日本の経済・社会の持続可能性のためにも
賃上げの土台に
「生計費原則」を確立する大転換を!


2023年の賃上げ闘争にあたって、私たち日本共産党川崎重工委員会はホームページで『労働者の切実な要求を結集した「生きた要求」で、大幅な賃上げを勝ちとろう!』を提案しました。

従来の財界本位の賃上げ抑制を打ち破って、かつてない大幅な賃上げを勝ちとるためには、どうしても賃上げの土台に「生計費原則」
(後述)を確立する大転換が必要です。そして、それは労働者にとってだけでなく、日本の経済・社会の持続可能性にとっても極めて重大な課題と考えています。

ぜひご一緒に考えてみましょう。

増え続ける内部留保に反比例して下がり続ける賃金
国際的に見ても異常な低賃金

大企業の内部留保は、アベノミクス以降で150兆円も増え、480兆円に。その間、実質賃金は年額で20万円も減少(【図1】参照)。これは、人件費を削減して目先の利益増を目指す新自由主義的経営が横行した結果です。

日本の最低賃金(都道府県別に設定された最低賃金の平均)は、時給で約961円と主要国のなかで最低水準です(【図2】参照)。そのため、16年連続で年収200万円以下の労働者が1千万人以上というありさまです。


【図1】タップで拡大図
 

【図2】タップで拡大図

「賃金の上がらない国」にしたのは、利潤第一主義の大企業と財界言いなりの政府


【図3】
タップで拡大図
大企業がよくなれば地域経済、中小企業もよくなる”という財界中心の経済政策、とくに、労働法制の規制緩和による非正規雇用の拡大*1(【図3】参照)と長時間労働の増大*2は、労働者全体への賃下げ圧力となり「賃金の上がらない国」という、先進国でも特異な国にしてしまいました。
 
  *1:低賃金でいつでも解雇できる仕組みをつくり、人間をモノのように使い捨てる働かせ方を拡大した。
  *2:2018年に自公政権が強行した「働き方関連法」で過労死水準の長時間労働を法的に容認した。サービス残業や長時間労働は、雇用機会を減少させ、賃下げ圧力になっている。

実質賃金の低下と内需低迷との負のスパイラルで
日本の経済・社会の再生産基盤が崩壊する

一部の大企業の利益と内部留保は巨額に膨れ上がりましたが、[国民の所得と生活悪化が国内の消費と需要を冷え込ませ] → [貧困と格差を拡大] → [さらに実質賃金の低下と物価高騰・異常円安要因]への負のスパイラルとなる「賃下げ構造」がつくられ(【図4】参照)、先進国のなかで最も「成長できない国」に転落しました(【図5】参照)。


【図4】タップで拡大図    
 

【図5】タップで拡大図

出生率は、1980年が1.75、2021年が1.30と6年連続で低下し、出生数も過去最少となり少子化の加速も深刻です。

その上に、コロナ禍の継続と40年ぶりの物価高騰により、家計が悲鳴をあげています。中小企業(企業数で99.7%、雇用者数で約7割)や食・農業(食料自給率37%)などは危機的事態に陥っています。

ケア労働や飲食業なども含め、あらゆる分野に負のスパイラルが連鎖反応的に広がり、このままでは経済・社会と生命の再生産基盤が崩壊してしまいます。まったなしの実体経済立て直しの緊急対策が必要です。

いますぐに、賃上げを軸に実体経済を立て直し
内需を活発化させる緊急で抜本的転換を


その軸は、内部留保急増の要因の一つに賃金の削減があるわけですから、失われた賃金の回復のためにも、内部留保の一部を賃金に還元することです。

日本共産党の『物価高騰から暮らしと経済を立て直す緊急提案』の中から【賃上げを実現する緊急で効果のある対策】の4項目を紹介します ▼ クリックで展開

大幅賃上げ獲得のカギは、たたかいの土台に
「生計費原則」を確立する大転換です


労働者の賃金は、ながらく財界が掲げてきた「生産性基準原理」*3や「支払能力」論などで低く抑えられ、不況のたびに賃上げゼロやカットされてきました。労働法制の改悪、とくに非正規雇用の拡大とともに「賃金の上がらない国」にされました。

今年は、経団連(日本経済団体連合会)も「構造的な賃金の引き上げ」が必須と述べています。期待したくなりますが、財界本位の賃上げ抑制を本格的に打ち破るには、要求の根拠と大義が労働者の圧倒的多数の確信にする、そして、国民の理解と協力を得られるものにする必要があると考えています。
 
  *3:「昇給は生産性上昇の範囲内に抑えるべき」 1970年に日経連が提唱 

要求の根拠と大義に「生計費原則」の考え方をしっかり据える

世界では、賃上げを求めた大規模なストライキ・ゼネストによって欧米など多くの国で賃上げ要求を勝ち取っています。

しかし、労働組合員数約700万人のナショナルセンターである連合(日本労働組合総連合会)は、ストライキ権などを行使してまで要求を貫徹しようとはしていません。

それはなぜなのか。労使協調という基本路線があるわけですが、その根底には、労働や賃金の本質を押さえた「生計費原則」の考え方がしっかり確立されていなからだと考えています

賃金の「生計費原則」の考え方

労働は、「人間生活の全体の第1の基本条件」(『私たちの職場綱領』)であり、社会の富は働く労働者らがつくり出しています。その労働者が、「衣食住と子の養育、本人と家族の健康を維持し、働き続けられるだけの費用(労働力の再生産費)」*4「生計費原則」にもとづいた賃金を得られなければ、経済・社会と生命の維持は不可能になります

労働者は決してコストではなく人間として人権を尊重されるべきであり、「生計費原則」という点からも男女の賃金格差は許せるものではありません
。そして、”大企業がよくなれば地域経済、中小企業もよくなる”という財界本位ではなく「働く人が豊かになってこそ、経済も強くなる」という考え方です。

以上により、どのような雇用形態や賃金制度、性別等にかかわらず、「8時間働けばふつうに暮らせる賃金」水準を保障すべきであり、賃上げも最低賃金も、その土台に「生計費原則」を据える必要があります。

なお、労働力の再生産費は、社会的・歴史的な性格を持ちながらも、労働者の賃上げ闘争が大きく影響します。労働者の心身の健康と発達には、教育・教養や娯楽、スポーツ、文化的活動、地域社会とのかかわりなどが欠かせません。その費用と労働時間短縮でのゆとりを勝ちとれば、労働者をはじめとする国民の生活水準を向上させることができます。

  • *4:全労連(全国労働組合総連合)の「生計費原則」の位置づけ


上記の「生計費原則」の考え方を要求の根拠と大義にしっかり据えてアピールすれば、その要求は男女区別なく圧倒的多数の労働者から共感され、団結を強め、心底からの闘志を湧き起こすものとなります。「物価上昇分の反映」に留まらない大幅な賃上げの原動力となり、交渉で経営陣を圧倒できるものになるでしょう。

賃金の「生計費原則」は、日本国憲法と労働基準法、さらに国際基準(ILO)で確立された大原則

憲法第25条では、「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と謳われ、労働基準法第1条では「人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」と定め、ILO(国際労働機関)では最低生活の水準は「生計費」あるいは「労働者とその家族の必要」「労働者の家庭生活に不可欠な需要」で決めると定めています。

以上のように、賃金の「生計費原則」は、世界と日本で確認された大原則であり、今後、それを受け継ぎさらに発展させていくべきものと考えています。

賃金の「生計費原則」の社会的合意は
日本の経済・社会を成長の軌道に


労使関係の中で、賃上げの土台に「生計費原則」がしっかり確認され、社会の中でもその原則が根をおろすようになれば、企業が経営の都合で賃金を「総労務費の圧縮」の対象としたり、「固定費の増加」を理由に賃上げをしぶるなどという社会的責任の放棄は、とても恥ずかしくてできなくなるだろうし、かつてない大幅賃上げを勝ちとり、それを軸に実体経済の立て直しも進むでしょう。

何よりも、労働者がプライドをもち、将来不安を抱えることなく安心して働くことができるようになり、日本の経済・社会は負から成長のスパイラルを描くことになると確信しています。


<ともに働くみなさんへ>
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(23.1.16一部修正)(23.01.07)