誇りを持って定年まで働ける職場であって欲しいもの
−NHKクローズアップ現代、神戸工場を取材−
4月11日からNHKで放送された、シリーズ"団塊の世代"の3回目に、川崎重工、神戸工場が取材されたのを、ご存知の方も多いと思います。
そこでの紹介は「中高年に頼っている技能伝承の取り組みを急ぐとともに、段階的な定年延長を決めた」というものでした。
この取材された職場では「皆さん見て下さい」と放送日時の案内があったそうです。
さて夜の7時半という時間帯は、まさに仕事の真っ最中、この時間帯にテレビの前に座れる人は、そう多くはないと思いますが、それはさておき、以下のような内容が放映されました。
三箇所の職場が映し出されました。「製造部門のおよそ半数が50代」の熟練社員が、「技能やノウハウが失われるのでは」と危機感を募らせつつ、若者に技能の伝承をしている楽器メーカー。
熟練の人が減っていく中で、労災の多発が、大きな問題になってきている瀬戸内海の造船の職場。
そして「技能があと何年維持できるかを洗い出し、段階的な定年延長決めた」川崎重工。今後加速する「団塊の世代の大量退職を前に、企業が直面する課題と対策を探る」というものでした。
定年延長者はそれまでの6割程度の給料。
定年延長の対象者へのアンケートでは「延長後は労働時間短縮を希望」などが50%近くありました。
まわりからは「定年後も仕事はしたい」と言う声はよく聞こえてきます。
その一方で「同じ仕事をして給料6割では、延長も考えものだー」と言う声も聞こえてきます。
年金の受給年齢が後へ延び、受給額が減る中で、生活の不安をあおられながら「・・・やっぱり働くべきかなあ」と言うのが、定年を迎える人の気持ちでしょう。
終身雇用という時代を過ごしてきた団塊の世代は、その道一筋と言う、仕事に誇りをもった職人気質の人達も多くいると思います。「6割の給料で同じ仕事をするの!?」「年金もらうまではガマンやなあ」では、技能伝承も意気が上がりませんよね。
「リストラクチャリング」という耳慣れないことばが、いまや「リストラ」と言えば、子供にもわかるようになりました。リストラによる中高年の追い出し、新入社員の採用を手控え、労働力不足を派遣・パートなどで補って生産活動を続ける。これでは「団塊の世代の大量退職を前に」技能の枯渇に直面する以外、道はありませんね。
「技術伝承をどうするのか」の課題は、企業自らが招きよせたものですが、私たちにとっても大事な課題です。
労組の皆さんにも頑張ってもらいながら、安心して定年まで働ける職場、事故を起こさない安全な職場、コンプライアンスを守り責任ある仕事ができる職場を作っていきたものです。
(05.05.20)