マルちゃんの"異議あり"トーク

第5話:「死の商人」の巻

安倍自公政権は、4月1日、「武器輸出三原則」を撤廃して、新たに「防衛装備移転三原則」を閣議決定しました。

菅官房長官は、「積極的平和主義の観点から平和貢献・国際協力に関与する。」と言い放ちました。

そもそも、「武器輸出三原則」は、1967年に佐藤自民政権が「1.共産圏、2.国連安保理決議で武器輸出を禁止している国、3.紛争当事国」への武器輸出の禁止を決定したものでした。

その後、1976年には、三木自民党政権が、先の箇所以外の国への武器輸出も慎むとの見解を表明して、現在に至っていたものが「武器輸出三原則」でした。

そんな時、またまた登場。マルちゃんの"異議あり"。
 安倍首相の大叔父や自民党の先達が守ってきた、曲がりなりにも憲法九条を具体化した「武器輸出三原則」を、今、なぜ変えようとしているのか?マルちゃんとアベちゃんのトークを聞いてみましょう!

マルちゃん

なぜじゃ?
あんたの、大叔父の佐藤栄作君が決定したものを、なぜ変えようとしているのじゃ?

アベちゃん

栄作大叔父の決定は良かったっスが、三木武夫先輩の表明はまずいっスよ。
あれじゃ、どこにも武器を輸出できないっスよ。

マルちゃん

今日は、いつもの国会答弁調の言い回しじゃなくて、若者風な言い方じゃの。
若者を取り込みたい、何か魂胆があるのかの。
まあ、それは後との問題として、閣議決定した「防衛装備移転三原則」を、チョコット、簡潔に教えてくれんかの。

アベちゃん

了解です。

まず、第一の原則はですね、武器輸出を禁止する場合を明確化したことでございます。

次に、第二の原則でございますが、輸出を認める場合を限定することでございます。

最後に、第三の原則としては、輸出した武器の目的外使用や第三国移転の適正管理でございます。

マルちゃん

やっといつもの調子の、国会答弁調じゃのう。ワシも突っ込みやすいわ。

まず第一の原則じゃが、中身は国連加盟国であれば当たり前のことを規定しているだけで、アメリカが拒否権を連発して武器使用を擁護しているイスラエルには、武器輸出が可能になる仕組みが組み込まれておる。つまり、武器輸出の「原則禁止」から「原則解禁」への大改悪じゃ。

次に第二の原則じゃが、輸出を認めるのは、平和貢献や国際協力などの推進や日本の安全保障に役立つ場合という、極めて抽象的な内容じゃ。これでは、国家安全保障会議という国民には知られない閉鎖的な場所での恣意的な判断がいくらでも可能じゃ。

最後の第三の原則じゃが、これもまたひどい内容じゃ。日本への事前協議を義務付けとるが、「部品等を融通し合う国際的なシステムに参加する場合」などは例外扱いじゃ。これじゃ、日本も部品提供を行いアメリカが中心として開発している最新鋭戦闘機F35を、周辺国と軍事衝突しているイスラエルに輸出することも可能になる仕組みじゃ。

アベちゃん

マルちゃん!。もう5回目の付き合いだから分ってちょうヨ。

財界からは、突き上げをくらってサ、この1年間に延べ32社の軍需企業を引き連れてサ、トップセールスをさせられているっスよ。
アメリカからは、集団的自衛権というお題目を突き付けられてサ、人・物・金を吐き出さされているっスよ。
でも、オレ、負けないっス。
産業と軍事が一体となって、日本の経済を立ち直させるまで、頑張るっス。

マルちゃん

"異議あり!"

何たる能天気。

「武器」の目的は、人・物を殺戮し破壊することじゃ。いくら「防衛」という名で覆い隠そうとしても、その目的には何らかわりはないのじゃ。

パレスチナを含む22カ国が加盟しているアラブ連盟の首脳会議では、「シリア両派に武器を渡すな」ということが話された。

武器輸出大国のアメリカでは、イラク戦争やアフガニスタン戦争へ出兵した若者中心の戦争帰還兵が200万人以上いるが、そのうち60万人が心的外傷後ストレス障害(PTSD)などを患っておる。また、1日平均22人以上の退役軍人が自殺しておるという報告もある。

元外務省国際情報局長の孫崎さんは、「集団的自衛権は、自国の防衛と関係なく外国に出て行き人を殺す。恨みを買い、復讐とテロを呼び込むという大きな『コスト』を払うことになります。」と言っておった。ましてや、武器を売り付けるということが知れたら、テロの対象になることは火を見るよりも明らかじゃ。

まさに、あんたのやっているトップセールスは、「死の商人」そのものじゃ。その行き着く先は、何度もの世界大戦や地域戦争・紛争が繰り返されている歴史が、いやというほど証明しているじゃろ。わからんのか!

「死の商人」の行為は、武器を売る側の国民も、買う側の国民も死者の山を築くことになるんじゃぞ。

アベちゃん

だってサ、資本主義はサ、儲けなきゃダメジャン。
儲けるためには、手段を選ばずっスよ。

マルちゃん

"馬鹿者!"

ワシが「資本論」で引用した「大洪水よ、わが亡きあとに来たれ」という、フランスのルイ15世の愛人ポンパドゥール夫人の言葉と、日本でよく使われる「あとは野となれ山となれ」という言葉を、もう一度、考えてみることじゃ。

人を殺戮し生産物を破壊することが、資本主義の発展に繋がることかどうか考えることじゃな。それと忘れてはならないことは、次の世代を担う若者たちを、死地へ向かわせることになるのじゃぞ。

人間が作り出した商品は、次の再生産へと繋がる。しかし、「武器」は殺戮と破壊にしか繋がらないのじゃ。

「武器」は、購入するための費用だけでなく、それを維持管理する費用も莫大なのじゃ。再生産どころか、ただの浪費そのものなのじゃ。

アベちゃん

マルちゃんが何と言おうと、ボクには財界やアメリカという強い仲間がいるっス。

公明党も、維新の会も、みんなの党も、そして民主党もいるっス。

これが本当の「Die(ダイ:死)道団結」っス。

マルちゃんへの、共感・異論・反論・逆異議ありetc.待ってまーす!?

(14.04.26)