川崎重工が開発した「全自動PCR検査システム」
本格運用開始へ
「しんぶん赤旗」(2月21日付1面)によると、川重が開発した「全自動PCR検査システム」を藤田医科大学(愛知県豊明市)が大学敷地内で試験運転を開始し、3月初めから本格運用開始の準備を進めているとのことです。
藤田医科大学の敷地内の 全自動PCR検査システム(同大学提供) |
この検査システムの特徴について、以下のように紹介されています。
●ロボットを利用した移動式自動PCR検査システムで、港湾用の40フィートコンテナの中に、新型コロナウイルスのPCR検査に必要な機能をすべて盛り込み、移動が可能で必要な場所に機動的にセットできる。
●1台で1日最大16時間の稼働想定として2500検体の検査が可能で、専門家は「1000台あれば1日250万の検査が可能」と指摘。現状、1日2500の検査となると10人くらいは必要となるが、このシステムは多めに見て2人で操作できる。
●唾液検体・咽頭ぬぐい液のどちらにも対応可能で、唾液については遠心分離機能も備えすぐに検査できる。
●川重はシスメックス社と共同でPCR検査の検体数を少なくする方式を開発し、検体を採取した後、判定を出すまで現状では、通常210分かかるところを最短80分に時間短縮できる。
●「一度に検査する検体数を少なくしたことで、温度むらを少なくして検査精度を増すこともできる」「2500検体を1人でやるとなると必ずエラーが出る。全自動ロボットの場合、今のところほとんどミスがない」(藤田医科大学)。
この検査システムの活用の意義について、同大学医学部・先端臨床検査技術開発研究室の伊藤弘康教授は、「医療従事者の負担軽減と大量検査を可能にすること」「感染リスクとミス防止という二重の精神的負担」から医師や医療従事者が解放される意義は大きいと強調し、「イベント会場の前に運び、開会1時間半前に検査を受け、結果を見てイベント参加することも可能になる。クラスターが発生したところに運び、すぐに検査できる」と述べています。
この検査システムの本格運用により、感染拡大地域に運び、地域の居住者や在勤者に集中的な面的検査を行い、高齢者施設や医療機関の近くで職員、入所者の社会的検査を機動的に行うことができ、大量検査への大きな可能性が開かれます。
この他にも様々なメーカーが小型の全自動PCR検査装置を開発・普及しており、大規模検査への技術的可能性が大きく広がっています。
感染者数が減少傾向にある今こそ、この条件を生かし、無症状者を含めた感染者を把握・保護するためにPCR検査を抜本的に拡充すべきです。問われているのは政治の決断です。
(21.02.27)