川崎重工・中国出向エンジニア過労死事件
株主総会で会社が虚偽報告、これが誠意ある態度か


6月24日に開催された川崎重工の第199期定時株主総会で、株主の質問に対する会社の回答内容には、虚偽があるとご遺族の方から訴えがありました。

虚偽報告の内容

会社は、「この事案が発生して以降、ご遺族に対しては、一貫して誠意を持って対応しており、出向先での状況については、当社が把握するすべての情報を提供しています」と報告しました。
しかし、ご遺族に対して6月15日付けの書面を送りつけ、係争関係に入ったことで育英扶助年金支給を4月分で打ち切ると一方的に通知していたにもかかわらず、6月24日の株主総会では、「残されたご家族の育英と家庭生活の安定をはかるべく、経済面での補助を継続しています」と虚偽の報告を行なっています。

ご遺族の方は、この会社の報告を知り、「美辞麗句を並べて、調べたら分かる事をあたかもこちらが悪いかのように責任逃れし、虚言を吐き続けられました。自宅に来られ、何度も同じ回答されて『そんな理由で亡くなるわけがない』と思った当時を思い出し、今回の虚偽回答にもはらわたが煮えくり返りました。何度傷つければ気が済むのか」と怒りを込めて抗議しておられます。
株主総会で会社は、「心よりご冥福をお祈りする」「心からお悔やみ申し上げる」と繰り返しましたが、その実態は心無い虚偽報告で、さらにご遺族の方を傷つけています。

事件当時からご遺族に向き合わない会社の態度

会社は、自死事件発生の当初から、「負担となる仕事はない」といった説明をご遺族に繰り返し、本当のことが知りたいと何度も話し合いを申し入れるご遺族を会社の門で追い返す態度まで取りました。
労災認定後も話し合いを求めるご遺族の声を無視し続け、今年1月、ご遺族の弁護団が会社に対して、安全配慮義務違反を認め、損害賠償に応じるように求めた通知に対しても、「一切対応いたしかねます」と突っぱねるなど、終始この事件に向き合おうとしない対応に、ご遺族はやむを得ず提訴されました。


今回の株主総会での虚偽報告は、川崎重工グループ行動規範の「世界各国・地域の全役員・従業員が一丸となり、事業活動において常に正しく行動するためのものであると深く認識し、いかなる困難な状況においてもコンプライアンスを徹底する」という社長自らのコンプライアンス宣言に違反するものであり、すべてのステークホルダーを欺く行為です。
株主の前での虚偽報告は大問題であり、撤回して謝罪すべきです。


(22.07.05)