マルちゃんの"異議あり"トーク

−第11話:安倍自公政権、「戦争法案」阻止の巻−

日本共産党は、戦争反対を一貫して唱えて93年になりました。
2015年7月18日の創立93周年記念講演会へ、作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんと憲法学者の小林節さんからビデオメッセージが届きました。

瀬戸内寂聴さんは、「共産党の好きなのはね、ぶれていない。・・・いつも、まあ頑固ですけどね(笑い)、だからその点、もう非常に信頼できますよね。・・・93になった共産党さん。私も同じ年に生まれて93なんですよ。・・・これから生きている限り、みんなが幸せになるように努力していきたいと思います。一緒に頑張りましょう。」と、力強いメッセージを発信されました。
保守系の憲法学者の小林節さんからは、「最近の憲法論議とか国会論争を見ていて、一番頼りになるのは共産党だと思います。・・・僕は全然、共産党に抵抗ない。・・・『見てみよう、共産党』ですよ。『触ってみよう、共産党』。私も普通の日本人ですから共産党の悪口を聞いて育ちました。そういう経験にてらせば、よくこの日本で共産党が93年も(笑い)続いたなと、ほんとうに尊敬申し上げます。いま頑固な共産党があってくれるおかげで、私などは憲法擁護のたたかいがとてもやりやすい。ですから93年、ほんとに深ーい思いをこめて、おめでとうございます。と言わせていただきます。」と、共産党の戦争反対への思いが共鳴していることを発信してもらいました。(しんぶん赤旗、2015.7.26日曜版)

記念講演会のなかで志位委員長は、「政府・与党は、(7月)・・・16日の衆議院本会議で戦争法案の強行採決を行いました。・・・強行採決は、空前の規模で発展しつつある国民の世論と運動に追い詰められた結果です。・・・予算案や条約と違って、法案には『自然成立』はありません。政府・与党が戦争法案を成立させようとすれば、参議院で再び強行採決するか、衆議院での『3分の2』以上での強行再議決が必要となります。・・・たたかいはこれからです。みなさん、平和と民主主義を希求する国民の巨大なエネルギーに自信をもって、戦争法案を必ず廃案に追い込むために、頑張りぬこうではありませんか。」と、呼びかけました。

国会を取り巻く戦争反対の声について「かすかに気配を感じていないわけではない」と、自民党の谷垣幹事長が平然と言ってのけていました。

そんな時、またまた登場。マルちゃんの"異議あり"
「戦争法案」を阻止しようとしている国民のエネルギーは、「巨大」なものなのか、「気配」程度のものなのか、マルちゃんとアベちゃんのトークから見てみましょう!

マルちゃん

アベちゃんと志位さんの国会論戦を通じて浮かび上がってきたことが三つあるのじゃが、それらについて改めて聴きたいのじゃが、どうじゃな?

アベちゃん

国民の皆様への丁寧な説明を心情としておりますので、マルちゃんへの改めての説明・・・ウエルカムでございます。
(・・・今までは喋り過ぎると墓穴を掘るので、今日は、シンプルに!シンプルに!)

マルちゃん

それは、良い心がけじゃ。
まず一つ目は、憲法9条を破壊しているという違憲性の問題じゃ。
憲法9条第1項には、こう書かれておる。
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」
そこで聴くのじゃが、自公政権が衆議院で強行採決した「戦争法案」は、「非戦闘地域」という歯止めを外して「戦闘地域」とされている場所にまで行って、弾薬や武器の補給が出来るようになっておる。ましてや、参議院での質疑のなかで、中谷防衛大臣が「核兵器も輸送可能」と答弁しておる。
あんたらが、誤魔化そうとしている「後方支援」=「兵站(へいたん)/ロジスティック」は、まさに戦争行為そのものじゃないのかな?

アベちゃん

「後方支援」の合憲性について説明させて戴きます。
「後方支援」は、安全が確保されていない限り行いません。
例え「戦闘地域」でありましても安全が確保されている場所にしか出向きませんから、「武力による威嚇又は武力の行使」になる状態は存在しませんので、合憲性は確保されていると判断致します
(シンプルに・・・冷静に!)

マルちゃん

ならば教えて欲しいのじゃが、「戦闘地域」の安全が確保されているという判断は誰がするのかな?

アベちゃん

それはでございますね・・・???
(俺じゃないけど、まさかアメリカですよとは言えないし・・・。そうだ!いつものフレーズを使っちゃを!)
エ〜ッと、その判断はですね、国民の皆様に選んで戴いた自公政権の首相であるわたくし、安倍晋三が判断致します。
安倍晋三の判断は、かくもなおさず国民の皆様のご判断でございます。
(よっしゃ!完璧!)

マルちゃん

選挙公約のどこに「戦争法案」を、今国会で採決すると国民に約束したのじゃ。
約束したのは、アメリカの議会でじゃ。
次に聴くが、志位さんとの論戦のなかでしぶしぶ攻撃されたら「武器の使用をする」と認めておったが、そうなると相手と「戦闘」状態になることは確実じゃ。そうなると、まさに「武力の行使」そのものになるのじゃが、どう説明するのかな?

アベちゃん

(・・・戦闘=武力行使を認めると憲法9条第1項違反になり、法案を廃案にしないといけなくなる。・・・どうしよう!そうだ!)
まず、わたくしが先程から述べておりますように「後方支援」でございますから、「前方」の「戦闘」場所ではなく、「後方」の安全が確保されている場所の「支援」でございますから、「戦闘」になりうるはずがございません。
万万が一ですよ「兵站(へいたん)」の活動中に攻撃されたら、「戦闘」はやめます。そして安全な場所に退避するから、大丈夫です。・・・???
(アレッ・・・。なにか言ってはいけない言葉を発したような・・・。)

マルちゃん

自ら「後方支援」を「兵站(へいたん)」と言ってしまってどのように、言い繕うつもりじゃ。
「兵站(へいたん)」には、「前方」も「後方」も無いのは、世界の常識じゃ。
その「兵站(へいたん)」の常識を無視して、無謀な戦争を引き起こし、日本軍人の戦没者230万人のうち少なくとも半数以上の餓死者をつくりだしたのが、戦前の日本の軍隊じゃ。岸信介おじいさんから聴いていないのかな。

アベちゃん

どちらにしましても、「兵站(へいたん)」いや、「後方支援」は、「武力の行使」とは「一体」ではございませんので、武力行使にはあたらず合憲でございます。
(だんだん、自分が何を言っているのかわからなくなってきたぞ・・・。喋り過ぎないように!シンプルに!)

マルちゃん

アベちゃんの説明を聴けば聴くほど、法案の違法性が明らかになっておる。
二つ目は、アメリカいいなりのあんたらが、「戦争法案」を手にする危険性の問題じゃ。
そこで聴くのじゃが、法案で述べている我が国の「存立危機事態」とは、具体的にどのような事態のことじゃな?

アベちゃん

それはですね、ホルムズ海峡が機雷で封鎖されたら、集団的自衛権の発動要件である「存立危機事態」になることがありうるということであります。
高村副総裁も「ホルムズ海峡が封鎖されたら寒冷地で凍死者が出る。6カ月の石油備蓄があるといっても大変なことになる。」と述べられているように、まさにこの事態は、我が国の「存立危機事態」であると確信しているしだいでございます。 

マルちゃん 

そもそも、資源確保のために軍事力を発動するという発想そのものが、70年以上前の「自存自衛」を名目として資源や食糧を略奪しながら侵略を繰り返した日本軍の発想とまったく一緒じゃ。
それと外務省自身が、海峡封鎖はイランにとっての自殺行為だと分析しておる。
くわえてこの間、イランは欧米との核協議で最終合意し、海峡封鎖など現実性が無いというのが現時点での世界の常識じゃ。

アベちゃん 

それじゃ、聴きますけどね、北朝鮮がテポドンなどによるミサイルで攻撃してきたらどうするんですかね?

マルちゃん 

御用学者や大マスコミを通じて垂れ流している北朝鮮からの攻撃の問題じゃが、この事態は、「個別的自衛権」で対応する問題であって、今回の法案であんたらが取り上げている「集団的自衛権」という、アメリカなどの他国が引き起こす戦争に日本が加担するという問題とは異質の事態じゃ。
国民を混乱させる目くらましの「存立危機事態」の、誘導はいいかげんにやめんか!

アベちゃん  

地球は丸いのでございますから、お隣の国も地球の裏側の国も同じ地球上でございます。
我が国の前方はぐるりと回ると、我が国の後方にもなります。
どちらにしましても、「存立危機事態」の判断はですね、国民の皆様に選んで戴いた自公政権の首相であるわたくし、安倍晋三が諸般の限定的な地理的条件や事態を勘案して判断致します。
(このワンフレーズは、どんな難題にも適用できるゾ〜〜ッ!)

マルちゃん 

いつものワンフレーズを使い続けるつもりじゃな!
ならば聴くが、志位さんが国会で「米国が先制攻撃の戦争を行った場合でも、武力行使の新3要件を満たしていると判断すれば、集団的自衛権を発動するのですか」という質問に対して、あんたは、「違法な武力行使をした国を、日本が支援することはありません」と応えておった。
そうであれば、1941年12月の日本による真珠湾攻撃とそれに続く太平洋戦争以降の74年間、アメリカに対する武力攻撃から開始された戦争はあったのかな?

アベちゃん 

アメリカに対する武力攻撃から開始された戦争???
エッ〜と、ベトナム戦争・グレナダ侵攻・リビア爆撃・パナマ侵攻・湾岸戦争・アフガニスタン戦争・イラク戦争・・・などなど、たくさんございました。・・・アレッ!?
(・・・マルちゃんの手に乗っかっているゾ・・・。何か良い反論は無いかな? そうだ!!)
どちらにしましても、違法な武力行使をした国を、日本が支援することはありません。
(このワンフレーズも使えるな!)

マルちゃん 

また、ワンフレーズを増やしおったな。
あんたらも含めて歴代の日本政府は、アメリカが引き起こした戦争を国連の場では、どのような態度で対応してきたのかな?

アベちゃん 

それはでございますね、一度も「反対」したことはなく、一貫して「賛成」・「支持」・「理解」を示してきたしだいであります。
(アレッ?何か悪い予感)

マルちゃん 

つまり、ただの一度もアメリカが引き起こした戦争を国際法違反として批判したことが無いということじゃな。
疑問が疑問を呼んでくるのじゃが、今までにアメリカが引き起こした戦争への責任追及をなぜ、したことがないのかな?

アベちゃん 

 それはですね・・・? なぜなのかな?
おじいさんからは、聴いていないし・・・?
そう言えば、イラク戦争の当時、首相官邸で、安全保障・危機管理担当の官房副長官補を務めた柳沢協二さんが、著書「検証 官邸のイラク戦争ー元防衛官僚による批判と自省」のなかで、「大量破壊兵器」問題についてアメリカに説明を求めなかった理由について、書かれていたな。
確か「(説明を求めれば)将来にわたって、アメリカの情報についての検証と説明を求める前例となるばかりか、核の持ち込みなど、過去の問題についても、アメリカの説明に関する検証が必要になることも考えられる。アメリカへの検証・説明要求は、『パンドラの箱』を開けることになりかねなかった。」という内容でしたが、妙に納得できますよね・・・!
(俺、なに言ってんだろ・・・逃げ道が無くなってきたぞ・・・。)

マルちゃん 

アベちゃんの頭が混乱しているようなので、ここで、「戦争法案」を手にする危険性の問題という、二つ目の問いのアベちゃんの答えをまとめてみよう。
つまり、「アメリカが、イラク戦争のような先制攻撃の戦争に乗り出しても、違法な戦争と批判できず、言われるままに集団的自衛権を発動して、海外での武力行使に乗り出す。ここにこそ、集団的自衛権行使の最大の現実的な危険がある」ということじゃな。

アベちゃん 

そういうことになりますかね。
(マルちゃんの術中にはまったみたい・・・。何とか抜け出さなくては・・・。いつものやつで乗り切るしかないな。)
どちらにしましても、国民の皆様に選んで戴いた自公政権の首相であるわたくし、安倍晋三が判断致します。

マルちゃん 

いつまで、そのワンフレーズを使い続けるつもりかしらんが、三つ目の問題じゃが、それは、過去の日本の戦争を「間違った戦争」と言えない安倍自公政権が「戦争法案」を推進するという、危険な「歴史逆行性」の問題じゃ。
5月20日の党首討論のなかで、志位さんの「(ポツダム宣言を引用して)過去の戦争は『間違った戦争』との認識はありますか」という質問で、アベちゃんは、「(ポツダム宣言を)まだ、つまびらかに読んでいない」と応えておる。
それはまずいということで、そのあと「首相は、ポツダム宣言を読んでいる」と「閣議決定」しておったな。
そこで、聴くのじゃが、ポツダム宣言を読んでいても「間違った戦争」という認識は無いのかな?

アベちゃん

真綿で首を絞められているようで、だんだん息苦しくなってまいりましたが・・・。
そもそも、ポツダム宣言については、2005年7月の雑誌「Voice」でわたくしが述べている通りで、その内容は、「ポツダム宣言というのは、アメリカが原子爆弾を二発も落として日本に大変な惨状を与えたあと、『どうだ』とばかり叩きつけたものです。そんなものをもちだし、あたかも自分自身が戦勝国であるかのような態度で、日本の総理(当時の小泉首相のこと)を責めあげる。大変な違和感を感じました。」・「ポツダム宣言をもって総理を追及する姿は勝者にこびる道化師のようであり、滑稽でしたね」というものです。
(何か、胸のつかえが取れてスッキリ・爽やかな感じ・・・!)

マルちゃん 

ポツダム宣言の根本から間違っておる。
ポツダム宣言が発せられたのは、1945年7月26日で広島・長崎への原爆投下は8月6日と9日、日本が受諾通告をしたのが8月14日じゃ。
つまり、原爆投下以前にポツダム宣言は発せられていたのじゃ。もし、すぐに受諾通告をしておれば原爆の悲劇も無かったことになるのじゃ。
また、ポツダム宣言は、軍国主義の除去と民主主義の確立を基本としたもので、日本の国民が進むべき道は、平和で民主的な日本の実現にあることを示した、戦後日本の原点中の原点となった文書じゃ。

アベちゃん 

先の「閣議決定」を以下のように修正致します。
ポツダム宣言は読んでいますが、理解していなかっただけです。理解していなかった点についてはお詫び致しますが、国民の皆様に選んで戴いた自公政権の首相であるわたくし、安倍晋三が諸般の事情を勘案して「ポツダム宣言」内容の良否を判断致します。

マルちゃん 

結局、何を言われようが、追い詰められようが、「国民の皆様に選んで戴いた自公政権の首相であるわたくし、安倍晋三が・・・判断致します。」ということのようじゃな。
ならば、最後に聴くが、「戦争法案」反対の国民の声は、6割を超えており、あんたらが丁寧に説明すればするほど反対の声が増大しておる。
安倍自公政権の支持率もここにきて30%台に急落しておる。
首相官邸の周辺だけではなく、全国津々浦々で、老若男女が保守も革新も手を取り合って、「戦争反対」・「人を殺すな、殺されるな」の一点で反対運動を展開しておる。
これでもまだ、国民の声が聴こえんのかな?

アベちゃん 

気配は感じております。
しかしですね、わたくしの補佐官である礒崎陽輔君が私の思いを口走り、皆様にご心配をおかけしましたが、私の思いは彼の申しました通りで、「(集団的自衛権行使が)日本を守るために必要な措置かどうかだ」・「法的安定性は関係ない」ということであります。
国民の反対が多かろうが、支持率が下がろうが、おじいちゃんから受け継いでいるバトンを持ってこの法案成立というゴールへ突き進む所存でございます。
国民の皆様に選んで戴いて、衆参両議会での絶対多数を手にしました。その絶対多数がある間に、自公政権の首相であるわたくし、安倍晋三が決断致します。
安倍晋三の決断は、かくもなおさず国民の皆様のご決断でございます。
(よっしゃ、完璧!!)

マルちゃん

民主主義の「み」の字も理解しておらんということがわかったな。まるで、70年前の天皇制の時代、そのままのじゃ。
このことを一番理解してきたのは、まさに国民じゃ。
政治権力を使おうが、大マスコミを使おうが、「戦争法案」を阻止しようとしている国民のエネルギーは、日々「巨大」化しておる。
そして、今では「戦争法案」阻止が「民主主義」確立に繋がっていることも、国民はすでに理解しておる。
たたかいは、ゴールに近づいているのではなく、まさに、スタートを切ったばかりじゃ!

マルちゃんへの、共感・異論・反論・逆異議ありetc.待ってまーす!?

(15.08.15)