「はぐるま」 2022年 5月号外 |
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Kawasaki Heavy Industries, its Engineer’s suicidal Death from Overwork
stationed at its overseas joint venture in China.
The Suicide Engineer’s Bereaved Family brought the case before the court!
川重・神戸工場の男性社員(当時35歳)が中国の現地企業との合弁会社に出向・赴任中に自殺(2013年7月)したのは、川重の安全配慮義務違反によるものだとして、遺族の方が5月12日、計約1億円の損害賠償を求め神戸地方裁判所に提訴しました。
5月12日 記者会見の原告団 |
過度な業務と海外赴任のストレスなどを会社が黙殺
The Company assigned him excess business and duties, and ignored his stress
and exhaustion caused by stationing overseas.
男性社員の方は、当初、幹部社員と赴任する予定でしたが、最後まで一人での業務を強いられました。中国語を満足に話せない中で赴任した早々、頻発する現地の不具合対応に追われ、さらに、本来業務に加え新たな業務も押しつけられ、宿泊先マンションに帰宅後も深夜まで、また休日も対応を余儀なくされました。
赴任後まもなく元気がなくなり、家族との顔をみての通話でも、表情がなくなっていったということでした。赴任して3カ月後に、過度な業務と孤独にもがき苦しみ、うつ病を発症し、マンションから飛び降り自殺しました。
責任を全く認めない会社の対応に、遺族の方がやむを得ず提訴
The Company has not showed any responsibility on his suicide at all. There
is no alternative for his bereaved family but to bring the case before
the court.
神戸東労働基準監督署は2016年3月に、自殺と業務との因果関係を認め労災認定しました。
しかし、会社は、その責任を認めず遺族への謝罪もしませんでした。その後、遺族の方が会社に話し合いを求める通知書を提出しましたが、「安全配慮義務に違背する事実があったとは認められない」と退け、さらに今年1月、遺族の弁護団が安全配慮義務違反を認め、損害賠償に応じるよう求めた通知に対しても、「一切対応いたしかねます」と突っぱねました。
会社がまったく事件と向き合おうとしない対応に、遺族の方がやむを得ず、川重の責任を問うべく提訴に踏み切り、同時に記者会見を開きました。
会社の広報担当者は、「訴状が届いていないのでコメントできない」としています。
勇気ある提訴・記者会見をマスメディアが大きく報道
They were determined for the Sue and showed up themselves in front of the
mass media, who broadcasted widely.
記者会見で遺族の方は、「夫は、会社にとっては、従業員3万人以上の中の一人かもしれないが、私にとっては大切な夫で、子供たちにとっては大好きなパパであり、両親が大切に育てた息子で、かけがえのない人です。会社は利益の追求だけでなく本当に一人一人を大切にして、二度とこのような事が起こらないようにしてほしい」と訴えられました。
夫の無念を晴らすために、勇気を出して提訴されたこと、海外赴任中の過労死事件ということもあり、記者会見では数多くの質問が出され、その報道が、新聞・テレビ・ネットで広く取り上げられ、関心の高さを示しました。
参考: 「はぐるま」2016年秋季号の関連記事 |
(22.05.16)