映画「ダーク・ウオーターズ巨大企業が恐れた男」を視聴しました
読者の方から投稿がありましたので紹介します。
内容はショッキングなものでした。最近話題になっているPFASを社会に知らしめた映画なのだと思いました。映画の内容と私なりの問題点を紹介します。表現に不十分、不適切なものがあるかもしれませんが、映画は実話に基づくものです。是非皆さんに知ってもらいたい内容です。
1998年 アメリカでデュポン社の大規模製造工場に隣接する農場で地下水を飲んだ牛や犬が相次いで発狂し、死んだことに疑問を持った農場主が弁護士に救いを求めました。
当時はまだPFASなどの物質が環境汚染物質との社会問題になっていませんでした。弁護士は情報が少ない中、デュポン社の製造にかかわった労働者を追跡調査し、多くの労働者が健康を害して亡くなったり苦しんでいることを突き止めます。他の科学者などの協力も得て膨大な資料や文献などを分析し、フッ素加工のフライパンの加工の際に使用される科学薬品に原因があることを突き止め、デュポン社が発ガン性のある有害物質の危険性を40年間も隠し、大気中や土壌に垂れ流し続けた疑いが判明します。
デュポン社に責任を問い詰めますが認めようとしない為、農場主ら7万人の住民を原告団とする一大集団訴訟に踏み切り裁判を起こします。
アメリカ3大財閥の一つとも称される屈指の超大企業のデュポン社を相手の裁判は困難を極めるのですが、ウェストバージニア州内の環境汚染が疑われるコミュニテイー住民の協力を得て疫学調査を実施し、その結果多くの住民の健康状態に環境汚染物質との関連が疑われる異常があることが判明し、デュポン社も補償に応じたのです。
PFAS環境汚染問題の先駆けとなったこの事件と十数年に渡り不屈の闘いに挑んだ弁護士たちの奮闘ぶりの実話を映像にしたのが映画「ダーク・ウオーターズ巨大企業が恐れた男」です。
PFASは脂肪酸の一部の炭素に結合する水素をフッ素に置き換えたもので、その種類は膨大な数に上ります。
熱や薬品で分解しない安定性や撥水性、紫外線で分解しないなどの性質を生かして、消火剤、塗装剤、防水材、耐熱材など多くの生活用品にも使用されています。
私たちの生活から切り離せないものになっていると言っても過言ではありません。
日本でも多くの方が愛用されているテフロン加工のフライパン。この製造過程で人体に重大な影響を及ぼす環境汚染物質が使用されていたことに驚きました。この物質はその性質上、一度人体に入ると永年蓄積され人体に影響を与え続けます。とても厄介な物質です。
最近、米軍基地や工場地下水などで汚染が広がっていると知り、とても怖くなりました。
PFASに関連する食品や飲料水の規制では、欧州食品安全機関が設定した許容摂取量は、日本の食品安全委員会と比べて30倍以上も厳しい値です。米環境保護局は、4月に飲料水について日本の目標値より6倍以上の厳しい法的な規制値を決定しました。
日本では、海外に比べ、基準値が低く設定されており、身近な明石川でも、上流の水路で行った水質検査で、国の暫定目標値(1リットル当たり50ナノグラム)の最大92倍に当たる濃度のPFASを検出していたことが判明しました。
PFAS問題は最近まで殆ど耳にしませんでした。環境汚染の実態や、原因と対策などは殆ど知らされていません。
なぜ、危険と判っていても、基準を見直さないのか?対策を講じないのか?
米軍基地内はどうなっているのか、廃棄物処理や企業の使用実態はどうなっているのか、私たちの生活にどれだけ迫ってきているのか、わからないことだらけです。
国民が声を上げ政治の力で実態を解明し、環境汚染の歯止めをかけなければ、国民の命と生活は、守られないのではとつくづく感じずにはいられせん。
この映画が上映されていましたら是非視聴してみてください。
(ペンネーム:鉄のフライパン)
(24.06.20)