陸自ヘリ官製談合 川重社長が積極的に関与したと株主が賠償提訴

   6月23日、神戸市に住む川重の70歳代の男性株主が、2012年9月に発覚した陸上自衛隊の新型ヘリコプター「UHX」の開発事業をめぐる官製談合事件で、会社に損害を与えたとして、村山社長とコンプライアンス(法令順守)担当者だった高尾光俊元副社長に、談合発覚による契約無効で受けた損害金など約46億円を同社に賠償するよう求める訴えを神戸地裁に起こしました。
 同事件は、担当する防衛省幹部と川重の担当者が共謀し、防衛省幹部が、競合する富士重工業と防衛省の秘密資料を川重側に手渡し、同社提案の選定を取りはからった事件です。この事件で、昨年1月、防衛省幹部2名が罰金100万円の略式命令を受けました。一方、川重側は、関与が従属的だったとして起訴猶予となり、捜査が終結しました。
 原告代理人によると、入手した川重従業員の供述調書では、当時、航空部門の責任者だった村山社長の名前が複数の場面で登場しています。2010年12月の本部長会議で、「富士重工との差別化」を図るために防衛省の担当者と謀議していることの報告を受けていました。さらに、新型ヘリのエンジンには三菱重工製を搭載するよう防衛省の担当者が、村山社長に直接依頼し、これを受けて村山社長は、三菱重工の従業員に協力を要請していたといいます。
 訴状は「村山社長は、これを止めるどころか防衛省の担当者や三菱重工の従業員と面談することにより、搭載する主力エンジンを決定するなど、積極的に事件に関与していった」と指摘し、村山社長の経営責任を追及するとしています。提訴後、記者会見した原告代理人の富田智和弁護士は「この事件は、略式起訴であったため正式な裁判はなく、真相が明らかにならなかった。公開の法廷で官製談合の本質を明らかにしたい」とのべました。

   私たち日本共産党川重委員会は、2012年9月に本事件が発覚し社会的に大問題となったの受け、翌10月、川重本社に対し官製談合疑惑の真相公表を求める申し入れを行いました。しかし、談合発覚で契約無効となり、防衛省の指名停止になったにもかかわらず、川重の経営陣は関与の有無と真相を何ら明らかにしていません。そして、今回の株主の賠償提訴に対しては、6月26日の株主総会で「法的責任はない」と突っぱねました。
   このような態度は、社会と国民そして株主と従業員に対してあまりにも不誠実であり、経営陣に自浄能力があるのかと疑われます。川重は企業の社会的責任を重視しており、全従業員に対して法令遵守を徹底し非社会的行為に関与しないように厳しく求めています。今川重がとるべき態度は、公開の法廷で陳述する前に、ただちに経営陣みずから真相を明らかにし、きちんと責任をとることではないでしょうか。

(14.06.30)