談合を認め、経営責任を認める時です!

川重などに、ごみ焼却炉談合で19億円返還命令

 川重の談合がまた糾弾されました。一般紙によると次のように報道されています。

「神戸市発注のごみ焼却炉工事の入札で談合があり、不当に高い落札価格で市に損害を与えたとして、『市民オンブズマン兵庫』(森池豊武代表)が、落札し建設した川崎重工業(神戸市)を相手に、受注額の約1割にあたる約27億3千万円を市に返還するよう求めた住民訴訟の判決で、神戸地裁(佐藤明裁判長)は16日、約13億6千万円の返還を命じた。尼崎市のごみ焼却炉訴訟でも同日、佐藤裁判長は日立造船(大阪市)や川重など6社に、約5億3千万円の返還を命じた。   (……略……)   判決によると神戸訴訟は、川重が1995年、同市東灘区のごみ焼却炉『東クリーンセンター』建設工事の入札に参加。日立造船、三菱重工業(東京)、JFEエンジニアリング(旧NKK、東京)、タクマ(尼崎市)と計五社で談合し、予定価格の98.6%にあたる265億円で落札した。尼崎訴訟は96年、五社にクボタ(大阪市)を加え、ごみ焼却炉の入札で談合、日立造船のJV(共同企業体)が、予定価格の99.2%にあたる約106億9百万円で落札した。」(2006年11月17日神戸新聞)

 全国の自治体が発注するごみ焼却炉工事では、大手5社(川重、日立造船、三菱重工業、JFEエンジニアリング(旧NKK)、タクマ)は遅くとも1994年4月以降、入札談合を繰り返していたとして、公正取引委員会による排除勧告を受けその後の不服審判でも談合を認定した審決が2006年6月27日付で出されています(ただし、5社は東京高裁に審判取り消しを提訴中です)。

 これとは別に、住民などによる大手5社等に対する損害賠償請求の裁判が全国13ヶ所で行われています。11月末時点で一審判決11件中原告の住民らが勝訴したのは9件、二審では2件とも住民勝訴となっています。これらの住民訴訟のうち川重が被告となっている裁判は表1の5件に上り、一審での住民勝訴は4件、二審1件でも住民勝訴となっています。

 ごみ焼却炉工事での入札談合をめぐっては、公正取引委員会の談合を認定した審判や住民などによる損害賠償裁判では住民勝訴が圧倒的に多く、川重をはじめ大手ごみ焼却炉メーカーの劣勢は客観的に見て明らかとなっています。
ところが、川重は未だに談合の事実を認めないばかりか、敗訴が続くにも関わらずなお控訴、上告することで問題を引き延ばす態度に出ています。

 ところで、川重は「独占禁止法遵守ガイドブックVol.1 〜入札談合Q&A〜」(A5版40ページ、2005年9月)という小冊子を従業員に配付しました。この中で入札談合に関わる行為とは何かをいろいろ解説し、「従業員の皆さんにおかれましては、独占禁止法の基本理念や違反行為に伴う様々な不利益を十分理解し、入札談合などの独占禁止法違反行為を絶対に行わないよう、各々の場面においてはこのガイドブックの指針に則って行動して下さい」と、従業員に対して自らを厳しく律するよう求めています。

 これは「入札談合は従業員個人の犯罪であり、会社は関係ない」と言う態度です。およそ入札談合に手を染める従業員は、個人的な利益のためではなく会社の利益のためとして経営幹部の意向を汲まされて違反行為を行なうのです。入札談合は組織犯罪であり最高責任者である社長の経営責任が問われるのは当然です。
 相次ぐ川重の敗訴にも関わらず、最高責任者である社長からは住民訴訟について一言も発言がなく、我関せずの態度です。社長は鋼鉄製橋梁工事やごみ焼却炉工事での入札談合に対する経営責任を認め、入札談合と決別する態度を社内外に示す時です。

表1 川重が被告となっているごみ焼却炉談合の住民訴訟
発注者 被告企業 判決、進行状況(損害認定額)
神戸市 川重 06.11.06住民勝訴・神戸地裁(約13.6億円)
尼崎市 5社+クボタ 06.11.16住民勝訴・神戸地裁(約5.3億円)
福岡市 5社 06.4.25住民勝訴・福岡地裁(約20.9億円)
熱海市 5社+クボタ、住友重機械 05.7.29住民敗訴・静岡地裁(請求棄却)
住民控訴中・東京高裁
京都市 川重 06.9.14住民勝訴・大阪高裁(約18億円)
06.9.26川重は最高裁に上告
注1:5社とは川重、日立造船、三菱重工業、JFEエンジニアリング(旧NKK)、タクマのこと。
注2:神戸新聞その他Web情報より作成。

(07.01.21)