労働者の声を無視する"K-Win活動"

会社は昨年11月29日から12月9日にかけて事務技術職へのアンケートを行いました。
アンケートの目的は、その依頼文の中で「従業員(事技職 )個人や職場の働き方に対する意識や実態の現状把握および、幹部職員のマネジメントについて調査し、今後の"K-Win活動"推進の一助とするため」としています。

"K-Win活動"については、社内誌「かわさき」228号にアンケート結果を掲載していますが、中身はそれを踏まえた具体的施策はひとつもなく、「働き方改革」の名の下に生産性向上や業務改善などに努力せよという題目がならんでいるだけです。
質問の中身は年齢や職種などの質問を除いて、

1. 現在の働き方に対するもの 22問 そう思う まあそう思う どちらともいえない あまりそう思わない そう思わない からひとつを選択
2. 上司に関するもの 10問 そう思う まあそう思う どちらともいえない あまりそう思わない そう思わない からひとつを選択
3. 残業の発生原因 1問 18のうち3つ以内を選択
4. どのような活動・施策をとれば、働き方改革が進むか 1問 14のうち3つ以内を選択
5. その他 7問  









となっています。
これらの設問のうち、今回の「かわさき」には1.と2.に対する結果はまったく掲載されていません。

3.について、残業の原因は突発業務と人員不足という答えが特に多いのに、これらを解決する対策はまったく示されていません。しかも4.の施策を問う質問には人を増やすという選択肢が用意されていないのです。意図的に外したとしか考えられません。
人員不足については過去10年以上、ほぼひとり1ヶ月平均20時間を超える時間外労働が全社的に続いており、派遣労働者などを受け入れてもなお慢性的不足になっているのです。

もうひとつの突発業務も考察が必要ですが、これも言及がありません。
考えられる要素としては、工場や外注先での工程遅延とか製作ミスを回復するための急な連絡や資料作成、客先からの突然の質問や追加の資料作成要求などがあります。
特に客先からの要求には契約外のものが多いことは日本企業にしか見られないものとしてよく知られています。いわゆる「お客先は神様」として、無理難題でも要求に応えるが対価はもらえないというもので、これが生産性を下げる要因として指摘されています。

いずれにせよ「かわさき」での説明では、「業務改善でホワイトカラーの生産性を上げよ。そうすれば労働時間の短縮もできるし、ワーク・ライフ・バランスも実現できる」という結論ありきであり、それを"K-Win活動"という名前で飾っているだけに過ぎません。アンケートはその裏づけとして使いたいのでしょうが、上記のように残業が多い主要な原因から目をそらし、はぐらかす論理になっているのです。

"K-Win活動"が労働者の心に響くようなものではないことは確かです。

(17.05.05)