拍手が起こった川崎重工株主総会

 川崎重工の株主総会が6月28日、神戸市中央区の国際会館で開催され「憲法を職場に活かす川崎重工の会」から3名が発言しました。総会では、11名が発言し社会情勢を反映した「脱原発」の発言が多く、私たちの「労働者を大切に」の発言については拍手が起こりました。下記はその発言と回答の要旨です。

脱原発について

【質問】
 福島の原発事故を見ていま、脱原発、省エネ、再生エネルギーがキーワードとなっている。総合重工業としての川重が脱原発についてどのように考えられているのか。ビジネスの問題としてどのように対応しようとしているか。
【回答】
 原子力政策については国のエネルギー政策の根幹に関わることなので、当社としてこの場で発言することは慎みたい。個人の意見としては、福島原発の災害を機会に脱原発の動きは世界的に広まる可能性は非常に高い。原子力政策に見直しは避けられない。ただ原発はわが国の発電量の30%を依存しており、ただちに停止することは事業そのものの運営が成り立たなくなる。また、その結果、雇用の安定に影響が出ると考えられる。事業運営の面ですぐに停止することにはとても許容出来ない。
 一方で、再生可能エネルギーの研究開発に取り組んでいる。CO2フリーの水素社会の実現に向けて、水素チェーンの研究開発を進めるとか、潮流発電を進める等、脱原発の一翼を担いたい。

企業内保育所設置について

【質問】
 昨年の株主総会で、三菱長崎造船は企業の中に保育所をつくり、従業員に非常に喜ばれているので、川崎重工でも作ったらどうかとお願いした。そのときの社長の回答は、外国の工場の中ではそういうことが検討されているので、日本でも検討していきたいとの返答であった。ダイバーシティーの精神からも会社内に保育所を作ってもらいたい。その後、検討されているのか。
【回答】
 昨年も質問され我々もダイバーシティーの推進の立場から非常に重要な案件と考えている。現在、実際に共稼ぎしている従業員の方へ、どういう形の希望をもっているかアンケート調査を行っている。駅の近くがいいのか、社宅がいいのか、あるいは一般の託児所に援助するのがいいのか、いろいろな要望があると思うのでいろいろな意見を聞かせて頂いて、それにより検討したい。

労働者を大切に

【質問】
 人材を活かすということで、ダイバーシティーの推進が強調された。契約社員が正社員になれる道が本当に大きく開けているのか。直接雇用している契約社員の数と契約社員から正社員になった人の数を教えてもらいたい。
【回答】
 ダイバーシティーを推進して多様な働き方を用意して、仕事と生活の調和、安全バランスを図っていきたい。派遣社員、契約社員から中途採用への登用の道を作っている。昨年度、二百数十名の方を中途採用して正社員にしている。その中に派遣、契約社員から正社員になった方もいる。

【質問】
 ダイバーシティーを川崎重工全体に波及するようにしてもらいたい。川崎重工で長い間働いて、60歳過ぎても雇用されているが、60歳を過ぎると賃金が半分くらいになる。仕事は前と同じようにきついという情況である。辞めたくても年金もだんだんともらえなくなってくる。もう少し考えてもらいたい。期間社員や契約社員の制度が日本全体にあるが、人間が人間として尊重され、働いて、結婚して、子供を産んで生活できる賃金にする。正社員も非正規も含めてこういう政策が必要です。現在とくに、技術の継承が叫ばれているときに人を大切にする経営方針を是非おこなってほしい。(拍手が起こる)
【回答】
 60歳定年が一般的であるが、63歳に定年延長している。働きたい方に雇用の場、働く場を提供するということで非常に大きな決断であった。60歳以降では生活費の面では少し必要額が下がる。63歳に到達された方は65歳まで再雇用する制度を作っている。昨年来、労働条件を見直している中で、60歳以降のエルダー層、63歳以上の再雇用の方の賃金についても改善を図っている。

他の方から「工場見学会を行ったらどうか」、「原発30%の発電がなくなった場合のことを考えて、川重はどのような備えをしているのか」、「法人税世界一と言われる環境の中で海外進出を考えているのか」、「単車を安く買えるような株主優待はないのか」などの質問がありました。

(「憲法を職場に活かす川崎重工の会」H)

(11.07.10)