川重、8億円所得隠し −国税局が指摘−

 新聞報道などによれば、川重が大阪国税局の税務調査を受け、08年3月期までの5年間で、約14億円の所得の申告漏れを指摘されました。うち約8億円は、海外の子会社への財務支援などを目的にした「利益移し」とみなされて、所得隠しにあたると認定され、追徴税額は重加算税約9千万円を含めて5億数千万円にのぼります。

 国税当局は、海外子会社をめぐる「利益移し」は、日本で収めるべき法人税を少なくする悪質な手法と見て監視を強めており、川重が知的財産として所有する鉄道車両の技術情報を、米国子会社が取引先に販売したが、川重が子会社から対価を受け取らなければならないことを認識しながら受け取らず、財務支援などを目的に利益を移したと判断しました。

 川重広報部は、「国税当局とは見解の相違はあったが、指摘に従って納税した」と説明していますが、企業の社会的責任やコンプライアンス遵守が求められる時代に、金を払えば済むという問題ではありません。 

 川重の09年3月期の連結売上高は、1兆3386億円で、鉄道分野では国内トップメーカです。トップメーカとしての高い倫理観を持って、新聞やテレビニュースなどで公表されてからではなく、自らすすんでホームページ等で事の真相を明らかにすべきです。

(09.12.13)