川重の「史上空前の利益」で労働者の賃金はどうなった?

 川重は2006年度決算で史上空前の利益を計上しました。会社の利益に対し川重労働者の賃金は史上空前とはなっていません。それどころか賃金抑制が続いています。
 そこで、川重の業績と賃金との関係を考えるために、川重労働者の賃金、川重グループの人員構成を川重ホームページ(投資家の皆様へ>IRライブラリー)に掲載されている有価証券報告書、決算説明資料のデータを整理してみました。

図1 売上高と経常利益の推移
 経常利益を連結決算で見ると、2001年度に経常黒字に転換後、2006年度まで経常利益を伸ばしています。2003〜2006年の3年間では、年率平均35%の伸び率です。

図2 川重本体の経常利益と従業員の平均年間給与
 有価証券報告書にある2001年から2005年の平均年間給与(川重本体の正規従業員、賞与・時間外賃金を含む年収)のデータを整理してみました。ただし、これは連結決算ベースではなくあくまでも川重本体のデータですが、川重グループの全体的な年間平均賃金の傾向といえます。
 過去6年間を通しての全体では、2005年度は2001年度に比べてわずか8.1%の増加です。しかし2002〜2005年度で見ると0.1%の減少で、最近の4年間は従業員の平均年間給与は増えてはいません。つまり、最近の経常利益の大幅増加に対して平均年間給与は抑制され続けている実態が浮かび上がります。

図3 川重グループの従業員構成(本体と関係企業)
 過去6年で見ると、川重グループ全体の従業員数は2001年度28,936人から2006年度29,211人となり、275人(約1%)増加しました。川重本体の従業員は2001年14,067人、2005年度9,909人で約30%減に対し、本体以外は2001年14,869人、2005年度19,013人で約28%の増加です。
 つまり、川重グループ従業員構成の最近6年の特徴は、川重本体従業員を削減し関係会社の人員を増やしていることです。
 これは、川崎造船(2002年度)、カワサキプレシジョンマシナリー(2002年度)、カワサキプラントシステムズ(2005度)、カワサキ環境エンジニアリング(2006年度)等の分社化によって川重本体の従業員を削減した結果です。
 分社された会社の賃金水準は公表されていませんが、少なくとも川重グループの利益の増加は分社化の推進と連動していることが分かります。

 以上、図1〜3で見えてくることは、川重の好業績の下、川重の労働者は賃金抑制を強いられていることです。川重の史上空前の利益は川重労働者の犠牲の上に成り立っているのです。

(07.06.03)