和田岬線のある北門から見た兵庫工場

兵庫工場の風景

 兵庫工場はJR山陽本線兵庫駅の南にあります。工場の北側にはJR兵庫駅発和田岬行き三菱専用列車の和田岬線と国道2号線がほぼ東西に走っています。南側には兵庫運河があります。そしてまた面白いのは、工場の北と南を分断している県道が西から東への一方通行道として走っています。

 朝の通勤風景は和田岬線の兵庫工場の前には止まらない満員電車を横目に見ながら北門からぞろぞろと労働者が工場に流れ込んでいます。また、南北に工場を分断した県道を通って正門から入門する労働者は道路を走る車の渋滞と工場の東側にあるFUJITSU−TENの通勤労働者の列でごった返し通勤ラッシュ状態です。交通整理する保安の労働者も汗だくです。

 和田岬線は兵庫工場で完成した鉄道車両をJRの貨物として引き出しJRの線路を利用して搬送する事にも使われています。さらに、陸送する場合は大型トレーラーに積み込み深夜の交通量の少ない時間に国道2号線の尻池交差点の交通を一時遮断して大掛かりに行われています。

運河のある南側から見た兵庫工場

  また、兵庫運河は完成した鉄道車両を海上輸送する場合に使われます。大型クレーンを使って一両ずつ吊り下げ艀に積み込んでいきます。積み込んだ艀は運河の潮の加減を読みながら神戸港の本船へと運ばれていきます。満潮の時には運河をまたいだ橋をくぐれない事もあるので注意が必要です。

 兵庫工場は、新幹線、電車、客車、貨車など鉄道車両の全般にわたって製作している国内でのトップメーカーです。納入先は国内ではJR、公営、私鉄、他、北米、シンガポール、台湾、中国などにも輸出しています。

 最近では北米の鉄道車両の製造が増加しており、従来ニューヨークにあったヨンカース工場に加えてネブラスカ州のリンカーン工場を増設して現地生産も行っています。

 仕事量が激増し、自己申告社内転職制度、中途採用などで正規労働者及び派遣労働者を多数投入していますがそれでも生産が追いついていけない状態が出ています。そんな生産職場に作業服姿の女性労働者も見られようになりました。また、作業服を着ているとよくわかりませんが外国人労働者も見られます。ブラジルの人が多いようです。 土曜日曜出勤、ゴールデンウイークも二日休んでアトは出勤という職場もありました。働く労働者は「ゆっくり休んでボーっとしたいなー」などと言っています。それでも熟練労働者の不足からミスが多く、ミスをなくす為の業務改革もすすめられていますが、個人責任を追及する為の管理が強まる一方で労働者にストレスがたまってきています。その結果労働災害も増え労働基準局から注意も受けているそうです。

はしけのいるところをアップした写真
東側にFUJITSU-TENが見える

  災害を減らす為に、本当に労働者が大事にされ生き生きと働ける環境を作ってこそ真に世界に誇れる鉄道車両メーカー兵庫工場と言えるのではないでしょうか。

(05.06.17)