「はぐるま」 2024年 秋季号 NO.261 |
高千穂峡 |
Contents
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今年7月と8月に社会から信頼を失う2件の法令違反が発覚しました。こうした問題が繰り返されていますがどこに問題があるのでしょうか。
「コンプライアンスファースト」はどこへ?
川重は、潜水艦に絡む架空取引問題を4月防衛省に報告し、特別調査委員会も立上げているにも関わらず、6月に開催した中央経営協議会、株主総会に報告せず、7月になり公表し謝罪をしました。
架空取引問題を中央経営協議会や株主総会で報告しなかったことは、株主を含め、多くのステークホルダーを欺くものです。
経営陣の責任は?
8月の全社員向け社長メッセージでは、不正に関わった人は川重グループの「1%にも満たない」と話していますが、一部の職場、一部の人たちが起こした問題で済ませて良いのでしょうか。
法令遵守は、経営の根幹です。法令違反はガバナンスとコンプライアンスの軽視であり経営陣の責任が問われるのではないでしょうか。
再発防止対策は?
9月には船舶エンジン検査不正に関する中間報告書を国土交通省に提出しました。社長は不正の背景には「違反を認識しても言い出せない組織風土があった」「品質より納期や利益を優先する意識」があったと説明しました。この問題は、川重経営陣が従業員に利益最優先や成果主義を押し付けた中でおこった問題なのです。
成果を強引に求める経営が、自由に意見や問題を指摘できない職場風土を作り出しているのではないでしょうか。
労働組合は、会社からの説明を待つだけでなく、自ら原因究明や再発防止に積極的に乗り出す必要があるのではないでしょうか。
非正規社員 賃上げ・ボーナス蚊帳の外 |
川重の今年の賃上げは20数年ぶりの大幅な賃上げ(満額18,000円)回答を得ることができました。しかし、生産に貢献した非正規社員には、賃上げもなく全くの蚊帳の外に置かれたままです。
非正規社員増大の歴史的経緯
日本は「ものづくりが国を支える国」でありながら大企業は、90年代から生産拠点を海外に移転する道に突き進み、国内投資と賃金を抑制してきました。その結果、経済は内需が冷え込み、「失われた30年」の長期停滞に落ち込んでいきました。
財界と大企業はその状況下でも利益が増やせるように人件費のコストカットを戦略的に進め、労働法制の規制緩和などを繰り返しました。
1995年に正規社員から非正規社員に置き換えがすすみ、2004年には製造業へも拡大し、今では非正規社員が全雇用者の4割までに増大しました。賃金は正規雇用者の67%、非正規社員の増加が低賃金構造を拡大し、日本を「賃金の上がらない国」にしてしまいました。
日本の大企業は利益を内部留保にためこみ、その裏で非正規社員を増大させました。川重も同様です。
川重がとるべき対応
川重の2024年度の事業利益は1、300億円の過去最高額が予定されています。
今年の正規社員への賃上5%に相当する賃上げを、非正規社員にも行うべきではないでしょうか。
また生産を担う労働者は正規社員で採用し、長期で働いている非正規社員は正規に転換するべきです。
多くの非正規社員は生産になくてはならない役割を担っています。ものづくり基盤強化、企業発展のためには非正規社員の待遇改善が不可欠ではないでしょうか。
川重過労死裁判 いよいよ判決へ |
本裁判は、今年8月7日に神戸地裁での審理は結審(終了)し、提訴から2年半の来年1月15日に判決が言い渡されます。
最後の審理となった証人尋問では川重側の主張に根拠のないことが一層明らかになりました。
被告川重の2人の証人尋問では
製造部門の責任者への尋問では、証言の矛盾の追求に「記憶がない」「知らない」を連発し、被害者の業務内容も殆ど知らないなど、証人として相応しくないこともわかりました。
また人事関係者への尋問では、事件後ベランダに出て状況を確認したと詳細に証言しましたが、保険会社には、ベランダには出ていないと言っていたことが明らかになるなど、デタラメな答弁が繰り返されました。
原告の証人尋問では
毎日のテレビ通話で、ご主人が仕事で悩んでいた様子、ご主人が徐々に精神を病んでいく状況を丁寧に証言されました。
自死前夜のテレビ通話では、ご主人から頼まれて歌った「ゆりかごの歌」を原告が法廷で歌われました。法廷内は時間が止まったように静まり、裁判長も真剣に聞き入っていました。
川重がとるべき態度
遺族に一切謝罪せず、育英遺族年金の支給を打ち切り、証人尋問では支離滅裂な証言を繰り返し、事件は「自己責任」「家族の責任」とばかりの尋問を行うなど被告川重の異常さが際立っていました。
審理で明らかになった過労死を起こした会社責任を認め、ご遺族に謝罪し、再発防止策を立て、命と健康が大切にされる企業にしていくことが強く求められるのではないでしょうか。
【大河】 今年のノーベル平和賞は、1956年に「私達の体験をとおして人類の危機を救おう」と結成宣言した日本原水禁被爆者団体協議会(日本被団協)が受賞した。長年の地道な活動で、被爆の実相を世界に広げ、核兵器の非人道性を明らかにし、核兵器廃絶へのうねりをつくり出してきた活動が認められたものです。 「人類は自らの開発した核兵器で破滅するかもしれない、これをやめさせるには廃絶しかない(被団協の田中氏)」 今日、ロシアが核威嚇を繰り返し、核兵器が使用されうる危険な状況の中での受賞は、大きな意味を持つ。 9月の自民党総裁選の討論会で、石破氏は米国の核兵器を日本で運用する「核共有」に前向きな姿勢を示し「非核三原則に触れるものではない」と強調した。また、アジア版の北大西洋条約機構(NATO)を創設し、「核の共有や持ち込み」を具体的に検討すべきだと主張している。田中氏は、石破首相の「核共有」について、「論外だ。 政治のトップが必要だと言っていること自体、怒り心頭」と厳しく批判している。 国連加盟122か国による核兵器禁止条約採択から7年。94の国・地域が署名し、73の国・地域が条約に批准したが、唯一の戦争被爆国の日本は、批准はおろか締約国会議のオブザーバー参加さえ背を向けている。 日本政府は、今こそ唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約を批准し、核兵器廃絶を世界に積極的に働きかけるべきだ。 |
欧米の賃上げ・時短のたたかい |
今年、次のようなたたかいが大きく前進しています。
米国ボーイング社3.3万人の「国際機械工・航空宇宙産業労組」は16年ぶりに4年間で過去最大35%の会社側賃上げ提案などを、組合員が不満としてストを続行。
10月米国「国際港湾労働者協会」は、約半世紀ぶりの大規模ストライキで、今後6年間で62%の賃上げに合意、大統領が歓迎の声明を出した。
5200人以上の操縦士の航空パイロット協会エア・カナダは、ストライキ通告を出しつつ、9月46%賃上げに合意した。
9月スペインでは政権の公約「労働時間週37.5時間」法定化の提案に企業側が応じず、二大労組が時短を求め全国一斉行動を実施。
ベルギーでも労組が賃下げなしの週32時間労働と、最低賃金(約33万円)への引き上げを求めてたたかい、フランスでも労働時間週32時間を求めてたたかっている。
人権無視の労働法制改悪にNO! |
V政府は財界の求めに応じ、「労働市場改革」と、労働基準法(労基法)改悪を進めようとしている。その内容は。
「労働市場改革」案とは
「リスキリング(学び直し)で能力向上支援」…労働者は企業の求めに応じた能力を自ら学び直しにより、成長分野へ自由に移動を可能にすると言っている。
労働者は、待遇のよい成長分野をめざそうと、過酷な競争に追い込まれ、競争に乗り切れない場合、リスキリング支援を口実に、転職・退職を迫られることになります。
「ジョブ型人事(職務給)導入」…業務や職務の達成度よりも、より高い能力・役割・成果を重視する制度。「能力なし」と査定された労働者は賃金など処遇を切り下げられ、リスキリングの強要や退職に追込まれることになる。一部の電機大手では目標未達成の労働者の降格・解雇が制度化されており、経団連は解雇を円滑に進めるため「解雇の金銭解決制度」創設を急ぐよう要求している。
狙われる労基法の改悪
労基法は違反に対し罰則を科した最低ラインの労働基準であり、労基法はこれを上回る労使合意を奨励している。
しかし労基法に存在する「適用除外」の仕組みは、労働時間の原則、変形労働時間制、裁量労働制など、一定の要件を満たし労使協定を結べば、労基法を満たさない労働条件でも認めている。
政府が進めている案は「適用除外」の対象拡大や要件緩和を行ない、使用者が労働者に説明・意見聴取し労基署に届ければ、労使合意なしに認められるなどとするものである。
政府と財界は、労働市場の流動化による賃下げ・不安定雇用の拡大や、労基法を骨抜きにする「労働法制改悪」ではなく、国連機関から指摘された「人権保護は国の義務」「人権尊重は企業の責任」に沿った労働政策こそ実行すべきです。
読者の広場 | |
つづく驚き 裏カワサキの様々な悪評が出ており心配です。特にエンジンに関する不正が長いあいだ続いていたのは大きな驚きでした。 また海外出張者の自殺問題が神戸地裁で裁判になっています。そこでのカワサキの不誠実な対応もまた驚きです。(OBのYより) |
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コンプラ大事! ここ最近いろんな不祥事が明るみに出て、ニュースで自分の働いている神戸工場を見ることも有り、なんか複雑な気持ちです。家族とテレビを見ていると、大丈夫なん?て聞かれて、笑って誤魔化すしかありません。 ほとんどの方は関わりが無いはずで、早くカワサキを誇れる様に戻って欲しいです。 (コンプラ男) |
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納涼会を再び 懇親会も自粛気味ですが、他の工場では実施したというとこもあり、これ以上悪い事が広がらないことを願いたいです。 西神戸では社長も参加して納涼祭が行われたとのこと、ジョイマンと舞台で踊る社長を見たかったなぁ。是非来年は我が工場に来てください! 心から楽しめる様になること期待してます。 (宴会好き社員) |
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目安箱 目安箱、どんな投稿がされているのか毎回楽しみに読んでいます。しかし、最近の投稿は、告げ口のような内容が多く、ちょっと読んでいて悲しくなります。 同じ会社で働く皆のための改善、要望だと良いのですが・・・。 (寒暖差疲労) |
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ガザを止めて欲しい 連日ガザの破壊と犠牲のニュースを聞きます。MLB大谷選手の活躍のニュースなどとのギャップを感じます。 何故国連はガザの悲劇を止められないのでしょうか。不思議です。 (A・S) |
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低賃金なスーパーマン 人手不足と言われてますが、人手が欲しいのは低賃金で文句も言わず完璧に仕事をこなすスーパーマンみたいな人材です。 これからホワイトカラーの仕事はAI等に変わります。 給料は上げない、でも税金は上げるでは誰も働きませんよ。 (たかかず) |
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秋季休暇が欲しい 長ーく暑ーい夏の間、頑張って働いたので、このあたりで秋季休暇が欲しい。 メリハリのあるON・OFFの切り替えで、気分もスカッとして仕事の能率も上がり、毎日の生活も充実すると思う。 (アッキィー) |
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一体感をもって 工場では正規・非正規の社員が一体感をもって仕事をして成果を出している。 処遇改善要求も一体感をもって要求できたら、もっとモチベーション上がるのにな…。 (明石のバイク王) |
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中小企業は経験者不足 人手不足で中小企業の倒産が増えてるそうです。 若い人を一から育てる気はない、経験者に高い賃金を出す気はない。氷河期世代の採用を絞って育てなかった結果、40代の社員や管理職が少ないんだそうです。だったら黒字のまま外資に売って被害を最小限にしたいんでしょう。 技術は吸われ国は弱体化する一方です。 (TK) |
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鳥の目 虫の目 魚の目 最近若い人が急に辞めてしまうのをよく聞きます。それだけうちの工場に魅力が無いのかと悲しくなります。 若い人を集めて表面的に話を聞くだけではなく、幅広く現場で起こっていることを、知って頂きたいです。 上に立つ人は都合の良い声だけを拾いあげず、周りをよくよく見て、本当に自由に意見の言える環境を作って欲しいです。 (西神戸の星) |
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エコなパネルなら? 田舎に行くと太陽光パネルだらけです。エコとか言われてますが、製造から廃棄までのコストを計算すると決してエコではありません。最後は燃やせないので埋めるしかないようです。 ただ、送電線が引けない僻地でのインフラとしてはアリだと思います。 技術革新で低コストでエコなパネルが出てくればイイのですが。 (AKZ) |
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おい!差別撤廃が世界の主流だぞ おい!差別撤廃が世界の主流だぞ 国連が日本に選択的夫婦別姓の導入と、皇位継承を男系男子に限定しないように勧告にビックリ。女性への差別が国際的に遅れていることを実感。 色々な面で日本の国際的地位が低下している。笑えない事態だ。 (日本政府に喝男) |
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