「はぐるま」 2021年 新年号
NO.246



湊川神社(M.F)
Contents
 共闘の力で野党連合政権をつくる年に!
 「株主至上主義」ではなく、働く人たちが大切にされ、安心して働ける職場への大転換を!
 大河
 大企業の“コロナ便乗”人員削減を許すな!
 読者の広場
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共闘の力で野党連合政権をつくる年に!


新年明けましておめでとうございます。

新型コロナ・パンデミックは、利潤第一主義と自己責任論の「新自由主義」では、命と暮らしが守られないことを露呈させました。

いま世界では「資本主義というシステムをこのまま続けていいのか」が鋭く問われています。

前進した市民運動

2017年国連会議で採択された核兵器を違法とする「核兵器禁止条約」が、今年1月に発効するという画期的な情勢の進展が起こりました。

日本国内でも政府に条約の批准を求め、3割近い自治体が意見書を提出しています。

多様な性や個人の尊厳を求めたジェンダー平等の運動が大きく広がり、日本でも全国46都市でフラワーデモが取り組まれています。

菅政権は「自助」を押し付け政治責任を放棄

科学的知見をもたず、経済優先で招いた医療崩壊の危機は、菅政権の無為無策による「人災」と言えます。

昨年末閣議決定された21年度予算案には、医療現場などや、暮しと営業を支える予算は盛り込まれず、ポストコロナを口実にしたデジタル化推進と、過去最高の5.3兆円の軍事費が盛り込まれました。

新しい日本をつくる野党連合政権樹立を

新しい日本をつくる五つの提案
 神戸駅(M.F)

◇新自由主義から転換し、格差をただし、暮らし・家計応援第一の政治をつくる
◇憲法を守り、立憲主義・民主主義・平和主義を回復する
◇覇権主義への従属・屈従外交から抜け出し、自主・自立の平和外交に転換する
◇地球規模の環境破壊を止め、自然と共生する経済社会をつくる
◇ジェンダー平等社会の実現、多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する政治を

これらを実現するために、来るべき総選挙で野党連合政権を樹立しましょう。




「株主至上主義」ではなく、働く人たちが大切にされ、安心して働ける職場への大転換を!


コロナ危機が浮き彫りにした「株主至上主義」経営

いま、戦後最悪の感染症に多くの人たちが苦しんでおり、とくに弱い立場の人たちは深刻です。このような危機的状況の時こそ、体力のある大企業は、労働者の雇用と生活を守るために積極的な役割を果たすべきです。

しかし、川崎重工は昨年、「総労務費の圧縮」「2021年度の経営黒字化」を旗印に、賃金の「生計費原則」を否定する処遇制度見直しや、大幅な日当削減の旅費規則の見直し、従業員を他社に貸し出す航空宇宙ディビジョンの出向、賃金・一時金等の維持が不透明なまま車両およびMC&E事業の分社化などを、次々と打ち出しました。

また、厚労省や経団連が「派遣労働者の雇用維持」を要請しているにも関わらず、多くの工場で派遣社員を「契約満了」の理由で大規模に雇い止めしています。

コロナ危機の下で、働く人たちをモノのように扱い、経営黒字化や株価対策を最優先する「株主至上主義」の経営が浮き彫りとなっています。

私たちは、これらの経営施策に対して、批判や抗議を行ってきました。なかでも、派遣社員の雇い止めを中止させるために、再三に渡り労働局に申し入れ、神戸本社へも申し入れました。

職場では企業の持続性を脅かす事態が進行

職場では、メンタル疾患や労働災害、パワハラが増加し、離職者も若者を中心に増えています。また、依然としてサービス残業が放置され、始業5分前の体操について「労働基準違反ではないのか」との声も出ています。

賃金は、慢性的な「固定費の削減」を理由に賃上げが抑えられ、この15年間で平均基準賃金が2万円以上も下がっています。さらに、コロナ禍の中で残業が減って大幅な減額となり、「残業なしでも生活できる給料がほしい」との声が出ています。

健康で文化的な生活を営むにはほど遠い賃金や、サービス残業・パワハラなど、コンプライアンスの形骸化を放置していては、良い製品などつくれるはずがありませんし、ものづくりの担い手も育てることができません。このままでは、企業の持続性が危ぶまれます。

『グループビジョン2030・事業方針』は職場を一層深刻にしないか

橋本社長は、昨年11月の『グループビジョン2030・事業方針』説明会で、「営業利益が5%であれば税前ROIC8%は越えることができるため、5%については早期に達成したい」「人事制度はやや年功序列型になっているため、より能力を中心に据えたジョブ型に近づけたい」と答えました。

この『事業方針』には、これまで進めてきた短期的利益の追求とROIC8%の達成という「株主至上主義」の経営方針はありますが、働く人たちが希望の持てるビジョンはまったくありません。これでは、前述の職場の問題を一層深刻にするのではないでしょうか。

  ※ 経団連が推進する「ジョブ型雇用」と考えられます。短期的利益を求めた事業取捨選択やM&A(合併と買収)を強力に推進するために、従来の新卒一括採用・年功賃金・終身雇用を特徴とする「日本的雇用」を破壊し、ジョブ(職務)に応じた雇用と処遇を行うというもので、雇用の流動化・不安定化と成果主義が加速されることになります。 


働く人たちが一番に大切にされる職場をめざして

前号の「はぐるま」やHPで紹介したように、いま、世界と日本の経済界では、「株主至上主義」の見直しが進んでいます。

主な主張は、大企業は「株主だけでなく従業員や地域社会などすべての利害関係者に経済的利益をもたらす責任がある」というものです。

今回のコロナ禍を乗り越えたとしても、新しい感染症や大きな災害は避けられないと言われています。その度に、強力に「株主至上主義」の経営を繰り返していては、働く人たちのモチベーションを下げ、企業が衰退していくことになるでしょう。

私たちは、2018年に発行した『私たちの職場綱領』の中で、「働くすべての人と地域経済を大切にしてこそ、良い製品・サービスが供給できるし、中長期的には企業も社会も持続的に発展できる」と訴えました。川重も『行動規範』で「多様性を尊重し、すべての人がいきいきと働ける職場を目指します」と宣言しています。

企業が継続的に経済活動を通じて社会進歩に貢献していくためには、働く人たちを何よりも大切にし、安心して働ける職場へと大転換が必要と考えています。

今年も、「雇用は正社員が当たり前」、長時間労働の是正、「健康で文化的な生活」を保障する賃金・労働条件の確立、ジェンダー平等などの課題に、みなさんと力を合わせて奮闘する決意です。


【大河】
「コロナ危機は、私たちの社会のもろいところ、矛盾を、レントゲンのように写し出した」(共産党志位委員長)と言われるように、日本では、医療、介護等の命を守るケア労働が大変粗末に扱われていること、労働法制の規制緩和により非正規労働者等の働く人々が危機に脆弱な立場に追い込まれていること、40人学級やジェンダー不平等などの問題が写し出されました。

これほどまでにもろくなったのは、人間生活のあらゆる分野で、本来あるべき姿が大きくゆがめられたからだと思います。

教育や科学は、「わかる」「真理の追究」であるはずが、「できる」「すぐ役立つ」が求められ、労働は、「良いものをつくりたい、社会に役立ちたい」であるはずが、「儲ける」が目的とされています。そこに追い込んでいるのは、目先の利益・成果の強要であり、その手段は日本の社会に深く根を下ろしてきた「競争と序列・格付け」ではないでしょうか。

これは、主権者の国民が求めたものでもなく、一握りの富裕層と大企業を守る権力から押し付けられたものでしょう。学校でたたき込まれ、職場でさいなまれ、すべてが自己責任とされ、人々がバラバラにされ、人間から豊かな可能性を奪っています。他の先進国も同じようなところはありますが、日本の場合は異常と言えます。一番にゆがめられているのは政治でしょう。

あらゆる分野からこれらのゆがみを取り除き、学ぶことや働くことの意味、政治の本来の使命などを国民が取り戻すためには、主権者一人ひとりが、おかしいことは「おかしい」と声を上げることではないでしょうか。

1349団体の学術会議任命拒否への抗議、全国に広がる学生への食糧支援やフラワーデモ、少人数学級の前進などは大きな希望を与えてくれます。


 大企業の“コロナ便乗”人員削減を許すな!

1. 大企業のソニー、東芝、IBM、OKI…が

コロナ禍でも体力が十分ある大企業が、昨年、次々とリストラを打ち出しています。

大手電機ソニーの開発会社「ソニーエンジニアリング」が10月中旬に早期退職募集し、繰り返し退職強要(ソニーの内部留保は9月末で5兆2450億円と過去最高)。東芝が11月に累計1万人の人員削減を計画。OKI(沖電気)が10月に、プリンター事業で1000人削減計画。日本IBMが分社化によって数千人を新会社に移す計画で、繰り返し退職強要。

リストラ支援会社には菅政権のブレーン、竹中平蔵氏が会長のパソナが名を連ねています。

2. 退職強要は最高裁が違法判決

最高裁判決(1980年)では、「多数回、長期にわたる退職勧奨は不安感を増し、不当に退職を強要する結果となる」「被勧奨者の自由な意思決定が妨げられ場合には、違法な権利侵害となる」と指摘しています。

3. 「リストラ・退職強要をはね返す4カ条」

労働組合などは「リストラ・退職強要をはね返そう」と次の対応を呼びかけています。

「はね返す4カ条」
❶「辞めません」とはっきり言う。それがあなたと家族を守る。
❷退職強要は違法です。会社が強引に「同意」を迫ってきたら「やめてください」とキッパリ言おう。
❸「会社は大変」と言われたら「私の生活も大変」と答えよう。
❹困った時は1人で悩まず、労組や弁護士などに相談し、知恵と力を借りましょう。

大企業は今まで税金で多額の支援を受けて来たことを忘れず、コロナ禍の今こそ、労働者の雇用と生活を守る責任を果たすべきです。


読者の広場 
2021年「辛丑」(かのとうし)
「辛」は思い悩みながら、ゆっくりと衰退していくことや、痛みを伴う幕引きを意味する。

「丑」は手の指に力を込めて曲げた形を表し作業の準備段階の意味がある。
衰退や痛みが大きければ命の初動が大きくなり、芽吹きが大きければその分、激烈に枯れる。辛いことが多いだけ、大きな希望が芽生える年になるとのこと。

耐えた年末に、いい年だったと言えますように。
(明石 ベタピン)
仮設駐車場の利用者は
一時的に工場内の工事により、今年の1/1〜8/16まで、工場入口付近の駐車場を利用していた人達の一部が、仮設駐車場に移動となります。

仮設駐車場の利用者は、正門を通って仮設駐車場まで車で通過する際に、正門で証明書を毎日見せるように言われました。
(西神戸・通勤疲労)
カワるサキに行きたい
まだまだ若輩者の私が先輩方に物申すのは〇年早いと怒られそうですが、もう少し職場環境が良くなれば、もっといい仕事が出来るんだろうなって。社内外の体制変更よりも、目先の体制変更をお願いしたいです。

開発部門のあの課長さんももう何年やっているんでしょうか、7年?8年? 余計な口出しせずに若い人に任せればいいのに。
(西神戸設計〇年生)
誇りを糧に頑張ります
分社化の報道で動揺したがプレジデントから造船の分社化とは違い分社後も川重の経営に深く関わっていくとの説明があり少し安心した。仕事も忙しく落ち込んでいる場合ではない。川重の顔としての製品を造り出している誇りも持っている。ただ一時金が無くならないか・・・一抹の不安はある。
(兵庫で頑張るマレー)
メニューはトンカツだった
例年クリスマスの食堂は大賑わいとなるが、今年はすこし違った。

メニューの詳細は事前には知らされず食堂へ行くと、シューアイス付きの「トンカツ」だった。ローストチキンを期待したが叶わなかった。久しぶりに行列が出来ていたが静かに黙々と食事を済ませ職場に戻った。
(ローストチキンが食いたかったBOU)
青天の霹靂
年末が来ます。我が職場は青天の霹靂のような組織変更で右往左往。

どうなるのかしら? とは思いつつ使われる身のため不平不満は言わず、粛々と受け入れる。やれ引越はいつ? 席はどこ? あらら、名刺? コロナ禍の引っ越し? でも落ち着く所に落ち着くのでしょう。

とりあえず新年から新組織になりますが、席は暫くの間、現状維持だって。見切り発車、レッツゴー!
(Usidosi)
 「はぐるま」への期待の一言
コロナ対策で我々の働き方が徐々に変わりつつありますが、人と人との繋がりが希薄になっていくような気がします。川重社員同士で距離感を縮められる、繋がっていることを確認できる記事も読めると嬉しいです。
(リモートワーカー)
職場のパワハラ問題で、相談させて頂きお世話になりました。皆さんも泣き寝入りせず、不平不満があるなら声をあげましょう。黙っていては何も解決しません。はぐるまでは相談があればガンガン掲載してあげてください。
(明石のたかかず)
コロナ禍でも生活が困窮しない世の中への改革を望みます。なぜ日本は諸外国に比べて圧倒的に低賃金なのかを明らかにし、その解決策を具体的に示してほしいです。国の前に、まずは企業に対して実際に行動させる内容となるよう期待します。
(機械くん)
激動の2020年が終わり新たな1年が始まりました。

事業体制も大きく変わるようで、これからの行く末が心配です。「つぎの社会へ、信頼のこたえを」社員の方一人ひとりの力を合わせれば、きっと次の100年に続くと思います。そのためにも切り捨てでは無く、協力できる職場を作っていって欲しいですね。

ご意見番としての「はぐるま」にも期待してます!
(西神戸の星)
いつも「はぐるま」が発行されるのを楽しみにしています。

トップ記事は、特に会社が行おうとしている施策について、わかりやすく記載されているので大変参考になります。

これからも職場の改善につながるようなタイムリーな記事を期待しています。
(神戸 T・K)


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