「かすかな光へ」

 読者の方から映画の感想をいただきましたので掲載します。


−「かすかな光へ」−

 先日、映画「かすかな光へ」を観ました。
 93歳の教育研究者"大田堯(たかし)"さんのドキュメンタリー映画です。

 90を過ぎても矍鑠(かくしゃく)として、夢を持ち続ける精神の気高さが肉体をも老いさせない元気さに目を見張りました。

 ほのぼのと心温まる良い映画でした。
 東大生のエリートとして兵役につき体験した戦争で、生きる力を試されたジャングル生活、そしてそこで生活に根ざした知恵と力を身につけた農漁民兵に出会い、自身の無力さにズタズタにされたプライド。
 その出発点から終戦直後、さまざまな職業の住民参加の中で取り組んだ"民衆の学校"づくりの成果とその後の時代背景からの挫折。
 そして現在の"無縁社会"の中で、講演会、幼稚園児との交流、自然との共存(自然ミュージアム構想)と映像が流れていき、観る者に大田さんの生きざまを強く訴えます。
 谷川俊太郎の詩も抒情的で、余韻の残る素晴らしい映画だったと思います。

 「人は違っていていいんだ、我が子であっても違う存在である、そして人は変化していくんだ。」と大田さんは熱く語ります。
 そして大田さんはいま、自然の摂理に生命あるものの絆をめざし、講演や執筆にエネルギッシュに取り組んでいます。

 教育の場で強権を振りかざすハシズム(大阪市長)とは対極に立つこの教育観を大切にし、伝えていきたいと強く思いました。

(Y.H)


(12.01.23)