読書のすすめ 「知らずに他人を傷つける人たち」

 読者の方から以下の本に対する感想をいただきましたので紹介します。

知らずに他人を傷つける人たち
 モラル・ハラスメントという「大人のいじめ」 香山リカ
 べスト新書


 セクハラにパワハラは、有名ですが、「モラル・ハラスメント」という言葉があるのを知っていますか。
 「モラル・ハラスメント」が日本で知られるようになったのは、1999年にフランスの女性精神科医、マリー=フランス・イルゴイエンヌの著書「モラル・ハラスメント 人を傷つけずにはいられない」が翻訳されたときからです。
 著書の中で、「モラル・ハラスメントとは、言葉や態度で繰り返し相手を攻撃し、人格の尊厳を傷つける精神的暴力のことである」と定義しています。
 香山リカ医師の本では、「職場」と「家庭」で起きているいじめや嫌がらせが紹介されています。
 上司と部下の話や家庭での夫婦関係は、とてもリアルで、本当にあちこちでよく聞く事例ばかりでした。
 加害者は、言葉や態度によって巧妙に相手を傷つけることによって、相手を支配し、隷属させようとし、被害者は、相手の術中に陥り、「悪いのは自分のほう」という意識にまでなるというのだから、びっくりです。なんでもハラスメント(いやがらせ)になるのだなと改めてびっくりしました。
 モラハラ人間にならないためには、コミュニケーションの達人になることで、みんながコミュニケーションのスキルを身につけることが大切だと書かれています。
 コミュニケーションというのは、「自分の言いたいことを伝える」という三割と「相手の言いたいことを聞いて理解する」という七割で成立しているそうです。
 よく「話し上手は、聞き上手」と言いますよね。
 相手の気もちを考えながら、言葉を尽くして自分の言いたいことを説明することと、きちんと答える、ひとこと付け加えるということを億劫がらないことが大事だと思いました。
 「モラル・ハラスメント」は、自分には関係ないと思う人こそ、一度読んでみてほしいものです。


(11.06.09)