差 引 増 税 !

住民税増税の波紋

  今年6月1日より、「定率減税」が廃止され、住民税が増税になりました。役所には住民からの問い合わせが殺到し、「増額ぶりに仰天」などの声が上がっています。参院選のさなか、政府は「税源移譲(注1)であり、住民税が増えた分、所得税が減税されている」と、苦しい言い逃れをしましたが、この問題について、新聞やテレビなどマスコミも大きく報道しました。中には数万円の負担増といった記事も報道されていました。では、川重の労働者の場合どうだったのか事実をもとに検証し、この問題について考えてみたいと思います。

 下記グラフは、川重労働者の住民税と所得税の推移を、税制が改悪される前の2006年11月、所得税が減税された2007年1月、住民税が増税された2007年6月の、住民税、所得税の推移を見たものです。

   
 

 残業や、昇級などで若干の違いはありますが、まず、改悪前の2006年11月と改悪後の2007年6月との比較を大筋の傾向で見てみると、Aさんと、Dさんを除いた3人については、ほぼ傾向は同じで、約3000円から5000円の増税となっています。
 また、住宅を購入したばかりのAさんの場合は、住宅の買い替えで、多額の損失が出たため数年間住宅取得控除で住民税の免除を受けていました。これが、このたびの改悪で一気に増税となり、約40000円の増税になっています。
 エルダー層のDさんの場合は、僅かに金額が減っているとはいえ、賃金が約半額になっている現状で、この税額では実質増税になります。

 以上見てきたように、政府は「税源移譲であり、住民税が増えた分、所得税が減税されている」などと述べていますが、実質は増税なのです。また、住民税は、年末調整の対象外であり、戻し減税はありません。同時に、健康保険料もこの住民税にリンクしているため、住民税が上がることにより、健康保険料も増額となります。

 住民税の大増税は、自民党と公明党が、定率減税などを廃止したためです。「年金財源のため」と言って増税しましたが、年金財源に回ったのは2割弱です。大部分が大企業や大資産家への減税に流用されました。庶民増税ではなく、大企業・大資産家へのゆきすぎた減税こそ見直すべきです。

<注1:税源移譲>国から地方に3兆円の税源を移すもの。所得税率を下げる一方、住民税率を上げます。

(07.08.22)