川崎重工の環境部門分社化
川崎重工は1月31日の自社ホームページ上で、「環境部門の分社独立について」という記事を掲載し、事実上環境部門の分社化を世間に公表しています。これを受け、神戸新聞や日本経済新聞など新聞各紙は2月1日一斉に「川崎重工-環境事業を分社化」と報道しました。従業員への説明や労働組合との協議もしないで、このような分社化の発表が許されるものなのか考えてみたいと思います。
1月31日のホームページ上で川崎重工は、分社の理由を以下のように述べています。「発注量の低迷をはじめとする厳しい市場環境にあって、同事業の事業基盤を安定化させるためには、より迅速な事業競争力の向上が必要であると判断し、2006年10月1日をもって環境部門を分社独立させることを決定しました。」と述べています。
対象となる事業は、都市ごみ焼却プラント、産業廃棄物処理プラント、資源リサイクル設備、水処理施設などの設計・建設・販売ならびに修理などで、在籍する従業員は368名で、出向者を含めると427名になります。これほどの大量の人員が所属する部門を、労組との協議もないまま、会社が一方的に分社化の発表したことは、かつてありませんでした。
川重労組への提案は、2月9日に行われた臨時中央経営協議会の場で始めて示されましたが、半ば決定したかのような新聞発表後の質疑応答では、従業員には事後処理のようにしか聞き取れず、「30年も働いてこんなに簡単に川崎重工を解雇されるのか!」といった怒りの声が上がっています。
臨時中央経営協議会での会社の提案内容は 1)現在の事業環境に即して事業規模の適正化をはかり、人員のスリム化、営業拠点の見直しなど、固定費、間接費等の削減を推進する。 2)さらに分社独立を通じて、事業競争力の強化を図り、安定的な利益を確保できる体制を確立する。」などのほか6項目を述べています。また、労働条件については、「会社分割法制ならびに、労働契約承継法に基づき、従業員籍は新会社に転籍することとする。」と述べ、従業員の転籍の必要性を強調しています。また、「実質的にも従業員籍を移すことにより、意識改革を促し、新会社としての一体感を早期に醸成するとともに、分社独立後の経営や処遇の在り方について新会社の労使間で直接協議していく体制を早期に構築し、新会社自立の推進力とする。」とも述べています。人員のスリム化も固定費の削減も従業員に苦渋を強いるものです。要は今までの労働条件をすべて見直し、賃金水準の変更も含め、事業規模、収益に合った労働条件の全面的見直しを新会社の労使間で決定するよう求めているのです。
このような提案を受け、川重労組阪神支部は2月26日(金)に支部委員会を行い、当該職場の支部委員より以下の要望を受け回答しています。
<支部委員要望> 以上により
最後になりますが、今後対会社協議が進行していく中で、労組には会社提案内容の徹底解明、分析や職場に対しての説明など遺漏なき対応をお願いします。 <執行部回答> |
400人を超える従業員の既得権が全て剥奪されるこのような分社化が、労組への協議もないまま、半ば決定したかのごとく発表され進められていることは、許されることではありません。真に「地球環境への貢献」を考えるなら、会社は当該職場である阪神支部の切実な声にも耳を傾けるべきです。また、川重労組は、このような経緯を踏まえ会社に強く抗議し、提案の白紙撤回も含め見直しを申し入れるべきではないでしょうか。
(06.03.29)