品川正治さん記念講演
読者の方から品川正治さん(注)の記念講演の感想をいただきましたので紹介します。
品川正治さんの記念講演(戦争・人間、そして憲法9条)
明石の9条の会5周年を記念して、品川正治さんの講演が、11月26日に明石市民会館でありました。
神戸育ちの品川さんは、物心がついた時から戦争中で、小学校に入った年に満州事変が始まり、旧制高校に入った時に太平洋戦争に突入しています。
理系は猶予がありましたが、文系の品川さんは20歳になれば召集令状がきて戦地に赴かなければなりません。
それまでに自らの生き方(死に方)を問うために、みんなと同じように何か1冊の本をポケットに入れていました(カントの実践理性批判、原書)。
読み終えた直後には令状が来て、学徒出陣となり山陰の連隊に入ります。
2週間後には中国の最前線に行き、終戦まで連日連夜、戦闘状態にありました。そこで親友を失い、自らも右足に被弾します(残る銃弾のために座ったままの講演を恐縮されていましたが)。
品川さんたちは、終戦の翌年になってから日本に戻る船に乗ります。
日本での列車移動の中で新憲法に出会います。隊の仲間たちと読んだ新憲法には、連隊長以下のみんなが9条の「戦争放棄」に感激して涙したそうです。
戦友を思うと戦争体験は語れません(10人中7人は病死・餓死、2人は戦闘死、そんな中で自分だけが帰ってきた話などできません)。しかし時代が変わり躊躇を踏み越えて、憲法の大切さを実感した人生について語りだされました。
憲法は、今やボロボロにされていますが、国民はこの旗を降ろしてはいません!そして、これは世界に誇れる人類の羅針盤でもあり、この憲法を国民が堅持する!と決意すれば、それは世界的な大事件になる!と断言されています。
なお、最後に何度も強調されていたのは、「戦争をするのも人間」、「戦争を拒否するのも人間」という事でした。我々が「主権在民」を深くとらえ、実践するならば、憲法は必ず守れる!という信念が切々と伝わる、見事な講演でした。(50代 会社員)
(注)品川正治(しながわ まさじ、1924年 - )元・日本火災海上保険(現日本興亜損害保険)会長、経済同友会終身幹事、「全国革新懇」代表世話人。
(11.01.15)