ベネズエラ訪日代表団 「友好・連帯のつどい」に参加して
◎ 集いの紹介
2006年3月24日、神戸勤労会館において、ベネズエラ訪日代表団歓迎実行委員会主催の「友好・連帯のつどい」が、約350人の参加で開催された。
米国の圧力をはねかえし、国民が主人公の国づくりを進めているベネズエラ・ボリーバル共和国との連帯と交流を深めることを目指して、日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会が招待したもの。(歓迎集会は3月20日の沖縄県を皮切りに4月10日の東京都まで28回実施された)
代表団は、ベネズエラ国際連帯委員会全国指導部員のフェリーぺ・ネリ・フィゲロア氏とジヨニ・ラモン・ニーニョ・ピジャロエル氏の2名。「変革が起きたベネズエラの歴史」「現在のベネズエラ変革」の講演の後、1時間あまりの質疑応答があり、参加者全員で平和の歌「NEGAI」の合唱をした。
◎ 歴史的成果
世界有数の産油国であるベネズエラのチャベス政権は、米国の強大な軍事力を背景とした覇権主義と新自由主義グローバル化の押しつけに反対して、貧困の克服・医療・教育の向上に取り組むとともに、平和で公正な世界を築く重要なイニシアチブを発揮している。特に「アメリカの裏庭」と呼ばれて、米帝国主義の収奪を欲しいままにされていたラテンアメリカ諸国の人々に、民族自決と革命的民主主義を発展させるための大きな励ましとなっている。チャベス政権が、その誕生から7年を経過した現在まで公正な選挙結果と憲法に基づいて擁立されて来た事は、国民が主人公の参加型民主主義の実現であり、21世紀の人類史的にも重要な意味を持っている。
◎ 計画の実施
国民多数の参加による人間に優しい政治・経済を目指して、多様な計画が、多くの困難と反動勢力の妨害を受けながらも、着実に実行されている。
医療面:
多数の診療所の建設と、キューバ等からの多数の医師派遣およびキューバでの手術も実施。すべてが無料。特に子ども達には、行き届いた健康管理を実施。
給食・福祉:
大土地所有制と農業改革で食料増産計画を実施。安価な食料・日用品を供給する「人民の店」、無料で1日2回の食事ができる「人民食堂」の設置など。年金の改善。
教育面:
小学校・中学校・大学進学支援などの各段階での教育支援を無料で実施。非識字者150万人がゼロになりラテンアメリカでは、キューバに次いで2番目の「文盲一掃の地」となった(ユネスコ承認)。午後のクラブ活動には、おやつが無料。
国づくり:
石油の富の公正な分配と生産の仕組みを変革する。民主主義を、経済・社会・政治の新しい秩序の建設を通じて、これまでの概念を克服した新たな段階に引き上げる。民族の独自性と自主性に依拠した、物まねでない社会主義に向かう。
内発的発展計画:
失業者に2年間の奨学金支給と職業訓練実施。各種共同組合づくり。
さまざまな社会計画を総合し、内発的・持続的な発展を可能とする生産システムづくり。
◎ 反動的障害
労働者・農民・最も持たざる人々が、国民的なたたかいの中で、団結のため予想を超えて努力をしている。依然として貧困は存在するが、貧者は富者によって、もはや抑圧・支配されてはいない。しかし、依然として、強大な経済力を持つ階級の抵抗が存在する高失業率の資本主義社会である。米帝国主義とベネズエラの売国的諸勢力は、石油利権の確保を狙いながらこの歴史的成果の前進の妨害と、ラテンアメリカ・カリブ海諸国の平和的・自主的統合への動きをもくい止めようとしており、そのためには手段を選ばぬ姿勢である。革命政府は、反ファシズム勢力を間断なく強化しなければならない状態にある。
◎ 与えられた感動
マスコミでは伝えられない歴史的発展が、地球の裏側で大河の如く進んでいる熱い事実を知ることで、日本での政治変革に大きな励ましを得た。米軍の新たな再編計画はラテンアメリカへの介入強化をも狙ったものであるが、この危険性を抑止するためには、日本の民主的主権の実現のたたかいとともに、集団的自衛権の否定と国際的共存の諸原則擁護および主権と自決権擁護のためのたたかいを活発化させることが重要であると考えた。
(06.06.06)