「はぐるま」 2012年 5月号外 |
PDF表示はこちらをクリックしてください。
管理職のみなさん 労働者のみなさん
タダ働き、させてませんか? してませんか?
賃金不払労働(サービス残業)は労働基準法違反の犯罪です
昨年12月に実施した「要求アンケート」には、各工場で労働者がタダ働きに追い込まれている実態や、「サービス残業をなくしてください」などの切実な声が寄せられました。
みんなで、働くことの意味やタダ働きの問題について話し合い、職場からタダ働き(サービス残業)を一掃しましょう。
これって問題ないのでしょうか?
管理職の中には、サービス残業を見て見ぬふりする人や美徳みたいな意識の人がいますが
犯罪行為です。 労働基準法では、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」(第24条)と定めています。
働いても賃金が支払われないタダ働きは、労基法違反であり、「6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金」が科せられます。
残業時間は毎日30分単位の計算となっていますが
労基法違反です。 労基法は、賃金の全額払いの原則を定め、1日8時間を超えて残業させる場合は、1分単位で計算して割増賃金を払わなければなりません。
残業時間の端数の扱いについては、1ヵ月分の残業時間を合計して1時間未満の端数がある場合に、30分未満を切り捨てそれ以上を1時間に切り上げることは合法とされています(厚労省通達・基発150号)。しかし、1日ごとの端数処理は労基法違反です。
なお、労働時間には、本来の業務や作業にとって必要不可欠な準備または後始末の時間も入ります。昼休みの労働でも、具体的あるいは黙示的な業務命令の場合は労働時間に入ります。
始業・終業時間の記録は自己申告制になっていますが
厚労省が出した「4・6通達」の原則に反しています。 「4・6通達」(「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」2001年4月)には、「使用者は労働時間を適切に管理する責務を有している」と明確にのべられ、会社の責任で労働者の毎日の始業・終業時刻を確認して記録すること、タイムカードやICカードによる客観的記録を原則とすることなどが明記されています。自己申告制はこの原則に反しています。
自己申告制は、「やむを得ず」の場合であり、その際も、労働者に労働時間を正しく記録することを十分説明することや、労働時間の適正な申告を阻害するような時間外労働時間の上限設定を講じないことなどが明記されています。
36協定を結んでいるからということで、恒常的に長時間残業が行われていますが
2010年4月施行の改正労基法の趣旨に反しています。 そこには、時間外労働は本来臨時的なものとして必要最小限にとどめるべきこと、特別条項付き36協定による限度時間を超える時間外労働は、その中でも特に例外的なものとして抑制すべきことが明記されています。時間外労働は、36協定を結んだからといって、恒常的に行ってよいものではありません。
(注) 「36協定」とは、労働基準法第36条の規定からとった略語です。労基法で定める1週40時間、1日8時間を超えて時間外労働あるいは休日労働させる場合、労使協定を結び労働基準監督署に届け出る必要があります。その場合でも、1ヵ月45時間の「時間外労働の限度基準」(労働省公示第154号)があります。 さらに、それを超えて労働させる場合は、「特別条項付き36協定」を結ぶ必要があり、それは臨時的に特別な事情がある場合に限られます。 |
労働時間の短縮は、人間らしく生き、人間的に成長する上で一番の基礎となる問題です。
また、サービス残業を根絶すれば、約311万人の新規雇用が創出され、家計消費支出が約6兆円増加し(労働総研の試算)、日本経済も元気になります。
サービス残業に関するご相談(請求・悩み等)や情報提供をお待ちしております。 |
=必見= 「賃金不払い残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」(2003年5月、厚労省の指針)の抜粋 ・使用者は、賃金不払残業を起こすことのないよう適正に労働時間を管理する。 ・労働組合は、チェック機能を発揮して主体的に賃金不払残業を解消するために努力する。 ・労使からなる委員会を設置して、賃金不払残業の実態の把握、具体策の検討及び実施、具体策の改善へのフィードバックなどの体制を整備する。 ・経営トップ自らによる決意表明や社内巡視等による実態の把握。 ・労使合意による賃金不払残業撲滅の宣言。 ・特に、始業及び終業時刻の確認及び記録は使用者自らの現認又はタイムカード、ICカード等の客観的な記録によることが原則であって、自己申告制によるのはやむを得ない場合に限られる。 ・賃金不払残業の是正という観点を考慮した人事考課の実施(賃金不払残業を行った労働者も、これを許した現場責任者も評価しない)等により、適正な労働時間の管理を意識した人事労務管理を行う。 ・各事業所ごとに労働時間の管理の責任者を明確にしておく。 ・労働時間の管理とは別に、相談窓口を設置する等により賃金不払残業の実態を積極的に把握する体制を確立する。 |
=必見= 「労働時間等見直しガイドライン」(2008年厚労省告示第108号)の中の「事業主が講ずべき労働時間等の設定の改善のための措置」の抜粋 ・年次有給休暇を取得しやすい環境の整備ー年次有給休暇の取得は、企業の活力や競争力の源泉である人材がその能力を十分に発揮するための大きな要素であって、生産性の向上にも資するものであり、企業にとっても大きな意味を持つものである。さらに、その取得率が向上すれば、経済・雇用面への効果も期待できる。事業主は、年次有給休暇の完全取得を目指して、経営者の主導の下、取得の呼びかけ等による取得しやすい雰囲気づくりや、労使の年次有給休暇に対する意識の改革を図る。 ・所定外労働の削減ー所定外労働は臨時、緊急の時にのみ行うものである。所定外労働の削減を図ること。特に、休日労働を避けること。労働者が私生活を重視した生活設計をし、所定外労働を望まない場合は、所定外労働の削減について一層の配慮をする。 ・特に健康の保持に努める必要があると認められる労働者ー必要があると認めるときは、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少その他の労働時間等に係る措置も適切に講じる。病気休暇から復帰する労働者については、短時間勤務から始め、徐々に通常の勤務時間に戻すこと等円滑な職場復帰を支援する。 |