2年連続総労働時間が2100時間を越える!

 5月23日、労使による生産専門委員会が開催され、2年連続総労働時間が2100時間を越える問題について話し合われました。

 総労働時間短縮という従業員の願いとは逆行する、総労働時間の増大の原因は何かについて、労組ニュース1557号と川崎重工本体従業員数・経常利益より見てみたいと思います。

平均総労働時間の実態(表−1)


 2003年度と2006年度を比較すると、年間所定内労働時間は減少しているのに年間残業時間は、約250時間から約370時間へと1.5倍に急増しています。

 また、年間総労働時間も年々上昇していて、2003年度と2006年度を比較すると、2062時間から2142時間と80時間も上昇しています。これは、従業員の皆さんが家族との団らんの時間を2週間も切り取られていることを意味しています。

労使の質疑応答から見えてくること

 労組側から2年連続総労働時間が2100時間を上回った実態に対して、会社側へ問題意識を投げかけています。それに対して会社側は、「恒常的に長時間残業が続いている者に対しては、何らかの対策を早急に取る必要があるという問題意識は持っている」と答えました。

 次に労組は、事務技術職の特定の職場に長時間残業が目立つ点や、労働時間管理がしっかり行なわれているのか疑問がある点について質問をしています。それに対して会社側は、「長時間残業については、様々な要因があると思われるので、支部事業所間協議を通して原因の徹底的な究明並びに改善策をお願いしたい」、「Web勤怠システムの全社展開を予定(パソコンのノーツメールを開いている時間を労働時間として管理するシステム)」と他人任せ・パソコン管理任せのような答えをしています。

 高操業度が続いている点について労組は、「一向に人員が増えない職場がある」と指摘して高操業度対策の実態を確認しています。それに対して会社側は、「今年の3月までの間でも、川重本体で協力工を約900人増やしているのに加え、中途採用の拡大、新卒採用の増員にも取り組んでおり、それなりの人員対策は打っているものと理解されたい」と答えています。しかし、職場では増員の実感が無いばかりか、日々、仕事の重圧感が増すばかりです。

総労働時間はなぜ増え続け、会社の人員対策が功を奏しないのか?


 次に、表−2を見てみましょう。この表は「川崎重工本体従業員数と経常利益」の関係を示したグラフです。

 従業員数の2003年度と2006年度を対比すると、約10,900人から約9,800人へと約1,100人減っています。この減少の要因は、川崎重工本体の従業員が分社化により転籍したことが大きいと考えられます。

 川崎重工本体の仕事量は、経常利益の急上昇からも明らかなように、ほとんどの部門で高操業度状態が続いており、会社側が「川重本体で協力工を約900人増やしている」と言っているように、協力工に頼らないと仕事が処理出来ない状態になっています。

 この協力工の増員は、偽装請負という違法行為状態を回避するために、請負労働者から派遣労働者への切り替えが急速に進んでいることも反映しています。

 以上のことから見て、総労働時間が増えているのは、ほとんどの部門で高操業度状態が続いている状態と、仕事を請負として行っていた内容を協力工へ指示管理するという、今まで以上の業務の増加などが、大きな要因だと考えます。

 今、川崎重工本体の従業員は、止めどもないコストダウンの追及や、成果主義の名のもとに協力関係が希薄化している職場で孤立しながら、自分の労働時間しか裁量がきかない状態で、日々、歯をくいしばって長時間労働を行っています。

 労使は、総労働時間が増えている現状や、精神障害・自律神経疾患が急増している現状を真摯に受け止めて、従業員が実感できる高操業度対策や従業員・協力工が大切にされる労働条件を早急に見直すべきです。

(07.08.02)