プラント事業の分社化をめぐる企業のやり方
―赤字の責任が従業員の責任でないと回答しながら従業員に責任を取らせる分社化決定―

川重は、2005年1月31日の取締役会で「当社は、本日の取締役会において、2005年4月1日をもって、当社のプラント事業を会社分割し、その事業を100パーセント子会社『川重プラント株式会社』に承継することを決定し、分割契約書を締結しました」と発表しました。
分社目的は、「2000年11月以降、構造改革事業と位置づけ、製品の見直しや人員規模の縮小など構造改革をおしすすめてきたが、厳しい市場環境にあって、同事業の事業基盤を安定させ、継続的に発展させていくためには、よりいっそうの抜本的な構造改革の推進を必要として判断して同事業を分社独立させることを決定した」としています。

昨年8月末の分社化発表以来、会社は、その理由と方針を従業員向けには、各職場の長による説明会や副社長との懇談で、労組には労使協議会を開催し説明してきました。                                                                        従業員向け懇談のなかで副社長は、「今期も赤字だ。プラントは7年も赤字を続け、巨額の累積赤字がある。川重内での再建は許されない」と分社の理由を語りました。
一方、労使協議会では「事業の基盤を安定させ、継続的に発展させていくための抜本的改革」として種々再建策を提示し「構造改革」のための分社であると説明しています。客観的にみても赤字分社であることは明らかですが、不採算部門の切り捨ては法的に許されないことからこうした使い分けをし、分社を正当化しています。
赤字の原因についても「人員削減と経験者の退職・高齢化・中間世代構成員の絶対数の不足等々により、あらゆるところで歪みが生じている。人員不足と過度のコストダウン要求は、外注化による技術力の低下や空洞化、ブロジェクト管理能力の劣化をもたらせた」、「このような事象の主たる要因は、低採算受注による業務の混乱と認識している」(川重労組ニュース1475号より)と業績悪化の責任が企業にあることを事実上認めています。にもかかわらず、実質的に従業員に責任をとらせる分社化を決定しました。

分社時の労働条件は、労働契約承継法にもとづいて現在の条件が承継されます。
しかし、分社の目的や改善策のなかに「労務費の弾力化」 「仕事量にみあった人員の配置」があげられており、賃金の引き下げや、2年間で約200人もの人減らしが最初から盛り込まれており従業員へのしわ寄せは明らかです。

業績悪化が従業員の責任で無いことを認めるのなら、私たちは、川重本体のままで雇用と賃金を保証しながら構造改革に取り組むことが会社の経営責任であると考えます。

私たちは、こうした理不尽な分社が、繰り返されないためにどうするか、今後、労働者に襲いかかるリストラの入り口にならないよう皆さんと共に考えていきたいと思います。

(05.04.03)