原発の「安全神話」を考える

 読者の方から「原発の『安全神話』を考える」市民学習会に参加した感想をいただきましたので紹介します。


 原発の「安全神話」を考える

 6月11日(土)に開かれた「非核の政府を求める兵庫の会」主催の市民学習会に参加しました。
 当日は、学習会とタイアップしている元町映画館で上映される中国電力上関(かみのせき)原発の反対運動をとりあげた「祝(ほうり)の島」を観ようと10時30分に元町映画館に行ったところ既に長蛇の列でした。
 椅子席60席のミニシアター、立ち見で入れるかと半分期待しながら待つこと30分、私の前10人のところで、スタッフから「申し訳ありませんがこれ以上は入場出来ません」ということで入ることが出来ませんでした。
 後で聞いたところ入場者120名で立ち見席もぎゅうぎゅうだったそうです。
 一緒に並んだ初めての方々と14時開催でまだ早いが、学習会の場所「こうべまちづくり会館ホール」にそろって移動、ここでも会場の2階から1階まですでに人の列が出来ていました。
 ようやく席を確保したあと、昼食をとり12時に戻ったところ、2階のホールは既に満席になっていました。
 年輩の方に混じって若い人が大勢いました、それも女性が多くみてとれました。
 原発への危機感、関心の高さが感じられ、日本も捨てたものではないと思いました。
 待つこと2時間でようやく開会。最初は、映画監督の纐纈(はなぶさ)あや)さんの『祝の島』と山口県上関(かみのせき)原発問題についての講演がありました。
   注)纐纈あやさん:写真家・映画監督である本橋成一さんの下で、映画製作・宣伝配給に携わる。映画「ナミイと唄えば」(2006年公開)のプロデューサを経て、本作品が初監督

 上関祝(いわい)島の人たち、普通の人たちが原発建設に反対することに正面から向かっていく過程を熱く、真剣に語られ心を打たれました。
 又、小出裕章さんの講演のあとに纐纈あやさんが感想を述べる場面では、「東日本大震災時は東京にいて、これから結婚し、子供も産みたいわが身に照らし合わせて怖くて、怖くてどうしようもなかった」と涙を浮かべながら言われたことに感動しました。

 小出裕章さんの講演は、原子力発電の仕組みから原子力の専門家であるから原発に反対している立場を簡単に説明してもらいわかりやすい講演でした。
     注)小出 裕章さん:専門は放射線計測、原子力安全。京都大学 原子炉実験所助教。「これからは石油・石炭でなく原子力の時代」と考え原子力工学を志すも、現代の原子力工学における放射線被害の実態を知ったことで、所属機関の趣旨と逆の原子力発電に反対するスタンスをとるようになる。以後現在まで一貫して「原子力をやめることに役に立つ研究」を行なっています。

 講演の中で印象に残ったポイントは下記でした。
・地震の巣である活断層と原発の立地点が見事に一致しているのは世界中で日本だけであるということ。
・私たちが払っている電気料金は、電気事業法の規定に基づいて決められています。
  「原価料金主義」という考え方によって、「適正原価」に「適正利潤」を加えて電気料金が決められる仕掛けになっているから絶対に損をしない仕組みが法的に保障されているのです。
 しかも適正利潤は、資産総額により決定されるので建設費に多大な費用のかかる原発は、電力会社に大きな利潤をもたらします。
・原発を都会には絶対作らないことにした”原子炉立地審査指針“より東京電力は自分の給電範囲外に原発を建設したこと。(言い換えると「人口密集地に原発を作らないために、東北電力の給電区域に東京電力の原発を建設した」ということです)
・核保有国(先進国)側からみれば、英語のNuclear Developmentの意味は、日本・米国などが行えば「原子力開発」と言って推進します。しかし、北朝鮮・イランなどが行えば「核開発」と言い換えて非難します。
 他国にNuclear Developmentを非難し禁ずるのであれば、自国もしてはいけない。

聞けば聞くほど怒りが沸々と湧く講演でした。
講演後に、会館前の街頭で「福島原発を廃炉に」に署名をして帰途につきました。


(11.07.07)