増加しています。
会社は『行動規範』の中で「従業員は最も重要な財産であると考え、『人財』と表現しています」と宣言していますが、これでは人財をもっとも削減できるコストとして見ているのではないでしょうか。
ILOは、2007年の総会で「持続可能な企業」という問題を提起し、その中で「労働者はコストではない。労働者は財産である」と述べています。労働基準法第1条では、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすものでなければならない」こと、そして「その向上を図るように努めなければならない」と規定しています。
経営陣は、国際基準や労基法に則り「持続可能な企業」とするために、コロナ禍のときこそ「固定費の増加」論と決別すべきではないでしょうか。
理解できない車両・MC&Eの「分社」理由 |
昨年10月に「経営の意思決定のスピードを早め…他社との協業なども視野に入れ機動的な体制を整備する」(社長)として提案された車両事業とモーターサイクル&エンジン事業の分社化は以下のように了承されました。
・分社後の新人事処遇制 度・福利厚生制度、労働条件は、川崎重工と同様の取り扱いとする。
・一時金は同基準(全社ベースの指標)で支給されAP交渉は統一要求・交渉・妥結を基本とし「当面の間」は3社で歩調を合わせる。
・人材交流、技術支援は従来通り実施し、人事制度や採用政策などの施策も共通化をはかる。
そもそも社長が「社名が違うだけ」というなら、なぜ分社なのか理解できません。
労組も職場からそのような声があがっていると発言しています。
経営側に問題があるのならばそれを明らかにし、現状の体制でなぜ解決できないのかを示すべきです。非正規社員の雇用については何も分っていません。
職場体操が就業時間内に変更 |
「はぐるま」でもたびたび取り上げましたが、神戸工場以外、就業時間前に行われていた職場体操が、一部の工場を除き、就業時間内に変更是正されました。
職場体操は健康・安全衛生上でも重要なものであり、腰痛・転倒災害を防ぐ事につながると指摘されています。
全工場で就業時間内に統一するべきです。
分割・統合ありきの「新会社」設立 |
今年1月に経営基盤強化策として、シールドマシン事業を日立造船の同事業と統合する、新会社設立案が提案されました。
事業の形態や労働諸条件など、ほとんど決まっていないのに、先に人選を計画するなど前代未聞です。職場からの質問が労使間でどう解明されたのか、明らかにされない状況で、日立造船と協議が進められています。また、非正規社員の雇用については、何もわかっていません。
そもそも、現状の体制ではなぜ無理なのかなどについて、納得のいく説明がありません。あまりにも分割・統合ありきの強引な進め方であり、かつて2009年に建設機械事業が分社され、6年後には日立建機に譲渡されたことが想起され、同様の道を歩まないか心配されます。
川重のジェンダー平等をすすめるために |
・世界経済フォーラム(WEF)が今年3月発表した「ジェンダーギャップ指数」(経済、政治、教育、健康の4つの分野で、各国の男女の格差を数値化したもの)で、日本は156か国中120位と大きく立ち遅れています。
・日本では男性の3倍近くの女性が非正規として働き、コロナ禍で100万人を超える女性が飲食業、小売業、宿泊業などで実質的な失業により生活が困窮しています。
・国連は「持続可能な開発目標 (SDGs)」の目標の1つに「ジェンダー平等」を掲げ、男女の性によるあらゆる形態の差別を無くし、政治や経済、教育など社会の広い範囲で女性が活躍する機会の確保を求めています。社会の発展のためにはあらゆる場面で女性の参加を求め、偏見や差別をなくし一人ひとりの権利と、尊厳が大切にされる社会をつくることが必要です。
・多くの国では政治や経済などで女性が活躍するなか、日本の取り組みは世界的に大きく遅れたものとなっています。
川重の現状
川重は、「女性活躍推進法」に基づいて行動計画を作成し、女性管理職を20年度の58人から25年度に116人へ倍増する目標を決めています(HRnewsNo773)。
しかし、4,000人を超える川重の基幹職の中で116人は3%にも満たない目標です。国が第5次男女共同参画基本計画で、目標としている2025年の企業の課長相当職18%、部長相当職12%からも大きくかけ離れています。男女格差解消の本気度が感じられない行動計画となっており、役割や賃金などでの男女間の大きな格差の解消には程遠いものになっています。
取り組みの前進に向けて
川重がジェンダー平等推進に積極的に取り組むためには
・川崎重工グループの重要課題(マテリアリティ)にジェンダー平等を明記する
・男女格差解消、女性活躍を進める行動計画に見直す
など本気の取り組みにしていくことが重要です。
【大河】 新型ウイルスのパンデミックは勢いが止まりません。懸念されていた変異株が出現し感染を広げ、それが新たな変異株を次々と生み出しています。インドでは「二重変異株」が発生し、新規感染者が連日30万人超。ウイルスに国境はないので、それが世界に広がっています。日本でも変異株による第4波により、大阪ではすでに医療が崩壊し、治療の優先度決定の議論が迫られる状況です。 コロナ危機が人類に教えていることは、人間を大切にし、ケアに手厚く助け合う社会をつくること、科学を尊重し、それにもとづいた対策をとることです。 残念ながら、このことをまったく学ぼうとしないのが菅政権です。共産党志位委員長は、この政権のコロナ対応について、科学の無視と「自己責任」の押し付けが二つの致命的な欠陥と指摘しています。 科学を政治の支配下に置こうとする学術会議の任命拒否、「感染拡大の主因とのエビデンスはない」と固執したGoToキャンペーン、世界の中で異常と言われるほど少ないPCR検査、疲弊続ける医療機関への減収補填の拒否や補償なしの自粛要請。そして、勧告や命令に従わなければ罰則という強権手法は、国民を分断するだけで感染対策の障害になるだけです。 極めつけは、東京五輪開催の強行です。医療支援に集中すべきときに、しかも世論の7割が開催を望んでいないのに、「IOCが決めている」と無責任な態度です。日本国民の命と暮らしにこんな無頓着な政権は、次世代のためにも即刻退場です。 救いは、とくに青年の中で広がっている科学的な知見にもとづく連帯と運動です。温室ガス削減や性暴力のない社会を求めるフラワーデモ、政府への核兵器禁止条約の参加要請などは、明るい未来を拓くでしょう。 |
KPS 生産管理板の運用・評価に関する調査への協力のお願い 全社でKPS生産管理板が強力に推し進められています。しかし現場からは「分刻み秒刻みの作業管理にストレスが溜まる」、「人間的でない」などの不満の声が聞こえます。その運用実態と問題点、評価などについて調査したいと思います。川重党委員会のHPからアンケートへの回答のご協力をよろしくお願いします。 |
新入社員の皆さんへ 入社おめでとうございます。コロナ禍の厳しい状況下ですが、自分らしさを大切にして、この危機をともに乗り越え、希望に満ちた人生の一歩となることを願っています。 |
読者の広場 | |
2030年を目指して 今年度は激動の一年になりそうです。人事制度も変わり、分社化されるカンパニーもあり、これから先不安しかありません。西神戸では新目標管理の説明がやっと終わったかと思ったら、1週間も無くすぐに作れって。じっくりと従業員と作り上げていくようなものではないんですね。 個々それぞれでは皆さん優秀な方ばかりなのに、上層部の顔色を窺っているような施策ばかりで心配です。それでもこんな時だからこそ、失敗に目くじら立てず新しいことをどんどんとやって全社一丸で頑張っていきたいですね。 (西神戸の星) |
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すみれ観察会 明石工場恒例の「すみれ観察会」が4月14日水曜日の昼休みに開催.。昨年はコロナで中止されたが今年はマスクとソーシャルディスタンスで厳かに開催。各自自由に鑑賞、時間的には少し早かったようだがこんな穏やかな時間も良い。 (明石工場・A) |
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日々感じていること 派遣の待遇について、交通費月一万円ではキツイです。大半の人は赤字です。電車とバスを乗り継いでいる方はかなりの額になっています。同じ仕事でも派遣会社によって時給がバラバラで差があります。無料で寮を提供している会社もあります。もう少し考えてもらいたいものです。 (明石のたかかず) |
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ある退職者からの投稿 請求書や事務用品の締切がストレスでした。心臓が、ドクドクでした。いま不整脈は、なくなりました。年金生活者ですが、女性というだけで、2割ほど減らされています。凄い制度です。 (川重に青春をささげた美女) |
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ヒエラルキー 計画を作る人がより偉く、計画に従い業務をする人は偉くないという風土。逆に、すべての責任を負うのは計画を作る人という風土。計画作りも成果のための業務の一つ。皆が同じ成果にコミットしやすい風土づくりが必要です。 (神戸・たこ焼き大好き) |
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精機のいいところ 西神戸は自然がいっぱいで、今年は夏冬関係無く窓を開けているので、そろそろスズメバチが部屋の中を飛び回る季節になりました。そのため世界最先端の設計事務所には虫取り網が常駐されてます(笑)。 事務所もパーティションが段ボールからアクリル製になり見晴らしもよくなりましたが、嫌な上司の様子もよく見えるので、その点では段ボールの方が過ごしやすかったなぁ。 (西区の住人A) |
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PCR検査ユニットの有効活用を 播磨工場ではPCR検査用ユニットを搭載したコンテナユニットを10数台製作中です。この検査ユニットの能力はコンテナ1台当たり1日2500件、検査時間80分となっており、必要な場所に移動ができます。感染を抑え込むにはPCR検査数の飛躍的拡大が必要です。何故か、PCR検査件数が外国に比べ圧倒的に少ない日本で、この検査ユニットの有効活用が望まれます。 (播磨工場・S) |
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丼総選挙 神戸工場の従業員食堂メニューで「丼総選挙」がありました~♪ 食堂でのシール投票とWeb投票で1位に輝いた豚丼が、4月15日のメニューとして提供されました。お昼の楽しみが増えました。次回は何かな?(ワクワク) (食いしん坊) |
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より良い職場環境へ 2021年度が、始まりました。精密機械・ロボットカンパニーの2020年度は、コロナ禍の中、終わってみれば、過去最高の売上高でした。新工場、新事務所ビル建設の大工事中です。事務所の椅子が、座り心地の良い椅子に変わりました。職場体操は、他の工場に合わせて、8時からになりました。やっと他の工場レベルに近づいてきました。 (カワるサキへ) |