川崎重工 2020年 株主総会
明石工場 MC&Eカンパニーの「派遣切り」についての質問と回答


第197期定時株主総会は、6月25日(木)に神戸国際会館で開催されました。

今回は、コロナ禍での開催という理由で、株主の来場者は74名、開催時間は10時から10時40分まで、質問は一人一問、にそれぞれ限定されました。

質問者は4名でした。その中から、企業の社会的責任に関わる明石工場MC&Eカンパニーの「派遣切り」についての質問と会社回答を紹介します。

【株主質問】
明石工場MC&Eカンパニーでは、5月末に派遣労働者のほとんどを雇止めしました。
コロナ感染拡大によって、今後、失業者が何百万人も発生すると予想される中で、厚生労働省及び日本経済団体連合会が「雇用維持」に取り組むよう要請しているにも関らず、「派遣切り」を行ったことは派遣労働者とその家族の生活基盤を奪い、地域社会にも深刻な影響を及ぼすことになります。
経営者は、なぜ「派遣切り」を認めたのか。また、何人の派遣労働者を雇止めしたのか教えてください。
【会社回答】
二輪事業は、販売のピークが春先になる特性がある。今回の製造派遣の契約終了は、下期に契約した6ヶ月間の有期の労働者派遣契約が満了したことに伴うものである。
新型コロナウイルスの影響を受けたことにより操業が低下し、そのことによって更新がされなかったという事情はありますが、そのことよりも、例年の二輪車事業の特性から同じようなことをやっており、契約期間満了した時点であり、派遣切りには当たらない。4月、5月、6月の契約終了時点で更新をしない判断をしたもので、社会的責任を果たしていないということはない。
人数については手元に資料を持ち合わせていないので、割愛させていただきます。


会社は、派遣労働者の雇止めに関し、「6ヶ月間の有期の労働者派遣契約が満了したことに伴うもので、・・・例年の二輪車事業の特性から同じようなことをやっており・・・社会的責任を果たしていないということはない」と回答しています。

しかし、今年は新型コロナウイルスの影響で解雇・雇止めが増え続けており、次の雇用先が見つかるかどうかわからない状況です。「例年」とは異なり極めて厳しい経済情勢なので、厚労省が経団連に、そして経団連が各会員企業に派遣労働者の「雇用維持」を要請しているわけです。

しかも、6ヶ月間の雇用契約と説明していますが、雇止めされた派遣労働者の中には3年を超える方もいますし、また、1ヶ月ごとの雇用契約の方もいました。

これで、本当に、大企業の社会的責任を果たしていると言えるのでしょうか。コロナ禍は今後も避けられないと言われています。その度にこのようなことを繰り返していては、社会的信用を失墜させ企業経営を危うくしてしまいます。

”困ったときはさすが大企業だ”と言われるような経営をぜひ期待したいと思います。その方が、『世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献する』企業としての宣伝効果もあると思います。


参考: 2019年の株主総会での質問と回答はこちらをクリックしてください。


(20.06.29)