職場における熱中症対策について
−無理な節電対策をとらず、暑い日は作業計画の見直しを!−
1.はじめに
今年も暑い夏がやってきました。 この時期に注意しなくてはならないのが熱中症です。厚生労働省のまとめによると、「昨年の職場での熱中症による死亡者は18人と、記録的な猛暑となった平成22年の47人からは激減しましたが、依然として多くの方が亡くなっていることから、熱中症予防対策の的確な実施が必要となっています。」として、今年(2012年)も、職場での熱中症の予防について通達が出されました。
2.厚生労働省通達(平成24年)
厚生労働省の今年の通達では、「職場での熱中症の予防」について以下の点を指導しています。
・WBGT値(暑さ指数)注)を測定することなどによって、職場の暑熱の状況を把握し、作業環境や作業、健康の管理を行う。
・熱への順化期間(熱に慣れ、その環境に適応する期間)を計画的に設定する。
・自覚症状の有無にかかわらず、水分・塩分を摂取する。
・熱中症の発症に影響を与えるおそれのある、糖尿病などの疾患がある労働者への健康管理を行うなどの具体的な対策を定めています(平成21年6月通達)。
その中で製造業に対しては、「職場での熱中症予防対策を実施し、特に次の2項目を重点事項とすること」としています。
(1)WBGT値について計測等を行い、必要に応じ作業計画の見直し等を行うこと。
(2)管理・監督者が頻繁に巡視を行う、朝礼等の際に注意喚起を行う等により、作業者に自覚症状の有無にかかわらず水分・塩分を定期的に摂取させること。
3.川崎重工は熱中症予防のための対策を!
川重でも昨年は明石工場のロボット部門で数名が発症し、職場では「犠牲者が出ないとクーラーを入れてくれないのか」と怒りの声が出ていました。
熱中症に対する昨年の対応は、工場によって多少の違いはあったようですが、熱中症警戒レベルを設定(「厳重警戒」、「警戒」、「注意」、「ほぼ安全」の4段階)し、各職場の管理監督者に対し「朝礼時・職場巡回時の作業者の体調確認」をするよう指示が出され、工場で実施された対策には以下のようなものがありました。
・熱中症の症状、予防対策、緊急時の対応、日頃からの体調管理の重要性について指導する。
・熱中対策用の飴を各職場に配る。
・保冷剤・ポカリスエット、麦茶などを各職場に配る。
昨年は比較的冷夏であったことから、節電対策としてスポットクーラーから扇風機に切り替えた部門もあったようですが、今年の夏は関西電力からの要請もあり節電10%が目標になっています。
川崎重工は、無理な節電対策をとることなく、職場における熱中症の予防に万全の備えを持って望むと共に、厚生労働省の指導に従って「WBGT値について計測等を行い、必要に応じ作業計画の見直し等を行うこと」が必要です。
私たちは、川重で働く全ての労働者の命と健康を第一に考え、会社に対して万全の対策をとるよう強く求めます。
注)WBGT値
人体の熱収支に影響の大きい湿度、輻射熱、気温の3つを取り入れた指標で、乾球温度、湿球温度、黒球温度の値を使って計算します。
・屋内の場合 0.7x自然湿球温度+0.3x黒球温度
・屋外で太陽照射のある場合 0.7x自然湿球温度+0.2x黒球温度+0.1x乾球温度
WBGT値が28〜31度のときは「激しい運動は中止」、31度以上は「運動は原則中止」
【WBGT値の予測値・実況値】(環境省HP)
PCサイト:http://www.nies.go.jp/health/HeatStroke/index.html
携帯サイト:http://www.nies.go.jp/health/HeatStroke/kt/index.html
(12.07.14)