会社は万全の「熱中症」予防対策を

−まず厚労省の通達の完全実施を−

 川重および関連会社で働くみなさん、暑い中のお勤めたいへんご苦労様です。

 昨年の職場における熱中症による死亡者数は、記録的な猛暑により、統計を取り始めた1997年以降最も多い47人というたいへん深刻なものでした。内訳をみると、50代が32%、30代が26%、40代が23%となっています。発生状況では7月の午後4時台が最も多くなっています。
 今年も厳しい暑さが予想されていますので、熱中症にはくれぐれもご注意ください。

 川重における熱中症予防対策をみると、各工場がそれぞれ取り組んでいる状況です。現場部門では、熱がこもるところにはスポットクーラーが置かれ、作業者にはポカリスエットの粉末・麦茶・塩飴などが配られています。なかにはエアージャケット(エアーを通すと冷気が出る)や首に巻く保冷剤を配っているところもあります。

 年々、会社の予防対策は改善されてきていますが、まだまだ作業者自身の注意にゆだねているところがみられます。また、今年は節電対策ということで、スポットクーラーから扇風機に切り替えたりしている工場もあります。
 熱中症は、対応が遅れたら最悪の場合、死にいたるたいへん恐ろしいものです。会社は、労働者の安全と健康に配慮する義務があり、万全の「熱中症」予防対策を実施しなければなりません。

 その上でまず、厚労省からの通達「平成23年の職場における熱中症予防対策の重点的な実施について」(2011年5月31日)にある「製造業における熱中症予防対策」を、会社はただちに実施すべきです。とくに、「WBGT値(暑さ指数)が28℃を超えるおそれがある場合には、作業計画の見直しを行うこと」と「作業者が糖尿病・高血圧症・心疾患・腎不全など熱中症の発症のおそれがある場合は、作業場所の変更や作業転換等を行うこと」の2点については徹底する必要があります。

 川重および関連会社で働くみなさん、下記に厚労省の通達の中から主な点を取り上げますので、みんなで職場を点検してみましょう。そして声を掛け合うなどして、お互いの健康状態に留意しましょう。

注)WBGT値
・屋内の場合 0.7x自然湿球温度+0.3x黒球温度
・屋外で太陽照射のある場合 0.7x自然湿球温度+0.2x黒球温度+0.1x乾球温度
WBGT値が28〜31度のときは「激しい運動は中止」、31度以上は「運動は原則中止」


2011年5月31日付厚生労働省通達 基安発0531第1号 「平成23年の職場における熱中症予防対策の重点的な実施について」より抜粋
(下線は編集部)

【熱中症予防対策の重点事項】
☆ 管理・監督者が頻繁に巡視を行い確認する。作業者に、自覚症状の有無に関わらず水分・塩分を定期的に摂取させること。
☆ 熱中症予防の労働衛生教育を繰り返し行うこと。また、その実践について日々の注意喚起を図ること。
WBGT値について随時計測を行う。WBGT基準値(熱に順化している作業者が身体作業強度が中程度である作業に従事する場合、28℃)を超えるおそれがある場合には、必要に応じ作業計画の見直し等を行うこと
☆ 作業場所又はその近隣に涼しい休憩場所を確保すること。

【製造業におけるその他の具体的な実施事項】
☆ 休憩時間をこまめに設けて連続作業時間を短縮するほか、WBGT値が最も高くなり、熱中症の発症が多くなり始める午後2時から4時前後に長目の休憩時間を設ける等、作業者が高温多湿環境から受ける負担を軽減すること。
透湿性・通気性の良い服装(クールジャケット等)を着用させること
作業者が糖尿病、高血圧症、心疾患、腎不全、精神・神経関係の疾患、広範囲の皮膚疾患等の疾患を有する場合、熱中症の発症に影響を与えるおそれがあることから、作業の可否や作業時の留意事項等について、産業医・主治医の意見を聴き、必要に応じて、作業場所の変更や作業転換等を行うこと
☆ 水分・塩分の摂取量と頻度は、0.1%〜0.2%の食塩水又はナトリウム40〜80mg/100mlのスポーツドリンク等を、20〜30分ごとにカップ1〜2杯を目安とすること。

【WBGT値の予測値・実況値】
PCサイト:http://www.nies.go.jp/health/HeatStroke/index.html
携帯サイト:http://www.nies.go.jp/health/HeatStroke/kt/index.html

(11.07.17)