「はぐるま」 2024年 春季号
NO.259



明石海峡大橋
Contents
春闘妥結額 満額でも不安
川重過労死事件
道理のない川重の主張
坂出工場で死亡災害が発生
大河
2023年度WinDEXの結果も
改善効果なし
憲法違反の経済秘密保護法案を
廃案に!
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春闘妥結額 満額でも不安


今年の賃上げは、要求額18,000円に対し、2年連続の満額回答でした。この理由を会社は「物価上昇への対応」「人的資本に対する先行投資」「意欲のある従業員の活躍を促す」と説明しましたが、本当に働く者が物価高騰を乗り切れる額でしょうか?

職場からは様々な声が


「昨年に続き満額出たことはうれしいが、物価高にはまだおいついていない」「鉄鋼に比べれば少ない。もっと出せるのではないか」「1万円以上の回答が2年も出来るのであれば、これまでも出来たのではないか」「この先も満額回答が続いてほしい」

自民党政治の大転換を

アンケート」では「正規社員は月額3万円以上の賃上げ」が大半の声でした。全労連は、賃上げは3万円以上で、最低賃金は時給1500円以上、月額225,000円以上を要求しており、川重とは大きな差があります。

23年度は物価が6%以上上昇し、実質賃金は下りました。4月以降多くの商品の値上や光熱費の値上、社会保険料の負担増が予定されるなど、実質賃金は下ることが懸念されます。
今年2月の厚労省の発表では、「実質賃金」前年同月比1.3%減で、23か月連続の減少で「リーマンショック」以来の過去最長になっています。

最低生計賃金は25万円以上」としており、川重の最低賃金193,000円では、とても生活出来ないのではないでしょうか。
アメリカ、イギリスなど主要国の実質賃金上昇に比べ、日本は30年間上がっていません。川重の賃金も20年前と同額で、ほとんど上がっていません。
賃上げは、労働者の声を聴き、生計費原則に基づく要求額を、団結して勝ち取るたたかいが重要です。


 
川重過労死事件 道理のない川重の主張

この「川崎重工業(株)・中国出向エンジニア過労死事件」は、2013年4月に神戸工場の35歳、プラントエンジニアが、会社の業務命令に従い、妻と2人の幼い子供を残し、中国の合弁会社に単身で赴任しました。3か月後に過重な業務などのストレスによりうつ病を発症し赴任先マンション19階から飛び降り、自死に至りました。
ご遺族が労災申請し2016年3月に労災認定されています。しかし事件発生後、川重は会社責任を一切認めず、謝罪もせず、ご遺族の面談をも拒否したため、ご遺族は被災者の尊厳を守り、過労死事件の再発をなくしたいとの思いから、2022年5月川重を神戸地裁に提訴しました。

川重の主張

裁判で川重は、自死ではなく「事故死」だとの主張を繰り返しています。その理由は「室内で嘔吐した後、さらにベランダに出て嘔吐すべく身を乗り出し誤って転落した可能性がある」「過重な業務はなかった」と言うものです。

原告側の反論

この主張に対して原告は、
・宿泊先ベランダは建築基準法施行令の基準を上回り誤って転落するような構造ではない
・ベランダから身を乗り出し謳吐する際に誤って転落したとのストーリーも非現実的(通常はトイレ、洗面所)である
・被災者は2人分の業務を1人で対応させられ、業務経験のない担当外の機器のトラブルへの対応も指示されました。
こうした荷重な業務に苦しみ業務軽減を要望していましたが、川重がこれを放置したことによる人災であると、川重の責任を追及しました。

川重の責任は明らか
原告の反論によって川重の「事故死」との主張が、道理の無いものあることが明らかになっています。被災者の自死は明らかであり、川重が健康保持義務と業務軽減義務を怠ったことに、重大な責任があります。

社会的常識ある対応を
過労死は企業の責任です。過労死を起こした多くの企業は、責任を認め謝罪しています。川重は「事故死」との根拠のない主張を即刻やめ、ご遺族に謝罪し、再発防止策を講じるとともに、安全と健康を第一に考える企業に改めるべきです。

この川重過労死事件の裁判は、被災者の尊厳を守るとともに、川重で働く従業員・労働者の命と健康を守り、日本から過労死を無くすための闘いでもあるのです。


 
坂出工場で死亡災害が発生

1月16日(火)に、坂出工場において、30代の社員の方が構内での交通事故により負傷され懸命の治療が行われていましたが、2月22日(木)に亡くなる痛ましい死亡災害が発生しました。

故人に対し謹んで哀悼の意を表するとともに、ご遺族の方々にお悔やみを申し上げます。
工場構内で起こった重大な交通事故に対する徹底した原因究明と再発防止策を求めます



【大河】

4月は、入学式、入社式があり新たな門出を迎える。多くの人が気持ちを新たにし希望に満ちる季節だ。今春闘も桜の満開に合わせた満額回答だった。しかし、賃上げの満額回答の恩恵は大企業だけ、恩恵にあずかれない人の方がはるかに多い。
そして、気になるのが今年1月から始まった新型NISAの恒久化と非課税枠の拡大である。元来、日本国民の資産運用は、株式投資などを避け、元本保証型の預貯金になっていた。

NISAは2014年に設立され、非課税という優遇措置で国民を「貯蓄から投資」の世界に誘導している。
近年、ゼロ金利政策とインフレ物価高により預金が目減りした。若者を中心に少しでも資産を守り、増やそうと資産運用を株式投資にシフトする動きが加速している。

新型NISAで投資されたお金の多くは、海外の株を買うことに使われている。日本からの海外投資が増えれば円が売られ円安がさらに加速する。そうなれば私たちの暮らしは物価高でますます苦しくなる。また、日本の株式市場は、アベノミクスのもとで公的資金(年金マネーなど)を投入し、人為的に株価をつり上げ、実体経済を伴わない株価高騰をつくり、日本経済の失敗と停滞をもたらした。新型NISAに投資することは、この失敗をさらに長引かせることに他ならない。

政府が誘導する新型NISAは、貯蓄などを失う危険にさらされることになる。
政府が本来、力を入れることは国民の暮らしを守り、老後は心配ないと国民に安心を与えることである。




 

2023年度WinDEXの結果も 改善効果なし

会社はWinDEX結果を過去3回発表していますが、課題解決アクションの効果が出ていません。色々取り組んでいるのになぜでしょうか。

2023年度のWinDEX調査結果
活躍社員が昨年の29%から30%に微増し、あきらめ社員は47%で変化がなく、会社がめざす活躍社員は思うように増えていません。

改善しないのはなぜでしょうか
調査対象を非正規社員も含めた全労働者にしないと、組織全体の問題点が明らかになりません。また、男女賃金格差是正、メンタルヘルス対策、派遣社員の待遇改善などが、課題解決のテーマに上がっていません。

打開への提案
希望を持って生き生きと働くためには、働く環境と人間関係が健全であることが大切です。全従業員が参加して問題を出し合い、解決に向けたアクションに取り組むことが、WinDEX調査結果の改善に必要ではないでしょうか。




憲法違反の経済秘密保護法案を廃案に!

国会で審議中の経済秘密保護法案(重要経済安保情報法案)は、戦争地ならしの危険な法案であり、セキュリティー・クリアランス(適正評価)制度による身辺調査を行なう人権侵害の法案です。

「何が秘密なのか?が秘密」の法案
中身は、「秘密の範囲」が今の秘密保護法の防衛、外交など4分野から、基幹インフラや半導体などの重要物資、医療や食料などの経済分野に、政府の恣意的判断で拡大する恐れがある「秘密を扱う人」が民間労働者、技術者、研究者など際限なく拡大する「何が秘密情報」なのか国民や国会議員にも明かされず、報道の自由や国会による行政の監視が困難となり、国民の知る権利が侵害される「罰則」は秘密に触れたり情報を漏えいした場合5年以下の拘禁刑、または500万円以下の罰金が科せられ、漏えい未遂、過失、取材なども処罰対象となる。

セキュリティー・クリアランス制度とは
「秘密を扱う人」の政治的思想、精神疾患などの病歴、借金、飲酒、海外渡航歴などや、家族や同居人の氏名、国籍、住所なども調査する 「本人への通知義務なし」で再調査や警察、公安調査庁などに照会なども行う 「生涯監視が続く」一度でも秘密に触れたら、生涯監視が続くおそれがある(情報保存期間10年とあるが情報削除の規定なし) 「調査は事実上の強制」の恐れがある、本人同意が前提だが、拒否すれば業務・職場変更など不利益を被り拒否は難しい

兵器輸出・共同開発狙う
米国は「国家防衛産業戦略」で同盟国・同志国との多国間連携による、兵器の「機密技術共同開発の促進」を掲げており、この戦略に沿った適性評価制度導入は、日英伊の次期戦闘機の共同開発に必要とされています。「殺傷能力のある兵器を他国に売りさばく死の商人国家」にするこの法案は、廃案に追い込むしかありません。



読者の広場 
作業服の女性
多くの事務の女性が男性と同じ作業服を着ていることに気がつきました。聞くところによると、「快適」だそうです。以前はあまり見かけなかったのですが、作業服がカッコよくなったからでしょうか?身近に多様性の時代を感じています。もっと色々な多様性があっても良いかも。(固定観の強いおどろきマン)
4月になって
何十年かぶりにやっと新ビルが完成しました。

夏は室温が40℃近くまでになる屋根裏の更衣室、冬は0℃近くになる窓際の席、雨の季節は雨漏りが心配になり、暖かくなるとスズメバチが飛び込んでくる、この自然豊かな事務所ともお別れかと思うと感慨深いものがあります。
しかし残念ながら、諸般の事情で3月末で西神戸を離れた人もたくさん有り、万全の態勢で移れなかったのはとても悲しいです。

しかしこれからは残された我々が頑張っていきたいと思います。そのためにも会社にはには、働く環境をしっかりと作ってもらいたいと希望します。
(西神戸の星)
20%UPヤッター
実質賃金が22年4月から連続して下がっているという。昨年4月は14,000円の賃上げで沸いたが、それでも結果として実質賃金は下がったことになる。家計が厳しくなっているわけだ。会社は昨年過去最高の利益をあげたが賃上げの結果はこの始末、憤懣やるかたなし。ぜひとも賃上げを実感でき家族が喜べる大幅な賃金の底上げを願う。 
(明石 社員)
これで良いのだ
警報機や遮断機がないなど危険な踏切に、AIカメラを使い人の侵入などの異常を検知して、運転士に知らせるシステムを導入している鉄道会社があるとの報道を聞いた。素晴らしい取り組みだ。

防衛予算で利益を得ようと我先にと群がる浅はかな企業とは雲泥の差だ。進んだテクノロジーを人々の暮らし、社会に生かす企業でこそ未来があり社員の誇りだ。
(誇れる仕事を望む社員) 
数年ぶりの花見
今年は桜が一気に満開になりました。
この数年、コロナで花見が出来ず、数年ぶりに酒好きの仲間と花見を開催しました。
居酒屋で飲むのと違って桜の下で飲むのは気分は爽快、仕事の疲れが吹っ飛びます。
毎年したいです。
(酒好きのおやじ)
万博開催で誰が喜ぶ?
来年4月の大阪万博。開催に間に合わないパビリオン、当初の2倍近く膨れ上がってもまだ足りない事業費、何よりメタンガスの爆発で怪我人がでたらどうするのでしょう!

無駄のかたまりの万博はさっさとやめたら良いと思います。

ミャクミャク君との記念写真で笑いかけている「大阪万博推進課」の皆さんはどう考えておられるのでしょうね。
( 生真面目な納税者) 
やっぱり嬉しい
桜の開花に合わせるように、コロナ感染予防対策で設置されていた西神戸食堂のパーテーションが4月からやっと撤去されました。そして、提供されなくなっていたお味噌汁が復活し定食らしくなりました。これから暑くなり、汗をかく季節に向けて、水分、塩分補給は、大事ですよね。
(おふくろの味)
男性だけじゃないです
「集会時の椅子運びは、なぜ男性だけ?女性も可能…」という問いかけを耳にしました。そこで、疑問が…。問いかけられた方は、メールや資料、荷物の引き取りは、ご自分でしているのでしょうか?お茶やお菓子を配ってもらうことは、ないのでしょうか?ほとんどの事業所では、女性が行っていると思います。けっして、イイネ!とは、思えませんでした。
(モヤモヤが消えない私)
 新入社員の皆さんへ
入社おめでとうございます。自分らしさを大切にして、希望に満ちた新しい人生の一歩となることを願っています。


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