「はぐるま」 2020年 秋季号 NO.245 |
大山(M.F) |
Contents
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「経営危機」を理由に、労働者への犠牲転嫁をいつまで繰り返すのか!
会社は、2021年10月に車両およびモーターサイクル&エンジン事業を分社し、2021年4月に船舶海洋とエネルギー・環境プラントを事業統合すると発表しました。
まだ社内には具体的な方針などが十分に説明されていませんので、職場では「分社化する必要が本当にあるのか」「会社を辞める人が増えるのでは」等々の声が上がっています。
労働者への犠牲転嫁の施策が次々と
会社は、コロナ禍の前に、すでに『中計2019』の中で、「再建・構造改革」事業である商船と車両は「経営資源シフト」が必要と結論づけていました。そして、コロナ禍の6月に就任した橋本社長は、「総労務費の圧縮」を旗印に、処遇制度の見直し、旅費規則の見直し、航空宇宙ディビジョンの出向と労働者に犠牲を強いる経営施策を次々と打ち出しました。
さらに、航空機事業の人員を2020年度中に600人縮小するために、社員200人を一時的に他部門に配置転換し、派遣社員400人は契約更新をしないと報道されています。
今回の分社・統合は、「総労務費の圧縮」の延長線上で決定され、そして、橋本社長が「2021年度には必ず黒字化する」と強調したと報道されていますので、収益改善を最優先とした労働者への犠牲転嫁が懸念されます。
派遣社員については、すでに明石・西神工場等で、多くの方方が「契約満了」の理由で雇い止めされています。景気の「調整弁」のような扱いは、人道に反し、本人・家族の生活はもちろん、地域経済にも深刻な打撃を与えるもので、大企業として許されるものではありません。
労働者に犠牲転嫁した「業績回復」策に企業の未来があるだろうか?
日本の大企業は、「経営危機」からの業績回復を理由に、慢性的に、労働者への犠牲転嫁を繰り返してきました。川重も同様と言えます。
目先の利益優先の経営施策が企業力を弱め、それが経営を厳しくし、また労働者への犠牲で乗り越えるという「負のスパイラル」に陥っているのではないでしょうか。今回のコロナ禍は、企業力の弱さを浮き彫りにしたと思います。
私たちは、経営が厳しいときこそ、それを糧に、派遣社員も含め全労働者と協力会社の力を引き出して乗り越えていくことにより、一体感や各人の能力・モチベーションも向上し、困難に強い企業へと成長できると考えています。
いま世界で、「株主至上主義」の見直しが進んでいます。北米の大企業経営者団体BRTは、「米経済界は株主だけでなく従業員や地域社会などすべての利害関係者に経済的利益をもたらす責任がある」と声明を発表しています。(詳細はこちらをクリックしてください。)
いまこそ経営陣は、機関投資家ファーストから、すべてのステークホルダーの利益と発展に貢献する経営に大転換することが求められているのではないでしょうか。
「処遇制度見直し」の課題
組合は、処遇制度の見直しについて「総合的に判断し、会社提案を了承する」としました。
「見直し」内容は、従業員・家族の生計費、仕事に対するモチベーションなどに大きく影響しますので、従業員からの質問や要求で、まだ解明が十分でない項目を整理したいと思います。
十分に解明されていない問題
【主要年齢での賃金カーブの開示】
習熟加算の基準額は提示されたが、LS手当の廃止により今後の賃金水準の見通しができない。
【昇進・降格や業績評価の査定項目と査定方法の規定】
新人事考課は「所属長の絶対評価」で決まるので、評価の「透明、公正、納得性」を保障するルールが必要。
【パートナー社員の処遇見直しの疑問点】
会社は、「全員をA1に格付けしたうえで…必要があれば最速で同年10月に昇進または系列転換を実施することを検討」すると回答したが、確約も基準も示していない。問題は、職能給基本額が17万円と自立して人間らしく暮らすにはほど遠い賃金であること。
組合は、残された課題について、今後も会社と交渉し、気持ちよく働ける処遇制度に改善してほしいと思います。
不満が残る「旅費規則見直し」
今回の見直しは、「実費主義の更なる徹底」として、経費以外は支給しないというもので、従業員にとっては大幅な減額となる内容です。組合は、「会社提案を了承する」としましたが、今後、現制度への復帰・改善のために、従業員から特に不満が大きかった点を整理しておきます。
従業員から特に不満が大きかった点
・日帰り出張の距離区分が廃止され、出発、帰着時間により日当が支給されることになり、神戸から東京へ出張するケースでは、6時過ぎに出発、19時前に帰着の場合、現状の3,350円の日当がゼロになる。
・長期宿泊出張の日当が4,000円から2,400円とほぼ半額になる。
・とくに工事出張の場合、会社勤務と比べ、危険や緊張を伴い肉体的精神的負担が大きいこと(コロナ禍ならなおさら)、また、不在による家族の負担や二重生活による生計費も増えるのに、それらのことが日当として考慮されないこと。労使交渉で今の制度まで積み上げてきた努力が台無しにされること。
このような見直しが、他の福利厚生などにも波及しないように注視する必要があります。
【大河】 「私たち被爆者が生きていてよかった」「叫び続けてきてよかった」「核兵器の時代の終わりが始まった」 10月25日、長年、核廃絶を訴えてきた広島・長崎の被爆者やICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)メンバーたちから涙とともに歓喜の声があがりました。 核兵器を非人道的で違法とする核兵器禁止条約が、発効に必要な50カ国の批准を達成し、来年1月に発効が確定しました。人類は、1946年の国連総会第1号決議で原子兵器の撤廃を提起して以来、初めて画期的な国際条約を手にすることができたのです。これによって、核保有国をいっそう政治的・道義的に包囲し、大きく追いつめるものとなるでしょう。 多くの人たちが不可能だと言っていたことが、「原爆の被害や苦しみを二度と繰り返してはいけないという被爆国の思いが形になった」(ICAN川崎哲氏)のです。 「あなたはどこの国の総理ですか」 これは、3年前の8月、長崎の平和祈念式典に参列した安倍首相(当時)に、被爆者団体が声を震わせて問いかけたものです。安倍前政権を忠実に継承した菅政権は、同じように非人道的な脅しである「核抑止論」に取りつかれ、核兵器禁止条約に背を向けています。唯一の戦争被爆国として極めて恥ずべきことです。 一刻も早く菅政権に退場を願い、条約に参加する新しい政府を、市民と野党の共闘でつくりましょう。その国際的な波及力は決定的なものになります。 最後に、サーロー節子さんの言葉です。(13歳の時に広島で被爆し、世界各国で自身の体験を語り核廃絶を訴えている。) 「世の中がおかしいならば、声を上げなければいけない。どんなに時間がかかっても、変えるよう続けなければならない。」 |
契約満了の理由での「派遣切り」は何をもたらすか |
いま「契約満了」の理由で多くの派遣社員が雇い止めされています。
橋本社長は、11月2日の事業方針説明会で「雇用を守るのが経営者の仕事だ」と述べたということですが、どうも派遣社員はコストとしか見ておらず、「雇用を守る」責任には入っていないようです。
ものづくりを継承し発展させるのが経営陣の役割ですが、このような態度は企業に何をもたらすのでしょうか。
正社員雇用が厳しく制約されているもとで、川重の社員への道があるということでその派遣会社から入業し、正社員を目指し日々努力している派遣社員を、「契約満了」の紙切れ1枚で雇い止めしています。
社員がこのような人権無視の実態を目の当たりにして、ものづくりに必要な人間性(他人への思いやり、多様性の尊重、適切な批判、最後まであきらめない強い心など)が果たして形成されるでしょうか。
人間を景気の「調整弁」として使う安易な経営では、経営姿勢や施策に必ず甘さが出るでしょう。ここから大転換を図り、働く人たちを何よりも大切にし、みんなの力を引き出し、絶えず先を見通しながら、困難を糧に成長できる企業づくりを期待したいと思います。
航空宇宙ディビジョンで大規模な出向 |
航空宇宙ディビジョンは、大幅な操業ダウンが見込まれるということで、50人の出向(11月1日からトヨタ車体へ40名、12月1日から岐阜車体へ10名)、これとは別に最大80名程度の出向を想定と提案していました。
今回の出向提案には、出向条件が記載されずに、「出向候補者となった時点で出向概要を所属経由で説明」となっており、また、実施まで1カ月という短期間でした。
出向は、本人の同意を必要とし、会社は育児・介護の状況に配慮する義務もあり、本人だけでなく全組合員の問題でもあるので労使協議案件になっています。あまりにも、出向者の人権と労働組合を軽視するものと言えます。
読者の広場 | |
残業時間の半減にひとこと 神戸製造の事務技術部門では「全員一丸での5%改善」の一つとして、月30~40時間の残業を半減する取り組みをしています。残業を少なくすることは良いことと思います。 しかし、仕事量を減らす人員の増強はなく、残業なしで生活できる賃金増額もありません。これって、無理があると思います。 (神戸・H) |
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不況を乗り切る手段 新製品、新技術開発、知的財産活用、DX、新分野開拓、市場開拓、エコシステム、コト売り化、事業選択、分野選択、事業強化、海外シフト、人財育成、営業多角化、意識改革。こんなに人がいるんだから、上の指示を待たず、小さな事から宣言して行動しましょう。 (明石・ベタピン) |
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コロナ禍の中で 暑くなったら治まると思ってたコロナも全く衰える気配が無く、ただでさえ狭い設計事務所も、安っぽいパーティションで余計にせまっ苦しいまま。 一時は大流行?だったリモートワークもすっかり陰を潜めて、ワークライフバランスの改善にも程遠いなぁ。まるでコロナウイルスの様にしつこい、私がルールだみたいなあの上司がかわるだけで、この空気も少しは良くなるのにね。対策お願いしたいです。 (精密機械応援団) |
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会社のルールはどうなっている? 役職の58歳定年や5年異動のルールが崩れている部門が多い。能力があり若い社員からも信望が厚い役職が長くとどまる場合は理解もできるが、パワハラとも受け取れる威圧感を振りかざし役職に君臨しているケースも見受けられる。誰も口出しできない異様な雰囲気が部門の自発性や多様性を阻害している。会社の発展のためにも放置できない問題である。 (会社の発展を心配する社員) |
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今こそ職場に元気を! コロナで職場の親睦行事・懇親会・慰労会や個人的な食事会や飲み会も出来ていない。職場は種々の感染予防対策で密が分断され孤立している。話したくても話せない、一人で悶々とどうなるのか不安を感じながら単調な日々を過ごしている。職場の活性化を狙った、職場コミニケーション活性化補助ポイントをうまく使うなど、職場が元気になる何か良い方法はないのだろうか。 (孤立している従業員) |
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そのうち無くなる モーターサイクルと車両の分社化が唐突に知らされました。新聞に大々的に載った後にです。従業員をバカにしているとしか思えません。業績不振の事業所は迅速に切り捨てる安易な対応に、この会社の明るくない未来を感じます。 (機械くん) |
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内部留保はいつ使う? 今でしょ! 新幹線や単車など川重の顔として多くの人に親しまれている事業を別会社化すると橋本社長が正式に公表しました。コロナ禍で事業の先行きが見えないのが理由のようです。これまでに貯めこんだ5,500億円を超える内部留保を今こそ活用して川重ブランドと技術を守り、そこに働く多くの労働者と家族が希望を持てるように社会的責任を率先して果たしてもらいたいと思います。 (川重プライドを大切にしたいA) |
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カワるサキへ??? 橋本さんが社長になって早数カ月、少しずつでも良い環境になっているのでしょうか。納得いくこといかないこと、変化はいろいろと感じられます。 幹部の方はボーナスも大幅減で大変みたいですが、この危機を乗り越えられるなら、我慢してもらうしかありません。 しかし各種処遇制度も変わるようだし、人減らしのうわさも聞こえてくるし、「カワるサキ」が気になります。 KawasakiグリーンがKawasakiブラックって呼ばれることのないよう祈るしかないのでしょうか。 (西神戸の星) |
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朝の職場体操 西神戸は、毎朝7:50頃から曜日によって違う音楽が流れ、その後、8時前までの間に職場体操が流れます。 体操前の音楽は不要との事で、11月から音楽は流れません。 音楽の有無はどうあれ、他の一部の工場では、8時から体操しているようですが、どうなんでしょうか? また、「クリーンキャンペーン」のゴミ拾いを貴重な昼休みの時間にしています。 これって強制じゃなかったら、許されることなんでしょうか? (ラジオ体操) |
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令和おじさんの色紙 福祉に頼るな~(自助)。ボランティアで乗り切れぇ~(共助)。それで助けて~!と言われたら考える(公助)。って順番が違うでしょ! (一納税義務者) |
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残業時間の制限 私の職場では月の残業時間が制限されましたが、実質の残業時間は以前と変わらない人が多いようです。 いくらトップダウンで制限したところで、残業時間でしか成果をはかれない体質までは変えられません。 本質を見ず形式を重んじる文化こそ、変えるべきところなのではないでしょうか。 (神戸・たこ焼き大好き) |
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あけたら この前、退職された方と久々にお会いしました。かわいらしくて素敵な先輩は、当時と何一つ変わっていませんでした。お互いがどう過ごしていたのかや、思い出話に花が咲き、あっという間の一時間でした。 先輩はコロナのためにお休みとなっていた習い事を再開することができ、それができることの幸せを噛みしめたそうです。コロナで失うものばかりだと思いがちですが、得るものもあるのだと感じました。感謝の気持ちを忘れずに、また先輩や友だちと楽しくごはんを食べる日を心待ちにしたいと思います。 (ひなたぼっこ) |